DKT財政危機の続々報と、外からの評価

その後のDRでの続報です。
http://www.dr.dk/P2/Artikler/2011/02/04142400.htm
http://www.dr.dk/P2/Artikler/2011/02/07104307.htm

DKTのTeaterchefのErik Jacobsenによる公式表明。
http://www.kglteater.dk/da/Aktuelt/Nyheder/Nyhedsarkiv/2011/Kronik030211.aspx (03.02.201)

下はこういう立場の人の名前による発信らしく、表現が間接的で細かいニュアンスが読めないとたぶん分かんないんだろうということで正直私の手には余るんだけど、URLのメモということで。


と振っておいて全然違う話をするんだけど、例えばこんな記事がある。

http://www.ambdublin.um.dk/en/menu/AboutUs/News/BritishTributeToTheRoyalDanishOpera.htm
BRITISH TRIBUTE TO THE ROYAL DANISH OPERA

One of Britain’s leading music critics, Hugh Canning from The Sunday Times, are very impressed about the level of the Royal Danish Opera.

In a recent visit to Denmark Hugh Canning was especially impressed by Stig Fogh Andersen and Iréne Theorin’s performances in Richard Wagner’s “Tristan and Isolde”.

Also, Hugh Canning had never heard a better Lulu in Alban Berg’s opera of the same name, than the Lulu played brilliantly by Sine Bundgaard.

He calls the opera an ensemble among the finest in Europe with an exceptionally high musical and dramatic standard.

Edited December 7, 2010 © Ministry of Foreign Affairs of Denmark

デンマークの外務省が出したニュースで、イギリスの高名な批評家がデンマークのオペラを賞賛したよという内容。挙げられたのは先日のトリイゾとルル。ちょっとないくらいベタ誉めだと思う。私も全く同感だけど。

これが外務省発信のニュースになってしまうということは、逆に外からデンマークオペラを目当てに観に来る人もなければ、こういう風に外の批評家に言及してもらうことも珍しいのだということを表しているのではないかと思う。ウォーナー就任のニュースのとき、DKT自身の公式発表で「彼の起用はデンマークオペラを国際的にすることに貢献するだろう」と言ってて、私としては内部にあんなにいい人材がいるのに何が悲しゅうてこの人をって感想で全く歓迎出来ないんだけど、実際この批評家の人を呼んできてDKT公演を見せただけでも彼は期待された働きをしてるんだろう。それが一演出家の起用ではなくディレクターの仕事なのだということでもあるんだろう。ホルテンがディレクターとしてしてきた仕事とは全く違う方向性だけど。

ついでにDKTが国際的に評価されることに野心を持ち出したのはコペンハーゲン・リングの成功があったように思う*1。あれは最初は完全に国内向けのいつもの上演のつもりで、サイクル上演も計画されてなくて、セットもバラ上演が終わった段階で順次破棄する予定だったらしいんだけど、どこからか評判になって、最終的にもう一度サイクル上演されて、DVDが国際リリースされて、話題になって、という事の推移があったらしい。そんくらい国内向けで毎シーズンやってたのだよなあ*2

話は戻って、最近発表されたスケジュールを見ると、イギリス界隈でDKT関係者の起用は急に増えてて、そういう意味でも確実に効果は出ている。逆にこういうパイプがなけりゃ、こういうことすら無かったということだ*3

でもこんな記事を読むと、少し微妙だ。あんなにいい公演をしてるのに、なんで今更こんな当たり前のことを言われて喜んでるんだろうと。向こうで歌手と話してて、「世界中の何処の有名歌劇場よりDKTが好きだ」と言っただけで、すごい喜びようなんだよね。「もう一回言って」って。でもそれって、ちょっと切ない。だってあんなにいいんだよ!当たり前じゃないか。

デンマークはたぶん小国意識がすごくあるのね。まあヨーロッパのごく少数の大国を除いた殆どの国がそうなんだろうけど。日本にもあるけど、日本はデータ的には全く小国とは言えないんだよな。日本の言う小国は超大国だけを念頭に置いた見方で、つまりそれって世界には超大国しかないと思ってて殆どの国々を無視してるってことね、と私なんかは冷ややかに見てしまうのだけど・・・・話がずれたな。

思ったことは、外からの評価って役に立つんだということ。日本の田舎町の評価なんかもそういう面があるんだけど、やっぱり外から認めてもらうことで中の人が自信を持てるってすごくあるんだけど、まさか今回こんなところで再確認することになるとは思わなかった。だから日本にいて出来ることもちょっとはあるのかもしれない。デンマークの納税者にも少しは訴えるかもしれない*4

ってことを英語で書いて日々発信しなきゃダメか。ここにいきなり英文上げてもヒットしないだろうしなあ。DKT公演のレビューって、英語すら殆ど無くて、英語で発信してるのはデンマーク出身でイギリス在住の人くらい、私の知ってるのは。

*1:もちろんこれがいきなりあったわけじゃなくて、そこまでの布石になった公演というのもいくつか思い当たるけど。

*2:一方その頃、某K都市は、有名公演を誘致してアジアの金持ち相手に観せようと目論んでいた(←嫌味です念のため)。

*3:もちろんショービズ界が金になる存在を放っておく筈が無く、明らかにスターになりそうな存在なら何処にいようと引っ張りダコになるんだろう。でもたぶんそういう一級のスター(予備軍)とは違うんだろね。DKT出身者って。

*4:もっとも、今それどころじゃないかもしれないけど。長期的に見たら、辺境意識を持ってる人々にとって、外からの評価って効くんだよね。