シューマンとアナセンとスコウフス

ちと前のことですが、我が家でsoraさんがアナセン音源について教えてくれました。で、ま、それは聴いてみたら結局違ったんですけど、面白いことがあったんです。

ひとつは、DRのアナウンスで「アナスン*1」と連呼してて、これが紛らわしかったらしいのですが、音源ファイルを聞いて思うところがあり調べてみたら、そのアナスンは、かの有名な童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンでして、シューマンがH.C.アンデルセンの書いた詞(の独語訳)に曲を付けたものらしいんです。なかなか陰鬱な題材でした。

シューマン「兵士」 5つの歌曲 作品40より

歌唱のドイツ語を聞き取って検索したらヒットしたとか言っておきたいところですが、そうではなくて、アナウンスの人があんまり連呼してるのでこりゃ歌手でも演奏家でもなくて作品成立の関係者だろうと思って、そして「アナスン」だけで一向にフルネームを言わないので、デンマークでこういう扱いを受ける Andersen は、H. C. Andersen だと知っていたので簡単に見つけることが出来ました。私はよくこういう方法で語学が出来る振りをしています。文脈推測能力をフルに使ってるだけで聞き取りは全然出来ないんです。読み書きオンリーの典型的な日本人ですから。


もひとつ面白いと思ったのは、soraさんにとっては似てるらしいんですが、私にとっては全然似てないので、「一体みんなどんな音を聴いてるんだろう」ということを改めて思ったことです。まあ私はアナセン*2に関しては聴き込み過ぎで、些細なことでも判別してしまうので、同じくらいの距離感だと似てるのかもしれません。2人ともデン人なので、アクセントなんかも似ているのかもしれないし、声楽教育の共通性もあるかもしれません。これまた私はデン人歌手を聴き過ぎているので、そういうところは似てる要素としてキャッチしないんだと思います。

アナセンは声そのものはかなり重くて、歌唱スタイルで軽い印象を与える特殊な芸風の人です。バリトンに間違われるのはよく分かります。私もたまに、本人が歌ってるのに「なんで代役がバリトンなんだ?」と思うことがあります。この人の声に対しては、全く逆の評価が同時に出るんですよね。ひどく重いか軽いか、若いか枯れているか。もひとつ、声が詰まっているか否かというのも、全く逆の印象を同時に与える要素があると思います。私なんぞは下手すると、スコウフスより重く感じる瞬間もあります。

面白いので、スコウフスの該当音源と、アナセンがバリトン声でテノール調に歌ってるのがよく分かる音源を付けておきます。
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*1:普段 Andersen の日本語表記はアナセンと書いてますが発音的にはこっちが近いです。

*2:このblogでフルネームの出てこないアナセンはSFAのことです。