予習日記/DVD『ドン・カルロ』/カラヤン指揮/1986年ザルツブルク復活祭音楽祭

鑑賞しながらとったメモをそのまま書き起こしです。不親切です。

序曲

  • 指揮者はカラヤンか。最晩年?この人の音楽って、聴いてる間は気持ちいいけど、なんか後に残らないんだよなー。

1幕1場

  • お、舞台綺麗だ。蒼くて暗めの照明に、鉄格子が開くところなんか、光と影が素晴らしい。
  • 合唱を背景に修道士の歌。ここは印象強い。こういうプロローグとかって見てるうちに忘れちゃうんだけど、すごい印象に残る。
  • カレーラス登場。お、瑞々しい歌声ですな。
  • 友情の二重唱。淡々といったな。ここは思いっきり身振りつけながら派手に行くのかと思ってた(音楽の印象から)。
  • 王とエリザベッタの登場シーン。本当にエリザベッタだけがほんのり輝いて見える。輝いてるけど不自然じゃない。照明うまいことやったな。
  • 「僕は彼女を失い、王は彼女を自分のものに!」なよっちい兄ちゃんだぜ。

1幕2場

  • エボリのヴェールの歌。技巧的っていうか、なんというかスタイルを感じる。
  • 王妃の登場。王妃って感じがちゃんとしてる。表情が硬い?不思議とはまってる。
  • いつもフランドルのことばかり考えてるロゴリーゴ登場。カルロの願いもフランドル話に変換して伝えてるし。
  • 「この地上で、あなたのかたわらで暮らせたら」→「それならまず父を殺し」クライマックス感がイイ!王妃の硬さがこのシーンによくマッチしてる。
  • 王登場。かっけーなこの人。「王妃が何故一人で?」
  • 「ここにいなさい」「お前は何故わしの前に出ようとしない?」ロゴリーゴ見つかっちゃった。
  • フランドルの窮状を訴えるロゴリーゴ。いつも頭の中はフランドルでいっぱい。
  • 「それは墓場の平和です!」いいぞロゴリーゴ!あの音楽はこういうシーンだったのかあ。何故か大審問官対王のシーンだと思ってたぜ(これだから素人は)。
  • このときの王の表情がすごくいい。カメラもいい。いやー。美老年ですな。
  • やっぱりロドリーゴに肩入れしながら見てしまう。中の人があまり美形じゃないのも肩入れするのにいい*1
  • 「わしはお前を側に置きたい」「王宮の中を見るがいい」「大審問官に気をつけろ」この長さで王の苦悩とコンプレックスを描き切った!これ、脚本うまい。原作よりうまいかも。誰?
  • 「希望が!」「思いがけない王の心を知った」このロドリーゴは原作よりも人間味があるな。

2幕1場

  • なよなよ王子登場。「エリザベッタあなたですか!」そんな大声で叫んじゃ駄目だってば。
  • 人違い判明。判明した途端にロドリーゴ登場。君はいつもカルロの後を尾行てるの?
  • エボリの激昂。うわーお。歌で激昂するって、こういうこと。

2幕2場

  • モブが多くて豪華な場面だ。処刑される人が連行されてくる。
  • 「わしが王冠を抱いたとき・・・・異端者は死刑にすると」←「大審問官に気をつけろ」を思い起こす。読み間違ってる?あの台詞には二重の意味がない?
  • カルロがフランドルの使節を連れてくる。「お前達は誠実では無かった」苦悩がにじむ感じがよく伝わってくる。こういうのは好きだ。パーペはここ朗々とやっちゃいそう。違うかな*2
  • 重唱
  • カルロの一番の*3見せ場「フランドルを下さい」剣を抜く。
  • 「私にその剣を」ロドリーゴと友情の二重唱のテーマが登場。ここはいいんだけど直後の音楽がイマイチ*4。私がよく理解してないのかな。逆に言えば、ここではじめて違和感を感じたくらい、今まで音楽は効果的だった。寄り添いつつ盛り上げてる感じがちゃんとあって、なんというのか、やっぱりスタイルを感じる。
  • ふと思ったけど、元フランドルのオランダとかでこのドン・カルロって上映されるのかな。どういう受け止められ方をしてるんだろう。

