カメラについて考えてみた。

今日は珍しく聴覚じゃなくて視覚の方の感覚の話です。先日エクサン・プロヴァンスの黄昏を見たときの変な感じと、最近のHD映像を見てなんとなく感じていたこ違和感と、昨日METのフィデリオのカメラを見た経験から考えてみました。

まあ一言で言うと、最近のHD映像はなんか嫌だなーと思ってて、特に先日の黄昏はもう生理的に受け付けないと言ってみたい*1レベルに達していて、そういうところで、10年前のカメラを見てほっとしたんですよ。そして一体なんだこの感覚は?と思ったわけです。

要するにこれは、HD映像では肉眼より見え過ぎてしまうゆえに、知っているけど知らない世界のように感じて、人間の感覚というものは高度な認識は差分でやるようになっているから、全く知らないものよりよく知っているけどちょっとだけ違うものにより強く反応するらしいんですが、まあそれはともかく、知っているけどちょっとだけ違う世界を見て、落ち着きが無くなっていたんですね。10年前のカメラは肉眼を超えてませんから、その点では安心したわけです。

テレビを見ない生活を続けて20年近く経つので*2、ずっと見てた人には何を今更な内容かもしれません。ハイビジョンとか言われ始めたときに、たぶんいっぱい出たでしょう?こういう意見。

落ち着かない、しっくり来ない、そしてオペラの場合は・・・というより舞台を観ることを前提に組み立てられたアート全般はあまり見え過ぎない方がよいという観点から、私はHD映像は全く好きではないですねえ。でもこういうのが当然の前提で育つ子供達はどういう感覚を持つんでしょうね。

*1:私はこれは自分の主観に揺るぎない自信を持ってる人だけに許される台詞だと思ってて、そういう意味で自分には許されないというか逆説的に憧れというか、一度使ってみたいけど使えない台詞なんだけど、このシチュエーションなら許されるのではなかろうかと思って使ってみました。

*2:オペラ見るようになって実に久々に見ました。その間に時代が変わっていた(笑)。