上村昇/無伴奏チェロ組曲(2夜目)@アルティ

2夜目に行ってきた。昨日あんなことを書いたせいかもしれないが*1、今日は各曲の個性がよく分かった日だった。本日の選曲がそうだったのか、自分が慣れて意識が曲に行くようになったせいかは分からない。いかにも分かりやすい爽快な第1番と、重めの第4番が続けて演奏されたので、そのせいかもしれない。これが分かるようになったら、何故この6曲だったのだろう、その必然性は?と考えはじめてしまった。これは6曲を順番に通して聴くと納得が行くもので、このように2夜に分けた企画では解決出来ない疑問かもしれないが・・・。

前回は前方の端だったが、本日は10列目付近だった。今回の方が音や振動がダイレクトに来る感じがしたし、残響も前回よりずっと強く、より多声的に聴こえた。この影響は大きかった。ホールのどこで聴くかでこんなに変わってしまうのだから、音楽の感想なんて微妙なものだなあ。

ちょっと書き留めておきたいのが、いかにも爽快で分かりやすい第1番で、そうでない要素が感じられたこと。その瞬間は、異国っぽさだと思った。なんていうのか、聴きなれない匂いとか、なんとなく馴染んだ世界と違う趣味というか嗜好というかテイストというか。そういうものがあった。これは他の曲でも入っているんだけど、よりそっちの方が強いかもしれないけど、曲自体のもの珍しさと一緒になって何がどうなっているのか分からなくて、分かりやすい第1番でその存在が確実になるという、そういう発見が私にとってはあった。

あと最後の第5番は、怒りとか悔しさの感情を喚起された感じがした。つい最近の色々を考えちゃったんだけど、そんなことしてると折角の時間が勿体ない気もするんだけど、どうしてもそうなってしまった。正直まだモヤッとする。これは第6番を聴かないと解決しないのかもしれない。

しかし室内楽なんて年に数回しか聴かないんだけど、声楽や大規模な管弦楽と比べても難しいなあ。単に慣れの問題なのかな。

上村 昇チェロリサイタル
J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲全曲演奏会〜
2011年12月23日[金・祝]18:00〜20:00 京都府民ホールアルティ
第1番、第4番、第5番

*1:なんとなく思っていたことを文字にすることで自分が意識するようになり、より注意深く味わえるようになるというサイクルがあって、これがブログを続けている理由のひとつかもしれない。もっとも言語化という作業は、言語化出来た部分と出来ない部分を分ける傾向があって、出来た要素はよく意識に上るようになる一方で、出来ていない要素の影が薄くなるというデメリットもある。が、やはり聴きっ放しより断然味わえるようになる感じはする。