京都市オペラハウス騒動ウォッチ (3)

本気だったのかオペラハウス騒動!*1本日の各紙にて相次いで報道されています。なお、このエントリは数日後にはメンテする予定です。

http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819695E0E6E2E3E48DE0E6E2E3E0E2E3E39191E2E2E2E2;at=DGXZZO0195581008122009000000
京都会館」改修、オペラハウスに 市が正式発表
日経新聞 2011/1/24 11:16 

 京都市は24日、同市左京区文化施設京都会館」を改修、国内最大級のオペラハウスとする方針を正式発表した。主力の第1ホール(2015席)を衣替えする。京都の高い知名度を生かし、世界的なオペラ公演を誘致したい考えだ。

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http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110125k0000m040097000c.html
毎日新聞 2011年1月24日 22時55分
京都会館:「一流オペラ」上演水準に…改修構想が浮上

 昨春開館50周年を迎えた京都会館京都市左京区岡崎最勝寺町)を「世界一流のオペラ」が上演できる多目的ホールに改修する構想が浮上。再整備を岡崎地域活性化の核とする市は25日から、市民の意見を募集する。建物全体が老朽化し、舞台装置も十分とはいえない会館を「最高水準」へ改修するには100億円近い費用が必要とも。厳しい財政事情の中、改修の意義を示せるか注目される。【田辺佑介】

 「オペラ構想」は昨年12月13日、岡崎地域の活性化について話し合う市の検討委員会で示された。それまで2回の会議では、文化・芸術機能を強化する点はほぼ一致していたが、オペラに限った議論は皆無。「私たちの暮らしの中に、オペラがどれだけ関連しているか」との声に、市側の委員が「会館の機能を最大限に向上させる例として表現した」と釈明する場面もあった。

 なぜ「オペラ」なのか。担当の文化芸術企画課によると、会館の再整備は岡崎活性化とは別に進められてきた。市民へのアンケートや検討委員会での議論などを経て、外観は残しつつ、舞台機能を強化する方向で基本計画を策定中だ。

 問題は費用。市財政は来年度予算で160億円の財源不足を抱えているが「中途半端ではかえって価値がなくなる」「50年後のことも考えなくてはいけない」という見解から「世界水準のオペラができれば、他の舞台芸術にも十分対応できる」という方向性に至ったという。来年度予算で設計費として約1億円を要求しており、査定を通れば2月議会に提案される。

 だが、費用はこれだけにとどまらない。実現後に想定される運営費は毎年数億円規模。京都コンサートホール左京区)やオペラハウスの「西の横綱」とも称される滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大津市)など周辺施設との役割分担や競合の問題もある。

 前びわ湖ホール理事長の上原恵美京都橘大教授(文化政策)は「京都市民にとっての施設の目的や意義、関西エリア全体の中でどういう役割を果たすかを明らかにした上で財政上見合うかを判断することが必要」と話す。

 市は来月24日(消印有効)まで、会館再整備について郵送やホームページなどで意見を募集する。問い合わせは市文化芸術企画課(075・366・0033)。

 ◇京都会館

 1960年4月、市民の学芸や文化などの交流の場として開館した。日本の代表的なモダニズム建築家の前川國男が設計し、建築物としての評価も高い。地上3階地下1階建て。2000人収容の第1ホールと900人収容の第2ホール、大小の会議室がある。第1ホールは開館当初、クラシックのコンサートが多かったが、施設全体の老朽化や音響設備が不十分なことなどから利用は減少した。舞台が狭く天井から幕などをつるす装置も少ないため、大規模なオペラや演劇の上演も難しく、最近はポピュラー音楽や吹奏楽で使われることが多い。

毎日新聞 2011年1月24日 22時55分

思うことは、そうだなあ、「国内最大級」は相変わらずセンスが悪いし、そもそも東京文化会館が2500なんだから「級」でも名乗れないだろうと思うし、後発のオペラハウスが何故二千以下にしたのかという音響面のことを全く理解していないし、誘致任せはもう本当にどうしようもないし、全く京都市民として恥ずかしいわ。

しかし座席数を増やすのではなく既存の客席数を維持という部分は(現存する建築物への影響という点からは)一安心だ。おそらく舞台機構の改善と既存設備の古くなった部分の改修が対象だろうという規定路線通りなわけで、そこは異論は無い。市民内部にはもっと別のことに予算を向けるべきという意見があろうが、しかし建物の改修なんかはイチゼロじゃなくて並行して順繰りやって行かなきゃいけないことだし、そろそろ京都会館の順番なんだろう。というか京都会館は遅過ぎたくらいだ。あとは事業規模が必要以上に大きくならないよう目を光らせておくってところか。

で、勝手に今後を予想するけど、たぶんオープン当初は、頑張ってなにか誘致してやるんだろう。でも根本的な理解がないから後の誘致も続かず、今の京都会館の用途(ポピュラー音楽)に新たに増えた舞台機構を使える何かが加わって、あまり変わらないところに落ち着くんじゃなかろうか。

京都は芸大もあるし、既存団体もあるし、コンテンツを育てる気があれば面白いと思うんですけどね、誘致と大規模志向だからなあ。あまり最初から水を差すようなことは言いたくないんですけどね。

個人的に遺憾なのは、これにオペラハウスという名前を付けちゃうと、もう京都でマシな音響環境でオペラを聴けるチャンスが私の生きている間には無くなりそうなことだ。いいや、他所に行くから。京都会館PA前提でやればいいんじゃね?いや嫌味じゃなく必要だと思うよ。割り切る必要があると思う。ただ、出発点として不利な箱にそんな金かけて舞台機構揃えるのは如何なものかとは思う。実態としては舞台芸術全般に使えるからってことで、やっぱPAを使うような種類のコンテンツに落ち着くんじゃないかなあ。

あ、そうだ。手続き論的ツッコミ。1月24日発表で2月24日までのパブコメ期間で、2月の議会にかけるってどうなのよ。相変わらずです。最近の動向から議会通らんと思うけど。この手の無茶が続き過ぎて、警戒されてますよ。

でもなんとなくだけど、いきなりどんぶりっぽい数字が出てるとことか、プロセスが不自然なところが、前にちらっと書いたスケープゴート狙いっぽくて、本当は別のところに問題が出るんじゃないかという気がして仕方ない。

あと地味にこんな記事もメモ。

http://www.senmonshi.com/archive/02/0280KKP02H2U2A.asp
【京都】岡崎地域活性化ビジョン検討委 文化・芸術のブランド力強化へ
2010/08/20 建設経済新聞社

*1:最初から騒動と名付けているところがなんとも。