ツリガネムシに触覚はあるのか(駄文)

こんな白昼夢を見た。部屋に入ったら、いつもの面子がミミズの大量死について話していた。大雨の後でミミズがアスファルトの上で干からびて大量に死んでいる、あの光景のことである。たしかこれ定説は無いのではなかったか。私が勝手に思ってるところによると、ミミズは普段は土の隙間にある空気を呼吸して生きているのだが、大雨でその土の隙間まで水が浸入してくると、ミミズは呼吸出来なくなって土から這い出て水面まで出てきて、水と一緒に流されて、あわれアスファルトの上まで流されてしまうのある。それはどうでもいいのだが、そういう話をしていたら、誰かが何故水が引いたときに戻らないんだと言い出して、いやミミズは見えないし大水の後なんて土の匂いも分からないからどっちに戻っていいか分かんないんだよと言ったところ、果たしてミミズは嗅覚を備えているのかとか触覚はどうだという話に突入してしまった。まあミミズくらい高等なら触覚があるのはほぼ間違いないと思うわけだが、その後話のきっかけとなったミミズの大量死している道路を歩いてるときについうっかり、果たしてツリガネムシには触覚があるのかと考えはじめてしまった。ツリガネムシってのはご存知の通り単細胞生物としてはポピュラーな存在のあいつである。果たして単細胞生物の触覚とはどんなだろう。顕微鏡でこやつらを観察すると障害物に当たると方向を変えて進むので、いかにも触覚は備えているように見える。しかしあやつらは鞭毛やら繊毛やらで運動しているわけで、なにかに当たってもそのまま鞭毛運動やら繊毛運動を続けているとああいう動きになる可能性も否定できない。そもそも触覚の定義とは?文字通り触れたら分かることであるとしても、どうやって「分かっている」ことを確認したらよいのだろうか。もちろんツリガネムシに聞いてみるわけにはいかない。ひとつの可能性として、鞭毛/繊毛運動をするマイクロマシンを作って、それらがする動きによって単細胞生物が障害物にあったときの動きを再現するかを実験することによって、消去法的に触覚が働いていない可能性をつぶしていくことである。とは言っても、この手の領域になると、折角作ったマイクロマシンが現実の動きを再現出来ているか確認すること自体が困難であり、運動が正確に再現出来ていないから現実の動きを再現出来ないのか、運動の継続だけではあの動きは再現出来ないことを証明出来たのか、なんともわからないところである。コンピュータシミュレーションなども同じ罠に陥りがちである。そもそも先の疑問に戻るが単細胞生物の触覚とはどう定義されようか。ここまで考えてきたところによると、単細胞生物が障害物に接触して方向を変えるという観察結果があり、それがそれまで継続していた運動をそのまま継続していることによって起きているのでないことが証明出来れば、そこには生物によるなんらかの変化があったわけだから、つまり接触を知覚して変化が起こったと推定出来るわけで、それを触覚と呼んでも差し支えないのではなかろうか。ああ日々こんなことを考えている生物畑の人は偉いなあ。自分にはそんな才覚はないので即物的な意味で人様のお役に立つことをしなくちゃ。そう考えて、ミミズの大量死体の広がる田舎道を後にした。

なんで急にこんなことを書きたくなったのかさっぱり分からん。