ROHサロメ@NHK

本当は見る気はなかったんだけど、そのままROHサロメも前半だけ見てしまった。なんで見ないつもりだったかというと、私はこの演出、来年の再演に行く可能性があるので、そのときまで見ないつもりだったのだ。でもちょっとだけと思いつつ見て、はじまったら面白かったのでつい見てしまって、サロメの踊りに入るところで、さすがにここから先は止めておこうとストップした。さっきまでのボリスのだれ具合と比べると密度が高い面白い公演だったので、止められなくなった。演出は、すこぶるまとも。サロメとヨカナーンのやりとりとか結構いいところを付いてる。演奏も情感に満ちていていい。この間のアイーダで大幅ダウンしていたROHオケへの期待が上向いた。もうこの後は何も聴かんとこ。

ただ視覚的に面白くて演奏もいいんだけど、なんか歌手が無理して声を出してる(力んでる)っぽい感じがあった。特にサロメとヨカナーンかな。フォレは本当にあの人なのって印象(よく似た名前の人いますかね?)。オケがガンガン鳴らすから力が入るのか、この日の喉の不調なのか、この役をモノにしていないのか。一斉にその傾向があるところを見ると、オケ(または劇場)の大きさのせいなのかな?歌手に関しては、この間のBPO音源の方が全然音楽になってる。あ、音楽になってる/なってないとかいうと、よっぽど酷いことになってるみたいな印象かもしれないけど、そういうことではなくて、あくまで相対的な問題としてです。

この公演のサロメは小鳥が啄むような軽さと無邪気さがあって、あっちのダダっ子アプローチと比べると、こっちの方が断然好きなんだけどなあ。でも無理して声を出してる感がなんとも辛いなあ。ナラボーはカイザーがなんとも情けなくて、大体この人、歌も情けないし、下がり眉も、もっさりした腰周りも、何もかも情けないのだ*1。でもこの役はこれでいいのかもしれない。少なくともこの間のブレスリクのナラボーよりは嫌じゃない。小姓は歌も存在感もいい感じ。それから、ヨカナーンが腹出しルックなわけですが、歌ってるときの腹の動きは興味深い。はっ!もしかして私って腹フェチ(ただし細いのは不可)なのでは。うわー変なことに気づいちゃったよ。

次のシーンに移って、ヘロデとヘロディアスも音楽性では全然・・・と思ったんだけど、ちょっと慣れたらこっちのおっとりしたカップルも悪くないと思った。ただサロメ的な狂気の予兆は全くなくて、普通のオジサンとオバサンカップルですね。あと思ったんだけど、ヘロデの命令を細々と聞いてる使用人の黙役は、あの体型と爆発頭はサニではないか?誰か最後まで見てたらクレジット教えてね*2

ここまで見た印象としては、少なくとも演出が嫌で気が進まないようなものではなくて良かったってとこですかね。でも歌手が歌うときに力むような種類のスケールってのが、ちょっと嫌な情報かな。

NHKのこれまでの放送例を考えると、この後に地上波で放送があると思うので、興味を持たれたら見てみてください。

◇(前2:06)楽劇「サロメ」 リヒャルト・シュトラウス作曲
▽全1幕
【出演】
ナージャ・ミヒャエル
トマス・モーサー
ミヒャエル・フォレ
ミヒャエラ・シュスター
ジョゼフ・カイザー
管弦楽)コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
(指揮)フィリップ・ジョルダン
 〜イギリス ロンドン・コヴェントガーデン王立歌劇場で収録〜
<収録:2008年3月>
【演出】デーヴィッド・マクヴィカー
【美術】エス・デヴリン
【照明】ウォルフガング・ゲッベル
【振付】アンドルー・ジョージ             

そんでTV消してレポ書いて、また付けたら早朝の音楽番組やってて、NHKが背景に「どうやって撮ってるんだ?これ?」というような画を使ってた。技術の無駄遣いだ。つーか私が普段TV観ないから見慣れないだけで、いまはこういう画が当たり前に使われてんのかな。たまに見ると勉強になるなあ。世の中進んでるね。

*1:あんな腹の持ち主のファンに言われたかねーよ。

*2:ところで余談。サニがジークフリートデビューに向けて準備してるというROHのリングとは、2012/2013シーズンの冬の予定で、なんとこれ、ホルテンの企画だったんですねー。ホルテン本人の演出かどうかはまだ不明だけど、確率としては高い気がする。道理で、ああいうチョイスになるわけだー。道理で、例の部分がオーフスっぽいわけだー。超納得。世の中って広いようで狭いですね。ともあれ、サニの準備が順調に行ってることを願います。どっかで立ち消えになってませんように。