スカラ座ドン・カルロ テレビ放送レポ(3)

(1) (2)の続きです。

3幕1場

チェロのアップ、不思議だ。どうしてあの動きからあの音が出るのだろう。王のアリアの前奏、ここはみな気合が入るので、そういうのを聴き慣れちゃって、もう一歩前に出るのが難しいな。人間とは、なんてゼータクなんだろう。

王のアリア聴きながら、白髪云々で身も蓋もないことを考える。終わって、別にブラボーに女の人の声入るよね、ブラボーマンみたいには目立たないだけで、とチェックする私*1

まだこの間の癖が抜けてないので、ついvのチェックしちゃいます。フルラネットは2回続くvoltaのうち2回目をFに近く発音するよね。まあ私から言わせれば充分濁ってますが、2回の中で差をつけてるのは明らか。フレージングの関係でたまたまそうなっているような気もしますが、結果として2回目の方がFに近く聴こえます。

大審問官との対話・・・・やばい、このシーン、あれを念頭に置きながら観るとめっちゃ面白いわ。大審問官から望む回答を引き出そうと何度も食い下がる王が、しらを切る大審問官が、その答えに失望する王が、そして不意を付かれる王が、真に迫ってくる。こんなに面白く観れるとは、我ながらいいもの考えたなあ(自画自賛)。って、このシーンめちゃくちゃハマるんですけど、実は、ただの車輪の再発明だったりします?*2

コチェルガは、こうして改めて聴くと、歌唱としては粗いのかも。でも舞台では迫力なんだよな。あー。この組合せ、「明日はあなたが宗教裁判に」以降、ちょっと紋切り型でツラいかも。性格俳優パーペはここどうしてたっけ?あーもう一度見たいなあ。


宝石箱が無くなったと駆け込んでくるエリザベッタ。そんな個人的なことはどうでもいいから、とつい思うstarboard。本当にオペラ向いていません。このエリザベッタは相変わらずドスが入ってるな。王が手をかけてエリザベッタが気絶するシーン。うーん、こんなだったかな。いやもちろん違うんだけど。それにしても、なにか全然違うものを見ているみたい。初日のこのシーンは何かすごかったんだよね。初日と15日では、初日の方が評価が高い私です。

あ、ついでにここで思いついたので。独白の重唱って、他のパターン(対話文とか)と区別する名前ついてないですか?いかにもありそうですが。

呪わしき美貌。あのビリビリはすごかったな。これだけは伝わらないなあー。歌の内容は相変わらず全く入れません。宝石箱以降は正気に戻って、つい比較モードになってしまいました。バス対決のところはドキドキだったのに。

3幕2場

当たり前のようにカルロ君*3が出てくるものと錯覚してて、米粒みたいなカルロのシルエット見て嬉しくなって・・・・*4あっ!カルロ君じゃない!そうだった。ニール、そのシャツは何かヤバいぞ。上に何か着せてもらえよ。O, Rodrigo....ここの一声目はいいと思うよ。

カルロとロドリーゴのシーン観てて思ったんだけど、アングルずっと引いてるよね。ニールはともかく、イェニスのアップは普通にあってもいいと思うが。アップ担当のカメラマン交替したのかな。それとも、フルラネットとかは、カメラマン的にやっぱり撮り甲斐があるというか、ドアップにしたくなることをやってるのだろうか。イェニスがんばれ。

ニール、君はお尻を見せるな。いやどのアングルもやばいが、お尻フリフリは特にヤバいぞ。このシーン、soraさんの「さよならフィアンドラ」は一応気をつけてましたが、残念、分かりませんでした。普通にイタリア語歌唱に聴こえました。

「カルロお前の剣を返そう」あっ立ち位置が違う。ここからラクリモサに入るところは、フルラネットは違和感無いな。違和感つーか、慣れてる感じがする。パーペはここと他の部分に差があったからな・・・・あと合唱もムラがあるように聴こえる。そんなにマズいわけじゃないんだけど、他の部分の水準が高かっただけに、その比較で。調節される前のPAみたいな入り方だった。

民衆がなだれ込んできて、ここから「扉を開けろ、わしが望むのだ」のところ、自然だ。逆に言えばインパクトが無い。大審問官が登場して、ここで王は再度宗教的権威の威力を見せ付けられ、その影響下から離れることは出来ないことを思い知る。・・・・しかしあれだね、経済力が無くて旦那と離婚出来ない一昔前の女性みたいな設定だね。

4幕

前奏。やっぱこの音好き。メロメロ。

歌はソプラノ音痴なので分かりません。なんとなくチェックリスト出して還元的に分析的に聴いてしまう。距離があるっつーか入れないっつーか。

ニール登場。いや墓はどうでもいいから。どうでもいいが、ニール相手には一度も「なよなよ」という感想が出なかったな。やっぱこのしかめっ面見てると出ないのかな。ニールは(も?)痩せたら元の顔立ちは悪くないと思うんだが。渋くなりそう*5

駄目だ。この後はどうも入れん。もともと4幕はあまりピンと来ないんだけど、今日はいつもにも増して入れんな・・・・あ、なんか抱き合ってる。こんなシーンあったっけ?

天上の世界で会おう。あっこういう音楽だったんだ。なるほど、カルロ君はこういうのが得意だったのか*6。たしかに、これは、この演目ではここにしか無いな。

「永遠の別れだ!」王と大審問官が踏み込んで来る。いいよ、いいんだけど、パーペはここもっと飛び抜けた迫力出せるもん。あれよあれよと言う間にカルロ5世御一行がやってきて、何がなんだか分からぬうちに幕。1幕で書くの忘れたが、この修道士の人は白目だな(どうでもいい)。

カーテンコール

イェニスとザージック・エボリに一際大きなブラボーが出ていた*7。他は妥当。こうやって並ぶと、コチェルガおじさんのボリュームはすごいなあ。

終わりに

これで一通りドン・カルロシリーズの予復習は終わりです。あとは適当なタイミングでオペラ文芸シリーズをやる予定。カール5世ネタと、ドン・カルロが影響を与えた文学というのも書くつもり。

今回の鑑賞で、そうですね、録音だけで聴いてたときと比べて、好きなところが変わりました。1幕の導入の修道士の歌がこんなに気に入るとは思わなかった。あとバス対決のドラマな味わいに目覚めました。めっちゃ面白いよあそこ!

そうそう。あと、空耳シリーズでひとつ。1幕の「お付きの女官は誰なのだ?」のとこ、毎度「割れた窓の〜」って聴こえて困ってるんですが、みなさんはないですか?

*1:何故?知ってる人だけニヤニヤしてください。

*2:昔からの定番解釈を、さも自分が発見したかのように有頂天になること。とうの昔にそれを知ってる古参ファンから見ると「なんだかな」。

*3:しつこいようだがヴァルガスの愛称。

*4:あれ結局カルロ君が好きなのか私は?だって愛嬌があるじゃんね。どんな悲劇でもコメディにしてくれるし。

*5:出た。イケメンには冷たいがデブには優しいstarboard。ええ。デブ専ですが、それがなにか?←パーペファンに怒られるよ・・・・

*6:15日のレポ参照。

*7:starboardの脳内予想比。