二国の二国?・・・ちょっとキナ臭い話

市としては再整備計画を認定して「ちゃんと建物価値を継承してるよ(だから解体してもOK)」とのお墨付きを与えてもらうために作ったのであろう委員会がこの10月から開始したのですが、ちょっとキナ臭いのは、この委員会のメンバーに「財団法人新国立劇場運営財団技術部長」、つまり新国の舞台機構なんかの部分に一番詳しい人物が入ってるということです。

http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000107935.html
京都会館の建物価値継承に係る検討委員会 第1回会議の開催について
京都市文化市民局 [2011年9月28日]

普通に考えて、この職責というのは、建物価値の継承というのとは専門性が違うのは分かると思うのですが、一方で、舞台機構=金が動く分野とも考えられるわけで。最近こういう舞台機構の会社の人間が京都会館の周りをうろちょろしてるのも目撃されています。

私としては嫌な展開なのは、新国も出来て何年だっけ、本格的にシーズン運営し始めたのは1998年だっけ、出来て10年以上経ってるわけで、そろそろ関西に拠点を、と考えていてもおかしくないことである。それと大規模工事の案件が欲しい人が組んでいるとすると、とても嫌らしいと思う。

ここの読者は大抵分かるだろうけど、私は新国は好きではない。経験したのは5公演くらいだけど、観て良かったと心から思って帰った経験が無いので、行くのを止めてしまった*1。地方から見ると、放送などで地方へ還元する姿勢も見えなかった劇場である*2。外国人歌手、外国人指揮者、外国人演出家のオンパレードで、悪しきクラシックのブランド嗜好の縮図みたいで応援したいとは思えない*3。過去の歴史的に一定の役割を果したことは認めるけど、2011年現在、観たい劇場ではない。なにより関西で積み上げて来たものを無視するみたいで嫌だ。だからこれが杞憂だといいなと思っている。


ついでに委員会関連の報道です。

http://kensetsunewspickup.blogspot.com/2011/10/blog-post_45.html
2011年10月6日木曜日
前川イズムの継承を要望/京都会館再整備の検討委、京都市

 京都市が、京都会館左京区)再整備で委員会の初会合を開いた=写真。建築家の前川國男が設計した日本を代表するモダニズム建築である同会館の建物価値を検証し、建て替えを行う第1ホールの外観デザインを検討する。結果は香山壽夫建築研究所が進める基本設計業務に反映させる。2012年3月に最終案を作成し、外観イメージを確定させる。
 委員は京都工芸繊維大工芸科学研究科の石田潤一郎教授、中川理教授、新国立劇場運営財団の伊藤久幸技術部長、衛藤照夫京都府建築士会長、武庫川女子大生活環境学建築学科の岡崎甚幸教授、岡崎自治連合会の澤邉吉信会長、日本建築家協会近畿支部京都会の道家駿太郎会長、橋本功前川建築設計事務所所長の8人で、委員長には、岡崎甚幸教授を選出した。
 委員会で橋本氏は「建物は使用されてこそ価値がある。第1ホールの建て替えにより新しい地平が生まれる」と再整備に理解を示した。「前川の設計は外観だけでなく、内部空間や素材にも特徴がある。ぜひ、前川イズムを継承してほしい」と要望した。中川氏も「京都会館の魅力は中庭にあり、どう残していくかが課題だ」と述べた。
 また建物高さについて道家氏は「市の新景観条例で建設地は高さ15mに規制されているが、市がまとめた同会館基本計画では、最高高さ31m(現行27・5m)に引き上げることが示されている。景観に配慮し、デザインを検討する必要がある」と指摘した。
 同会館は、1960年に完成した。日本建築学会賞、BCS(建築業協会)賞など数々の賞を受賞したほか、近代建築の保存活動などを展開しているDOCOMOMO Japanが「日本のモダニズム100選」にも選出。同会館の再整備を巡っては、日本建築学会が3月に保存要望書を市に提出している。 
 一方で、同会館は老朽化が進み、オペラやロック音楽など機材が大型化する興行には対応できないため、市は再整備することにした。実施設計と施工を一括発注するデザインビルド(DB)を採用、第1ホールを建て替え、2000席程度を設けるほか、第2ホール・会議室棟を改修する。12年度以降に第1ホール解体と埋蔵文化財調査、実施設計、工事を行う予定だ。

*1:今後たまたま東京にいる日に公演があったら観ようと思うが、新国の公演を観に上京は無いと思う。ちなみに今年一番観たかった新国の公演は「高校生のためのマダム・バタフライ」だった。

*2:放送頻度がびわ湖ホール以下!

*3:国立なら、あの外国人/日本人の採用比率はせめて逆転すべきだと思う。民間なら言わないけど。