フィデリオ@MET2000

実に3ヶ月ぶりに新しい作品に手を出す気になりました。コペハンリングばっかり観過ぎです。だってコペハンの場合「オペラ観よう→じゃあこれ」って選んでるわけじゃなくて、日常生活の中で急に猛烈に「今コペハンのあそこが観たい!」と思って観てるから、完全に順番が逆なんですもん。中毒です!禁断症状です!やばい!

それはともかく積聴DVD溜まり過ぎです。パーペの出演コレクションが殆ど手付かずで残ってるし、その間にシェロー=ブーレーズ・リングも届いちゃったし。このペースで消費していったら、一体いつ観れるんだこれ。

残ってるDVDの中からどれを選ぼうかと眺めて、トリイゾ関連は12月に観る気なのでその頃にハマるようにもうちょっと後に回すことにして、今日はフィデリオを選んでみました。というのは、最近ショル爺の World Orchestra for Peace(1995) に収録されてるフィデリオのフィナーレを聴いてて*1、どんなオペラなんだろうと興味を惹かれていたところだったのです。

Karita Mattila
Ben Heppner
Matthew Polenzani
Falk Struckmann
Rene Pape
メトロポリタン歌劇場

で、最後まで一気に楽しく聴けました。いつものベートーベン苦手箇所はやっぱりあるものの、途中で止めてしまうほどしんどいわけでもなく。画面を見ながら、このくらいのオーソドックスなカメラがコペハンにも欲しいなあと思ってたりして。

観終わって思ったのは、やっぱこりゃ台本があんまり面白くないです。最低限のとこだけ作って詰め込んだって感じで、話に広がりも関心するところもないです。どっかに本編があってそこからダイジェスト版を作ったような感じ。

音楽は、ベートーベンらしさが薄くて私には丁度良かったです。意外だったのが、最近音楽の止む瞬間がないワーグナー漬けだったのでそれに慣れてて、普通に音楽が無くて台詞しゃべってる場面が多いってことだったりしました。そういえばドイツオペラってこういうもんでしたっけ?あと音楽面でもっと意外だったのが、オケパートがアクが薄くて大人しくて声楽パートが普通に綺麗で際立ってることだったりしました。なんとなくベートーベンだから反対なんだろうと予想してた。これは嬉しい誤算でした。

演出は本当にオーソドックスで、歌手陣はみな安心して聴けます。全体に若めで設定に無理がない感じ。一人年寄りぶった若造が混じってますが*2、一部リブレットと合わないけどこの舞台ではこういう設定だと思えば全然OKです*3。贅沢を言えばドン・ピァッツァロ役のストルックマンが歌唱的に良い人過ぎるかなと。そんくらい。あとドン・フェルナンド役の人も私的には満足出来なかったんだが、この人だけ先に馴染んでたフィナーレのみの出演だったので、比較対象の問題かもしれないので保留。

そんで一幕の囚人の合唱が良かったです。合唱が悪い悪いと思ってたMETのこの年代の演奏にしては快挙。二幕のフロレスタンのアリアとかも普通に良かった。それ以上にあの体型のヘップナーが派手にすっ転んでるところに惹かれた。まあそれはどうでもいいか。

大体いい感じで観てて、馴染んだフィナーレに来て、ここで急に愕然とする効果が。合唱が一挙にバラバラに。ここは合唱重要なのに。そして音のまとまりが全然・・・・やっぱりショル爺はすごかった。コンサートと全幕を比較するのもいけないのだろうが。ソリストもショル爺の方がみんないいんだよね。全員がそうなわけないので、ショル爺がまとめあげるステップがあって、そこが良いと感じる理由なんだと思うんだけど。むむむ。馴染んでないところは普通に良いと思って聴けたんですよー。

*1:またアナセンつながりです。ワンパターンですいません。でもこのディスクすっごくいいですよ!フィデリオもいいですが、バルトークが特にいいです。

*2:今見ると、顔のラインが本当に若い。

*3:でもパーペ出演作としての観点から言うと、良さが活かしきれないというか、勿体ないかな。まあこういうのもあってよいんじゃないでしょうか。