ボリス予習1/資料探し

来月の公演の前に、あらすじだけじゃなくて、ちょっとは背景を知っといた方がより深く楽しめるかもと思って探してみました。

ボリス・ゴドノフと偽のドミトリー―「動乱」時代のロシア (歴史のフロンティア) (単行本)  栗生沢 猛生 (著)

こちらは書評が即入手可能でした。普段お世話になっているCiNiiがこんなところで役に立つとは。

偽ドミトリー現象で興味深いなと思ったところは、ドミトリーがその不自然な死によって神話性を獲得し、多くの僭称者を生む土壌になったというくだりでした。その不可解さと政治的社会的不安感による「社会的な想像力の産物」という指摘は成程と思いました。ロシアの寒空ですし、現代人には想像すらし難いですが、無力で何もかも分からない状態、飢饉が起きたら為政者の罪のせいだと思うしかないような状況ってのも合わせて想像すると、なかなか真に迫ってきます。そういえば死んだ皇帝や皇子本人が帰ってくるってのも、なんというか不気味なモティーフですよねえ。同じ僭称事件でも、ありがちな御落胤ネタだとなんかもっと明るいのですが*1
ちなみにこの本の結論としては、ボリス暗殺説は否定され事故死ということになっているそうです。


原作の小説。プーシキンの小説読んだことないので、いい機会かもしれません。
ボリス・ゴドゥノフ (岩波文庫)


あと事前に見た方がいいか迷うのが映像資料です。字幕で台詞を把握しておきたい気もするし、先入観無しで見たいような気もするし、どうなんでしょう。日本語字幕付きのものがNHKライブラリで視聴可能みたいなので、予習のために1回見るにはよさそうであります。

http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10001200999412310130072/
歌劇 ボリス・ゴドノフ 第1幕 第2幕
マリインスキー劇場 キーロフ・オペラ日本公演
放送日:1994年12月31日 教育

オペラの予習としては順番が逆過ぎると思うのですが、最後に音楽です。ある程度耳で馴染んでおいた方が聴いたときにより味わえると聞くのですが、オススメの盤とかありますでしょうか。

*1:あーあのエロオヤジ・・・しょうがねーなー的な感じで。