びわ湖ホール声楽アンサンブル@茨木公演

以前に行った公演を、少しずつ遡って書いてみます。あんま全体を記すことにはこだわらず(それやってると書きかけでお蔵入りになっちゃうし)、特に印象に残っていることだけ短く。

いつもの合唱レパートリーもものすごく良かったんだけど、前半のソロが強く印象に残りました。すごく短い、5行詩くらいの言葉に歌を着けた小品。詩の世界も、素朴というか身近。

ちょっと前に栗原さんのことを何が良いか簡単に言うのが難しいって書いたんだけど、つまり、分かりやすく極端じゃないんだけど、なにかある、そういう感じ。言葉の扱いがすごく優しくて、それも日本的な柔らかい優しさ。柔和というか。でも、その優しさや柔らかさが、その言葉から逆にイメージするような極端なそれじゃなくて、もっともっとという感じじゃなくて、何かと比較してこっちの方がもっと、という種類の性質のものじゃなくて、儚くて・・・それこそが特徴。そのバランスが心地良くて鮮烈な印象になる。

迎さんのソロはおもしろい世界観の作品。子供の視点から親や先生の矛盾を歌った詩の世界。これはこの人の面目躍如というか独擅場というか、基本的には綺麗な声の人なんだけど、なんかクレヨンしんちゃんみたいな、ヒネた子供のニュアンスが出せる人なんだよね、それって矛盾してるみたいだけど。本当にあれ不思議で仕方ない。これ聴いて以来ダミ声パパゲーノを思い出して仕方ありません。当時のログを引用してみましょう。『なんかダミ声キャラで、決して声がダミ声なわけではないのだけど、なんか小太りダミ声で、努力は嫌いで食べることが大好きで「え゛ーーー」って言いながらみんなの後を着いていくような、一人早合点するおっちょこちょいで寂しがり屋のベタなギャグキャラってあるじゃないですか。動きなども含めて、すっごいああいう感じ。そういう種類のキャラ立ちしてて、すごく良かった。』オペラでこれが出来るのが本当に不思議で仕方ない。もう思い出したら、あのダミ声パパゲーノが聞きたくて溜まりません。もう一度実現しないかな。熱烈希望です。

中嶋さんは前の2人に比べると素直で美しくて万人ウケする芸風だと思います。

後半、ラターはポピュラーの定番曲のような馴染みやすい素直な曲で、べにすずめはしばらく私の頭に住み着きました。いやでも、びわ湖ホール声楽アンサンブル面白いよね。面白いっていうのは、面白みがあるってことなんだけど。

びわ湖ホール声楽アンサンブル 茨木公演
<林光と現代合唱曲集>
2013年6月9日(日)茨木市市民総合センター クリエイトセンター

指揮:本山秀毅
独唱・合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル
ピアノ:岡本佐紀子

  • 林光編曲「混声合唱による日本抒情歌曲集」より
    • からたちの花(独唱:松下美奈子)
    • お菓子と娘
    • カチューシャの唄(独唱:森季子)
    • 野の羊(独唱:砂場拓也)
    • 鉾をおさめて
    • 待ちぼうけ
  • ソングより
    • けむり/やさしかったひとに/ゆき(独唱:栗原未和)
    • のびのび/そこだけ/さくしゃ(独唱:迎肇聡)
    • 舟歌/魚のいない水族館(独唱:中嶋康子)
  • オペラ「森は生きている」より
    • 十二月の歌
    • 真冬の歌〜四月と娘
    • 森へ向うソリの歌
    • こがねの太陽〜森は生きている
  • ジョン・ラター作曲
    • All things bright and beautiful
    • O clap your hands
    • For the beauty of the earth
    • The twelve days of Christmas
  • 木下政子作曲
    • 44このべにすずめ
    • 高原列車
    • 混声合唱組曲「方舟」より 水底吹笛 方舟