アルジェのイタリア女@京都オペラ協会

地元にいるとラジオなどで宣伝してるのが耳に入るものの、オペラ好きの間ではあまり話題にならない(知られていない)このシリーズ、勿体ないので是非紹介してみたいと思います。

まず「アルジェのイタリア女」というオペラそのものが面白かったです。テンポが良くて、シーンがポンポン切り替わっていって、登場人物の一人一人が分かりやすくて、馬鹿々々しくて、終わってすっきりな作品です。ひとつひとつのシーンに付けられている音楽も魅力的でバリエーションに富んでいるし、あの音楽がどんどん切り替わっていくテンポがなによりも気持ち良かった。

オケは去年の記憶よりずっと良くなったと思いました。この作品が合っているのかもしれません。

歌手陣は、若手の起用を目的にしている公演だけあって、みな若い々々。ついでに細い。でぶっちょの大公の筈のムスタファまで細い。本当はファルスタッフとかオックスみたいな役どころなんだろうけど。

イタリア女のイザベラを歌った小林さんが出物で、ちょっとクールな印象もある密度の詰まった声で、歌唱もしっかりしてるし、こりゃ今後が楽しみな人材。タッデオの迎さんに個人的に注目してるのだが、細かいところで上手いのだが、細かくまとまり過ぎっつーか、個性と役柄のマッチ感がイマひとつ。これが噛み合ったときの迎さんは本当にすごいのだが。バリトンのこういう役はいっぱいあると思うので、どう消化するか課題ということで*1。実はキャスト表見ずに観始めて、リンドーロが出てきて、こりゃ不安定だけど何かあるっつーか、よくこんな新人を見つけて来たもんだと思って、後でキャスト見たら・・・何度も聴いたことある人じゃん!全然違う人に聴こえたんです。あー吃驚した。他の皆さんも立派だったと思う。

演出は、もっと動いて欲しいような。オペラ一般として決して動きが少ない方ではないし、これより動きがなくて満足することもざらにあるけど、今回は、音楽の要求する動きに比べて、視覚上の動きが少なくて寂しい瞬間が結構あった。

第6回長岡京音楽祭 京都オペラ協会定期公演「アルジェのイタリア女」
2013/6/23(日) 京都府長岡京記念文化会館

総監督・演出:ミッシェル・ワッセルマン
指揮:小崎雅弘
コレペティ・チェンバロ:岡本佐紀子
演奏:京都オペラ管弦楽団
イザベッラ:小林久美子  リンドーロ:竹内直紀  タッデオ:迎 肇聡  ムスタファ:東 平聞  エルヴィーラ:三村浩美  ズルマ:白石優子   ハリ:木村孝夫
合唱:京都オペラ合唱団

ところでオペラ、同じキャストで、ピアノ伴奏による抜粋上演の機会があります。ブライトンホテルのやってる音楽祭の前半。7月1日(月)です。
http://www.brightonhotels.co.jp/kyoto/hotelevent/ongakusai2013/

*1:一人だけすごい高い要求を書きました