3幕1場

  • ほう。これが書類王フィリポ2世の書斎ですか。
  • 「夜が明ければけだるい日々が」ほう。ここをこう盛り上げますか。それは新しい。
  • アップが続く。この人は歌ってても表情がいかにも歌ってるって感じにならないな。顔の動きが、台詞喋ってる人みたいだ。どうやって発声してんの?
  • 大審問官。木に生えたコケみたいな人登場。しかも明け方に登場かよ!
  • カルロの処分について相談。しかしカルロは小物扱い。異端者(ロドリーゴ)について警告する大審問官。
  • 「今日わしと話さねば明日宗教裁判に呼ばれたであろう」なになに?どういうこと?「王の宗教上の罪」って何?異端者を見逃すどころか重用してること?
  • エリザベッタが飛び込んでくる。宝石箱が無くなったのくだり。
  • 無くなった筈の宝石箱は王の手元にあって、カルロの肖像が出てくる。
  • エリザベッタの下がり眉すごい。メイクもよく見るとすごい。気を失う。
  • すぐ現れるロドリーゴ、エボリ、側近達。いつもストーカーしてんの?
  • 重唱っていうか、各々がそれぞれの独白を歌って重ねる場面。オペラって必ずこれあるけど、いつも疑問なんだけど、字幕無しで見てて、これ何言ってるか分かるの?いや、私は字幕見てて字幕は一人分ずつクローズアップしてくれるから分かるけど。
  • エボリの呪わしき美貌。美貌が虚栄心を煽り高慢にする。ふーん。歌は・・・・どうなんだろ?こういう激しい歌って、どう評価していいのか分からない。

3幕2場

  • 牢の中。カルロとロドリーゴ。声は瑞々しいけど、相変わらず言ってることはなよなよしてるし*5
  • 撃たれるロドリーゴ。「自分は死ぬけど、救世主をスペインに残せたので幸せ」だそうです。歌は・・・・どうなんだろ。極限状況的なシーンに付けられる歌を自分はよく理解していないっぽい。
  • またスペインとフランドルのことばっかり考えてるロドリーゴ&友情の二重唱。
  • ロドリーゴの取り合いをする男2人。おいおい。
  • 民衆が入ってきて「王子を渡せ」と大合唱。続いて大審問官が一喝。

4幕1場

  • 世のむなしさを知る神。ソプラノの歌ってよく分からない。一本調子に聴こえてしまう。表情も。2幕とかはそれがうまく活きてたんだけどな。この人だけじゃないんだけど、たまに入る高音とか、聴いてて、そんなに無理しなくても、もっと綺麗に歌える領域で歌えばいいじゃないか・・・・なーんて思っちゃうんだよなぶっちゃけ。ハイC出ましたカタルシスみたいなのは私には分からんのだろうなあ。
  • カルロ登場。またなよなよしやがって。ここでカルロをパブリックモードに切り替えた方がドラマとして良かったんじゃないか。公人としての務めに目覚めて、エリザベッタが拍子抜けするくらいに素っ気なくしてさ。そうして観客をカルロに肩入れさせたところで見つかっちゃってアンハッピーに落とすと、いい感じに虚しさが演出出来たのでは。
  • 二人の感情的なところも、天上のうんたらではじめて一瞬心を交わすくらいに抑圧的にしてさ。まあ私の意見はどうでもいいですね。はい。
  • 王と大審問官登場。カルロ剣を抜く。カルロ5世・・・・つーか最初の修道士じゃないのこれ?自分から歩いて5世の元に行くカルロ。おしまい。
  • 最後の「え?何々?何だったの?」的な、多くを語らない終わり方は私は好きです。

カーテンコール

  • このエリザベッタの人はエリザベッタやってない方が美人だな。やっぱりずっと硬かったな。
  • バスの人々は並ぶと、やはり頭ひとつ分大きいですな。あ、コケの人生きてる。
  • エンドロール。カラヤンが演出&音楽。演出もやってるのか。

総括

  • 全体としてはかなり没入出来たし一気に見れたし音楽は魅力的だし、面白かったです。が、レビューがケチつけてる風になりがちなのは、困ったものです。気がついたところを気がついた時点で書き出していくと、こういう風になっちゃうんですよねえ。
  • なよなよと言ってるのは歌唱がなよなよではなく、台本がなよなよだということですので、誤解無きよう。

王:フルラネット
カルロ:カレーラス
ロドリーゴ:カプッチッリ
宗教裁判長(大審問官):サルミネン
修道士(カルロ5世):グランディス
エリザベッタ:ダミーコ
エボリ:パルツァ
小姓・天の声:パンディリ
演奏:BPO
指揮:カラヤン
1986年ザルツブルグ復活音楽祭

*1:相変わらず失礼なこと言ってるぞ。

*2:実はまだパーペの録音全曲は聴いてないんです。実演前には聴かんでおこうと思って。

*3:私解釈によると「唯一の」

*4:追記。その後録音で聞いたら、カルロの心情としてすとんと入ってきた。このときの感覚はなんだったんだろう。

*5:でも男が色恋に夢中みたいのを、なよなよとしか感じられなかったら、オペラ向いてなくなくない?・・・・深く考えるのは止めとくか。