トリイゾ@NHK実況中継

本日も脳内垂れ流しでお送りします。トリイゾ初観覧第一印象記です。

http://cgi4.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2010-08-14&ch=10&eid=16860
プレミアムシアター BShi 2010年 8月14日(土)午後10:00〜15日午前2:30(270分)
バイロイト音楽祭2009 ワーグナー作曲 楽劇「トリスタンとイゾルデ
【出演】
ロバート・ディーン・スミス
ローベルト・ホル
イレーネ・テオリン
ユッカ・ラシライネン
ラルフ・ルーカス
ミシェル・ブリート
アルノルト・ベゾイエン
マーティン・スネル
クレメンス・ビーバー
(合唱)バイロイト祝祭合唱団
管弦楽バイロイト祝祭管弦楽団
(指揮)ペーター・シュナイダー
〜ドイツ・バイロイト祝祭劇場で録画〜

  • 演出は、セットと時代コンセプトはどうなんだろ。個人的に船に思い入れのある人間としては不満が。トリスタンとクルナヴェールが運航スタッフじゃなくて只の客なのも水夫がロビーに居合わせた客なのも*1おかしいと思うし、そもそも他の客も乗り合わせている客船設定ならイゾルデが個室じゃなくてこんなとこにいるのが一番おかしいと思うのだが。
  • まあでも去年のマイジンみたいに音楽とチグハグじゃなくて、普通に常識的に音楽に合わせてあるので許そう。最近演出を見る目が減点主義でいかんわ。だって、そんだけ満足させてくれる演出って無いから、せめて我慢できないポイントが無いかで判断するしかないんだもん。
  • オケは、音そのものでうっとりさせてくれたりはしないけど、聴けなくはない(←えらそう)。ティーレマンも画付きで聴いたらこんなもんかしら。うーん、でも、たまにうるさいかな?まとまりがイマイチなような。
  • 一幕はテオリンが圧倒的ですなあ。すごく現代的なイゾルデ。トリイゾの一幕はイゾルデがヒステリックで付いていけないと聞いていたので、女性的なものが全般的に苦手な私としてはどんなもんだろと思っていたんですが、これなら全然大丈夫。抵抗なく付いていける。
  • しかしこの方は何を歌っても本人ですなあ。イゾルデがいるんじゃなくてテオリンがいるって種類の個性。
  • あーでも、年末のDKTトリイゾ、やっぱりこの人で聴きたくなったかも。一週間内に聴ける演目の多さに惹かれて&テオリンは日本でも聴けるからと後半のチケットを購入してしまったが、ちと早まったか?
  • あの、どうでもいいですが、テオリンさんお痩せになってません?コペハンリングのときと比較して。随分あご下が削れたような。あれは2006年、こっちは2009年か。相変わらず艶のある唇が素敵。歌手で唇がビジュアル向きだとアドヴァンテージ高いな。
  • しかしこのリブレット、随分はっきり書いてあるんだな。何がって、イゾルデが剣を取り落とした理由がですよ。訳のせいか?この訳は割といい気がする。まだ私がよく作品を租借していないだけか?
  • しかしイゾルデの話からすると、トリスタンは何考えてたんだ。本当分かんないわ。
  • ・・・・と思いきや、ちょっと待て。今なんて言った?彼はずっと自分を偽って生きていたってこと?
  • ところで薬を飲んだ後の音楽はあっさりですね。そうかー、ここはああするのが当たり前じゃないんだー。って謎かけのようなこと言いっ放しにしないで明日あたり書きますね。
  • しかし1幕の幕切れの到着間近なセカセカした感じと、事態が急展開する畳み掛け感はよいですなあ。
  • さて2幕。前奏の間の恋して落ち着きがなくなったイゾルデが子供っぽくパタパタしてるセンスはいかにもDKT歌手っぽくてよい。これこの演出家のセンスとは離れてるから、テオリンが自分でやってるんじゃない?
  • RDSは、歌自体はよい。この人は聴いててもう結構と言いたくなる感じが無いので*2 *3、また聴いてもよい(←えらそう)。が、特別だったりプラスアルファがあったりはしない。まあ昨今聴いてて嫌にならないだけで貴重なので高望みは止めよう。でも、うーん、大根かなあ。比較相手が悪い?オペラなんだからこのくらい紋切り型で満足するように。
  • 二重唱がなんとなく決まらないのも気になる、というかそういうシーンになるとオケのまとまりがイマイチなのがなんか気に障ってしまう。難しいなあ。なんか集中出来なくて2幕のここんとこを聞き流してしまった。
  • おっと。前半レポに書き忘れてた。カメラが、この前右舷日記で完璧だがつまらないと書かれて発奮したせいか(んなわけはない)、変なことをする。船の揺れを表わすためにカメラが揺れてみたりする。でもずっと同じ調子で画面の隅々までそつがないので、やっぱりつまらないと思ってしまう。欠点を無くすことに神経が注がれた結果というか、個性が無いというかカメラマン交替してても気付かなそうな感じというか。いやたぶん技術的には大変なことだと思いますけど。
  • 録音もたぶんすごくて、歌手が動いても体勢が変わっても音がぶれないんですよ。それがいいかどうかは異論があるかもしれませんが。
  • ゾルデの上着を誰かお付きの人が閉めてると思ったら、えっ、あれが王様ですか。歌は安定しててよろしいんじゃないでしょうか。
  • マルケが嘆いてる横でイゾルデがくだらないこと(電球が切れそうになって点滅してる)に気を取られてるセンスはDKTっぽい*4。この演出ではなぜか電球がよくクローズアップされる。
  • 3幕に入っても電球。トリスタンの寝てる部屋の壁一面に古い電球がかけてある。
  • ちょっと!この見張りの人は私好きかも。この密度が出ずっぱりでも維持出来るなら期待出来る。
  • ラシライネンは冬に聴いた筈だが、全然記憶がない。不可はないって感じで、私には個性が分かりにくい。短髪がポヨポヨしてて触ったら気持ちよさそう(←他に言うことはないのか)。
  • と思ってたら、最後の総棒立ちはなんなんだ。実験?クルヴェナールが屋敷の中から応戦してて、他は外にいる設定なのは認めるとしても、棒立ちはなー。イゾルデがベットの上で、トリスタンが下に転げてるのもわけわからんし。最後まですれ違いを表現したかったの?なんか安直なんだよな。
  • ついでに電球ですが、命の暗示でしょうね。これまた安直過ぎない?

*1:歌詞的に遠くにいないとおかしくね?聞こえてないと思って好き放題言いつつも聞こえても別にいいやくらいの無責任な距離感がないとヘンよ。

*2:私はテノール歌手の雄々しさ要素が非常に非常に苦手なので、まずそこで引っかかるのです。でもそれって一般的にはあった方が評価される要素だとは思う。あれ誉めてるのか貶してるのか?

*3:そもそもそんな趣味の奴がワーグナーのオペラなんて聴くな。

*4:いや、違うな。そこでニコニコするのがDKTっぽいんだ。