好みの座席を自覚しつつ劇場の音響を考える

チューリッヒの座席のことを書きながら自覚したのだが、私にとってはやっぱり音がプライオリティ高くて、最上階の舞台寄りは特に好ましく、好ましいというよりは初体験の劇場としては外れが無い最も無難な場所で、どんなに視界が良くても1階後方とか2階の出来の悪い場合は全力で避けたい場所らしい。で、チューリッヒは最上階のサイドだったから機嫌がいいらしい。しかもこの嗜好はピアノ伴奏のリサイタルに関しては逆で、この場合は音が来ないようにオペラで好ましくない場所が好ましいので*1、益々理想的だったらしい。

1階後方とか2階の出来の悪い場合だが、これは音が篭ったり、はっきりしなかったり、そもそも音が来なかったりする。2階は必ずこうなるとも限らなくて、1階との段差が小さい2階モドキの場合に当て嵌まる傾向がある。チューリッヒのPerkett-Lodgeはネーミングからして当て嵌まる予感ビシバシである。3階が一番価格が良い劇場の2階ってのも、大抵これを疑った方がいい。これに当たると折角のオペラの時間が我慢大会になってしまう。

なお、このタイプの音の来ない場所であっても、歌手の声は比較的よく届く。ゆえにピアノ伴奏のリサイタルには理想的な場所である。ひょっとしたら、声量が比較的控え目な歌手を聴くにも良い場所かもしれないが、いくらなんでも外れた場合に勿体無さ過ぎてチャレンジしたことは無い。どなたか経験者はいらっしゃいませんか。

もうひとつ、シューボックス型の箱で上下に挟まれた階の隅席というのも、響き過ぎでお風呂のようになるらしいが、私は最初から敬遠してそのような条件の席には座ったことがないので分からない。1階と最上階以外の全ての階が当て嵌まる可能性があるが、上の方がひどいらしい。そういうわけで最上階の直下は要注意である。角がある箱に特有の現象なので、円形の馬蹄形劇場では気にしなくてよい。

一般に、劇場の正面は箱の音響に反映されやすく、ゆえに当たり外れが出やすく、舞台寄りは比較的外れがないエリアである。さらに、好みの問題もあるが、私にとっては、オペラを聴く場合は舞台寄りの方がオケと声が別々に聴こえてきて聴きやすいので、舞台寄りを愛好している。これは録音の解像度の高いサウンドに馴染み過ぎの弊害かもしれない。舞台育ちの観客にはまた別の嗜好があるかと思う。

ここまで書いて時間が無くなったので、続きは夜にでも。

*1:平均的な人に比べてピアノの音を強く聴き過ぎる傾向があるのではないかと疑っている。音は主観で聴くので、大いにあり得ることだと思う。