メト「ラインの黄金2010」@WOWOW

今年の秋からメトのオペラ放送がNHKからWOWOWに移った途端に、我が家にものすごい勢いでメトのWOWOW放送分の映像が溜まっていまして。というのは、我が家はTVが無くて放送は専ら外で見るか*1、知人に頼んで録画してもらっていたのですが、その知人がNHKの芸術番組は全くチェックしないのにWOWOWの番組表はコマメに目を通しているらしく「オペラ放送してたから録画してあげたよ」とかいって録ってくれるんですね。しかもハードディスクに番組録画は出来てもDVDに焼くことは出来ないので、「ハードディスクいっぱいだからDVDに移しに来てー」と言ってくるので、どんなに忙しくてもせっせと焼きに通わなあかんわけです。ちなみに今秋の放送は「1本だけ録画し損ねちゃったけど、後は全部録画した!えっへん!」だそうです。

そういうわけで、溜まったディスクを少しは消化してみようと、まずは新プロダクションのラインの黄金を観てみました。そんなに真面目に観てないし、放送メモ程度なんでそのつもりで。

まずはプロダクションですが、うーん、TV放送の感想としては、こりゃ退屈なプロダクションを作っちゃったなーというもの。劇場で観ると重量感やスケールなどでまた違うのかもしれませんが、TV画面で見る分には、全く映像映えしませんね。セットと照明のイメージがCGみたいなのに、本物のCGと違って実セットですから、軽快な動きが出来なかったり、人物がおっかなびっくりだったりで、良く出来たCGを見慣れている現代人には厳しいんじゃないかな。映画館や放送で観るというシチュエーションに対しては。ゲルプ支配人はメディア戦略を強く意識している筈ですが、どうしちゃったんでしょう。意識し過ぎる余り、真似事をして劣化版になってしまったのではないでしょうか。舞台芸術舞台芸術としての特性を考えて・・・って素人が言っても仕方無いですけど。

あと、なんというか、KW演出と共通するジャスト・アイディアで突っ走り、実際にやって見て改良してこなれたものにするプロセスが欠けている気がします。あの装置を立ち上げるだけで精一杯で、そんなことやってる時間が無かった気も致します。また、これが一番この系統の演出では痛いのかもしれませんが、美術的なセンスが正直良くないですよね。カラーとか素人くさい。全体を通して。TVで全体像を眺める分には、そういう印象だったなあ。

この系統でTV映えするプロダクションというとバレンシア・リングだと思うのですが、あれは背景美術に徹して黄昏で変なことをやり出さなかったらもっと良かったのにそこが惜しいのですが、美術センスは良かったですよね。歌手は・・・後半が・・・。

メトラインに戻って、歌手は、ローゲがマシ。ターフェルのヴォータンは、私はターフェル好きですけど、でもノリが全然ワーグナーじゃないなあ。声質が向いてないはよく言われてるようですけど、私は声質はそんなに絶対じゃない方なので不問で、歌唱スタイルというか表現というかリズムというか・・・そういう観点から違うなあと思います。他のレパートリーの方がいいんじゃないかな。って来年聴くつもりなのに盛り下がってしまった。後はみなさんよくお務めなんじゃないでしょうか。

辛口ですいませんが、そもそも私がメトを観てもステーキ屋に行って寿司が出ないと言い出すようなもんなので、だったら観るなって話ですが、そのうち読者プレゼントでDVD放出でもしようかと思います。今年のWOWOW放映分でなんか欲しいものがあったらコメント欄に書いて頂ければ優先いたします。先着順とは限らず、常連の方を優先させていただきますのでご了承ください。あと発送は超気長にお待ち下さい。

*1:24時間自由に使える空間に一通りの機器と受信環境が整備されておりまして、そりゃTV無くても困らないわーって状況です。そもそも家にいないしね。