スカラ座ドン・カルロ初日レポート/3〜4幕

3幕1場

待ってました!の王のアリアです。思えば3月にソロアルバムではじめてこれを聴いたときに、半年後に本当にこれをライブで聴くことになるとは全く思わなかった。相変らずなんと表現していいのか分からないんですが、大満足したとだけ言っておきましょう。全然何のレポにもなってませんね。途中パーペは立ち上がりそうになりながら、立たせてやれよーと思いつつ、見守ってました。やっぱり何のレポにもなってないな。この人に関しては茶化すことしか出来ないんですよねえ。この日は、Ove son?のところのニュアンスがはじめて聴く感覚だなあと思いました*1

大審問官の登場です。でかい。声も姿も存在感充分でした。でもここで思うんですが*2、「亡命か、斬首か」って、えらい違いじゃないですか?あと国に対して大きな責任を負っている筈の大審問官が平気でカルロの切捨てを肯定するんですが、後継者問題っていいのかなあ。これって相当大きい問題で、これに振り回される王権も多いし、能力的にはかなり問題のある人物でも即位してきた(せざるを得なかった)くらいなのに。この時点では直系男子は他にいない設定なんだし、たとえ他にいたところで昔なんかポコポコ死ぬから温存しておきたいところだろうに。フィリポがまだ若いからいいってことなんかな。あ、それは史実か。こっちのフィリポは老年だから余計気になる。その辺のリアリティはどうなのよ。

エリザベッタが飛び込んで来ます。実はこの場面まで、あんまりフリットリのエリザベッタがピンと来てなかったんですが、ここはすごく良かったです。なぜか強い女だなあと思ってしまった。それを音楽面で解題して表現しなきゃか。うーむ。どうしてこういう印象が出来るのだろう。たおやかにしなやかで強い女でしたね。やっぱりこれを表現出来るのはすごいや。あと高音から消え入るように音を着地させるのがすごい。

エリザベッタが倒れたところを支えるパーペの眼差しがうまいなあ。これビデオ欲しいなあ。

エボリの呪われた美貌。すごい迫力です。あの大きな会場の空気が、本当にビリビリとなりました。はあ。満足々々です。ここまでやってくれると、自分が苦しくなるとか考えてる隙ないですね。

3幕2場

一方、牢の中のカルロ。ここは記憶が曖昧です。ロドリーゴが倒れる様を見ながら、そうだよねえ、こうだよねえ、カルロ君も見習いなさいよ、コテンはいかんよコテンは、と思いました。音楽について書けないときの定番台本ツッコミですが、ロドリーゴよ君は満足だそうだが、こんな判断力の無いカルロを一人残して満足なのか。2幕でカルロの判断力の無さはよく分かったろうに。むしろ君が残った方が、フランドルのためにもいいんじゃないか*3

民衆が「カルロを返せ」とやってきて、「構わん、扉を開けろ」と言うときのフィリポがとってもどんパペです。なんだかん言って、3幕はとってもパーペ節を堪能しました。

4幕1場

フリットリ・エリザベッタの「この世のむなしさを知る神よ」。いやあすごい。何がすごかったのか解題出来ないのがもどかしいけど、すごかった。ブラボーもすごかったなあ。

ここでカルロが「立派な墓を建ててやります」と言う度に、心の中で「違うだろ!」とツッコむのは私だけですかそうですか。

あっという間に王や大審問官が踏み込んで来て、終息に向かいます。やっぱこの修道士の人いいわ。おしまい。

終わりに

感じたこと考えたことは後ほど別エントリにまとめますが、今回実演聴いて感じたことで、取り急ぎ書き残しておきたいのは、なんだか言葉がはっきりクリアに聴けるということでした。録音流しながら対訳で原語見てても全然ついていけないのに、実演だと何故かするっと入ってくる。この違いは何だろう。

おまけ/テレビ放送見ました。

15日のライブ鑑賞の後にしようと思いつつ、つい1幕1場だけ見ちゃいました。本当だ、前評判で聞いていた通りで、音楽は、なんとも微妙でしたね。歌いにくそうって評価が出る意味がよく分かりました。

なんで私はこれであんなにノれたのだろう。やっぱり雰囲気に呑まれたりとか、そういうのあるのかな。ま、折角行ったのですから楽しんだ者勝ちということで、ラッキーだったと思うことにします。

今回の公演は明日もう一度聴けるので、初日の記憶と比較しながら鑑賞するのが楽しみです。1階前方列と上階席の音響比較もしてきます。では行って参ります。

スカラ座ドン・カルロレポシリーズ
初日 全体編 1幕1場 2幕 3〜4幕 15日 余韻編

*1:と言っても、最初にライブで聴くまではと思って、パーペのフィリポの録音聴くのをこれまで避けていたので、色々聴いてきた方にとっては「いつもの」なのかもしれません。

*2:音楽について書けないときは、お得意の台本言及で水増しです。

*3:それじゃドラマにならないって。