オーフスリングを観た

ちょっと!これすごくね?いきなり序曲からすごいんですけど!しかもいきなりミーメがうまいし。しかもこれまで誰を観ても聴いてもしっくり来なかったヴォータンがすごい。圧倒される。息するの忘れる。そしてアナセン。これ本当に初役なの?ジークフリートってアナセン本人のことじゃないの?実はワーグナーの時代から生きててそのまま自分をやってるだけでしょう?いやもうホントに。さすがにこの頃は歌唱の勢いがすごいや。こりゃ観た人びっくりするでしょう。ブレイクする筈だわ。とにかく息するの忘れる。一幕終わったら酸欠になった。

オーフスリングってビデオになってるんですよ。デンマークの国内盤なんだけど。演出はごくごくオーソドックスです。リブレットそのまま。ひとつ変わったことといえば、おもちゃが出てくる。いや、おもちゃも一応リブレットに出てくるか。アヒルのおもちゃって聞いてたから、お風呂場の黄色いおもちゃみたいなベタな奴を想像してたら結構リアル路線で、アヒルじゃなくてマガモだった*1デンマークだから例のごとく奇抜演出かと思ってたらすごく王道でびっくりした。だけどこの王道演出で一瞬もダレないのはさすが。とにかく演技がリアルで細かくて、でも舞台向きで、なにより重要なのは音楽と一体化しててすごい説得力があることだ。

なにげないけどすごい説得力のある演出です。たとえばヴォータンが出てきたときからもうこの世ならざる感じなんだけど、格好はただのオーソドックスなさすらい人スタイルで、ただ顔色が悪い。そんでもってヴォータンが片手で、いや指先で軽々と持ってる槍を「わしの首を預けよう」と言いながらミーメにぽいっと渡すと、その槍がめっちゃ重くてミーメがアタフタよっこいしょしたりとか。最初のミーメの歌んときに、ヴォータンがミーメの目の前に立ち塞がってるんだけど、ミーメには見えているような見えていないような、まさにこの世ならざるものがそこにいる感じ。いやこの2つともベタすぎる例だな。もっと言葉にしにくいさりげないところがいいです。なんかそんな感じ。ああでもすごいや。

あー本当にびっくりした。しかしいつもデンマークは私のツボを直撃し過ぎるんだけど、これなんなのかな。偶然?相性?初オペラの刷り込み?だってなんか他のと全然連続じゃなくてこれだけ飛び抜けてすごく反応するんだもん。

今日は一幕だけにしときます。全部観ちゃうの勿体無さ過ぎる。てゆーかこの一幕だけでご飯6杯はいけます!(なんだそりゃ)今日ほどリングが4夜あるのを感謝したことはないです。
DEN JYSKE OPERA, Siegfried, 26 and 28 August 1994
Conductor: Francesco Cristofoli
Staging: Klaus Hoffmeyer (Assistant: Kasper Holten)
Aarhus Symfoniorkester
Siegfried: Stig Andersen
Wanderer: Lars Waage
Mime: Hans Jorgen

*1:きっと翻訳の過程が悪かったのだろう。