京響によるオーケストラ&バレエ

毎年京響がやっている入門企画で、広上のおっちゃんの会だけ行くつもりでチケットを確保していた。ステージ手前にオケ、後方にバレエステージという豪華企画が2500円で楽しめてしまうのだ。割と早い段階で完売していた。

私は実はデンマークでしかバレエを観たことがないので、よく考えると日本でバレエを観るのははじめてで、実はこの企画のバッチリ対象者であった。会場は女性比率がめちゃ高く、しかもいつもの客層と違うファッションが目立ち、さらにお子さん連れの姿が目立っていた。

DKTは必ず生演奏なので気にしたことが無かったが、国内では生演奏でバレエを観れる機会は珍しいんだそうだ。しかもオーケストラがステージに載っていて観察出来る機会はもっと珍しいらしい。

で、演奏的にはめちゃ満足した。最初の頃とか、やっぱり今日は入門企画かなって思う節もなかったではないけど、終盤はすっかり載せられていた。完全に音楽に体を預けることが出来て、終わったらなにかぐたっとして、拍手をするのも億劫というか、そのままでいたいようなそんな感覚だった。曲や描かれているものが重いわけでもないのに不思議な感覚だった。音楽に完全に体を預けられるというのも私としてはすごく珍しいことで、いつもはささやかな違和感を感じながら「ああっ今のとこもっと刈り込みたい(←盆栽じゃないんだから)」的なストレスというか抵抗というかをどうしても感じてしまうのだが*1、今日は本当にそういう余地が無くて、完全に身を預けていた。途中で客が自発的に拍手を始めて、それが会場いっぱいになって、ああ、みんな感じてるんだなあと思って、そして終了時の拍手が大きなパワーを持つ津波のようにステージに向かって走って行って、素晴らしい一体感だった。

いやあ。入門者企画といえ、全く手を抜かず最高のものを出してくれる奏者に脱帽です!実は、コッペリアの開始のところとか、結構マニアックな感じで演奏がはじまって、個人的には歓迎するものの「今日の客層で、いいんだろうか、それ」と思ってしまったんだけど、要らぬ心配でした。去年も「この夏、日本で一番盛り上がった盆踊り会場」を見せてくれたし*2、あれは本当に忘れ難い経験だったし、この企画やっぱりいいですね。

そうそう、バレエのこと書いてないですね。そうだなあ。ビシッと決まってる度というか主に体力・体格的な要素から来る印象が小粒な感じがしないでもないけど、日本ならではの良さみたいなもんがありますね。手の動きの優美さとか、日本的な感性ならではの良さを感じました。

オーケストラ・ディスカバリー2011「オーケストラの世界!」
第1回「オーケストラ&バレエ」
日時:2011年6月19日(日)3:00pm 開演
会場名:京都コンサートホール・大ホール
出演者:広上 淳一(常任指揮者)
桧垣バレエ団
ガレッジセール(ナビゲーター)
曲目等:チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」から「花のワルツ」「あし笛の踊り」「中国の踊り」
チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」から「情景」「オデットと王子のパ・ド・ドゥ」「四羽の白鳥の踊り」
ドリーブ:バレエ「コッぺリア」(ダイジェスト版)

*1:そう思ったからって実際そうしたら良くなるとは限らず、最初の状態が一番いいこともあるのは承知の上で。それに一から構築するのと、出来たものだけ見て部分的な不満を持つことの間には超えられない谷があるのもその通りで。ここの話は、その手のストレスを「感じてしまう」ということ。

*2:念のためですが、音でそれを描いてくれたのです。