トリイゾ3本目(ただし2幕だけ)@アバド&ルツェルン祝祭管弦楽団

ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》第2幕 [DVD]
アバド(クラウディオ) (指揮)
名指揮者、クラウディオ・アバドヴィオレタ・ウルマーナや藤村実穂子、ルネ・ペーパら名歌手による「トリスタンとイゾルデ」の第2幕を収録。

2幕から観始めたせいかもしれませんが、これまで見てきた中では一番リブレットに注目出来る鑑賞となりました。単に3本目となって音楽のもの珍しさに気をとられなくなって、それ以外の部分に注意を向けることが出来るようになってきたということかもしれません。というか音楽があまり出過ぎず、気に障るところもなかったから、そっちに気をとられずストーリーに意識が向いたという感じでしょうか。

コンサート形式ですが、オケをステージ前に置いて、歌手はその後の一段高いところに設けられたステージで簡単な演技をしながら行うセミ・パフォーマンス形式で、簡単なライティングもあって、演出という意味では一番しっくり来たかも。

音楽は、よかったと思います。まとまりが悪いと感じることもなく、歌手ともよく合っていて(寄り添い感バッチシってやつ?)、話に集中できました。コンサート形式なので要所要所でソロ楽器などが映るのも、今の音は何?と考えずに済むので、私にとってはよい方向に(集中力を削がない方向に)働いたようです。

今回びっくりしたのが、今更かもしれませんが、藤村さんうまいですねえ。聴いてて心地よい音になってるし、ひとつひとつのフレーズが実に丁寧で効果的です。私はまだ聴いてて良いと思ったときに、それが何故か分析出来なくて表現も出来ないんですが、すごい全然違うと思いました。

最初のところもいいんですが、中盤でブランゲーネが見張り中に二人に注意を呼びかけるところは、特に良かった。本当に遠いところから、かすかにゆっくり聞こえてくるニュアンスがあって。ここは会場の背後のバルコニー?ボックスみたいになっているところから歌っていて、そのときのライティングも効果的です。なんていうのかこう、ここで気持ちが切り替わる効果がいいんですよね。

ウルマーナ・イゾルデは私は今のところあんまよく分かりません。悪くはないけど・・・・自分がまだイゾルデをよく理解していないせいかもしれません。

トレーヴェン・トリスタンは、これ音だけで聴いたら即却下してました、たぶん。なんかあんま旋律をモノにしていない感じというか、決めて欲しいところでことごとくグダグダになるんです。音を外してるのかな?処理の仕方とかの他の要因もあるかな?ただ映像がある方が音だけよりも許せたかな。音だけだと「ちゃんと真面目にやれ」と思ってすぐにプチっと切っちゃいそうな感じなんだけど(ひどい)、顔見てると真面目にやっててあれなんだー(じゃあ仕方ないか)的な気分に。いえ、こっぴどく書きましたけど先日のアリアだけ君より全然マシだと思いました(フォローになってるのか?)。

あとは、誰だ。クルヴェナールとメロートは本当に一瞬だし、でもメロートは本当に朴念仁だなあって感じでした。それでいいと思います。声はちょっとビリエルさんに似てました。

そうそう、このDVD買った目的のパーぺだ。2004年だから一番痩せてた時期だし、今見ると若い若い。見た目は、今回の登場人物中で一番若いんじゃないか。相変らずパペ百面相全開です。コンサート形式ということもあって彼のマルケのパフォーマンスとしては控えめな方ですが、そんでもやっぱ雄弁ですよね。この人に求めたいのはこれなんだよなあ。