新国事業評価書メモ

ホール情報を調べてるついでに引っ掛かった情報のメモ。文化庁の「新国立劇場及び国立劇場おきなわの運営の在り方に関する検討会」の参考資料「独立行政法人日本芸術文化振興会 平成21 事業年度評価報告書」からの引用です。

http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/kondankaitou/kokuritsugekijyo/pdf/sankoshiryo.pdf

オペラ公演では、上演機会の少ない優れた作品、スタンダードな作品、日本の新作オペラの3つの基本柱をバランスよく上演する姿勢を貫いており、この点は評価する。特に平成21年度は、若杉全監督の企画がよく、充実した舞台が続いた。

ニーベルングの指輪」の再演、共同制作の「ヴォツェック」、イギリス・ロイヤルオペラ制作の「ムチェンスク郡のマクベス夫人」が大変質の高い公演だった。ただ、「ニーベルングの指輪」シリーズは再演なのでやむを得ないが、演出があまりに先鋭すぎてとまどう観客も多かったので、プログラム等で演出の意図についての説明がほしかった。新制作した「オテロ」は演出・歌手ともに水準が高かった。「トスカ」「魔笛」のようなスタンダードなレパートリーの再演では、歌手の水準をもう少し高めてほしい。日本人作曲家による演目「修禅寺物語」は坂田藤十郎の演出という話題性もあり、集客につながった。

今後は、「日本ならではの優れたプロダクション」の制作を一層心がけ、海外にも新国立劇場の存在をさらに示す必要がある。優れた指揮者と演出家、そしてスター歌手の起用という3つの要素がバランスよくとれた舞台を目指してほしい。特に優れた指揮者の起用を望みたい。今まで以上に欧米からの情報を積極的に収集して、公演に反映させてほしい。

オペラの公演に関しては、収支率の計画がきわめて低いものが多く、平成21年度は、オペラだけで約6億5,800万円の赤字となり、平成20年度(△約5億800万円)と比べて約1億5,000万円、率にして29%以上も赤字が増加した。あの赤字は民間からの寄付によって補われている。芸術的な価値が高いオペラ公演を行うことが重要なことは言うまでもないが、民間からの寄付のみに頼ることには限界があり、終始改善の努力がさらに必要である。

感想。日本のオペラ上演てのは、外国でやってるオペラを国内でも観れるようにするってのが基本なんだなあ。来日公演の内作が目標なんだろな。一定以上前の時代からのファンにとってはそれが自然なのかもね。遅れてきたファンの私には分からんけど。とりあえず観たいと思えないのには組織的な理由があるんだと思った。

あと、たまたまこの年がそうだったのかもしれんけど、ドイツ系に偏り過ぎじゃ。どっちかというとドイツ系オペラのファンである自分から見ても偏り過ぎだわ。制作サイドじゃなくて評価者が偏ってる印象。