公開質問状を市長候補者に渡してきました

京都会館再整備について
京都市長選挙に立候補を予定している皆様への公開質問状


このたびの市長選挙にあたり、京都会館の再整備は京都の文化行政や環境・まちづくりにとって大きな問題であると考えますので、皆様のご見解を伺いたく、ここに書面をもってご質問させていただきます。

京都会館は京都の戦後復興の象徴として、戦前に倒壊した岡崎公会堂の再建という市民の切実な願いを受けて高山義三市長のリーダーシップのもと、前川國男の設計によって1960年に竣工しました。その際には日本建築学会賞、建築業協会賞、建築年鑑賞、照明学会賞など数多くの賞を受賞し、海外の評論家にも絶賛されました。
さらに時を経た現代においてもその評価は不動であり、日本を代表するモダニズム建築のひとつとして、2000年には日本建築学会近畿支部の「関西のモダニズム建築20選」に選ばれ、2003年には世界遺産を統括するユネスコとも関係の深い国際組織DOCOMOMO日本支部の「DOCOMOMO Japan 100選」にも選定されました。
 京都会館が有する建築的、歴史的、都市環境的な価値について、日本建築学会は「京都会館についての見解」(2011年3月)において次のように指摘しています。

    • 1.日本の戦後モダニズム建築の到達点を具現化した重要な建築であること
    • 2.都市的な公共空間の創出を試みた優れた建築実践の具体例であること
    • 3.京都の歴史的景観を形づくってきた象徴的な建築であること
  • 質問 (1)
    このような価値をもつ京都会館の内部空間および外観を大幅に改変する再整備計画について、いかがお考えでしょうか。
  • 質問 (2)
    京都会館の再整備に関しては、平成14〜22年度に専門的な調査や検討委員会を経て、外観を保存したまま、または一部増築によって、第一ホールの機能改善を図る方針が出されていました。しかし再整備基本計画では、公的な議論を経ずに第一ホールの建替という結論に変わっています。平成22年度以前の方針を無視したこの建替の妥当性について、いかがお考えでしょうか。
    現職におかれては、方針変更の理由およびプロセスを明らかにしてご回答ください。
  • 質問 (3)
    今回の再整備に伴って、該当地区の高さ制限を15メートルから31メートルに緩和する都市計画の変更が予定されています。これは、京都市自らが、市民の私権を制限してまで実施された新景観政策の理念や主旨に反する行為を行うこととなると考えます。この点についていかがお考えでしょうか。
  • 質問 (4)
    今回の再整備には100億円近い費用が必要で、ロームとの命名権契約による52億5000万円の収入と国の補助金等で賄われるとのことです。国の財政赤字が喫緊の大問題で、さらに東日本大震災以降は東北の復旧・復興を優先して税金を有効使うべき時に、50億円近い国税を投入することについて、いかがお考えでしょうか。
  • 質問 (5)
    今回の再整備によって世界水準のオペラやバレエが上演可能な舞台設備を保有すれば、施設の維持管理費が現在より増大すると考えられます。市民にとっては施設使用料が上り、税金(市民負担)のさらなる投入が必要となる可能性があります。この点についていかがお考えでしょうか。

上記5項目について、ご高見を承りたく存じます。ご回答は1月18日までに寄せて頂ければ幸いです。ご回答は、公表させていただく予定です。よろしくお願いいたします。


呼びかけ人

    • 榎田基明(京の道と交通を考えるネットワーク 事務局長)
    • 梶田真章(法然院貫主
    • 兼松紘一郎(DOCOMOMO Japan幹事長)
    • 川越義夫(小倉山をみつめる会 世話人代表)
    • 榊原義道(北山の自然と文化をまもる会)
    • 佐々木佳継(京都・水と緑をまもる連絡会 )
    • 鈴木博之東京大学名誉教授、青山学院大学教授、DOCOMOMO Japan代表、「明治村」館長)
    • 西本裕美(京都会館再整備をじっくり考える会)
    • 西本雅則(京都水族館(仮称)と梅小路公園の未来を考える会)
    • 久永雅敏(新建築家技術者集団京都支部 事務局長)
    • 前田忠直(京都大学名誉教授)
    • 松隈洋(京都工芸繊維大学教授)
    • 宮本和則(京都の近代建築を考える会 代表)
    • 横内敏人(京都造形芸術大学教授・副学長)
    • 吉田剛(北区まちづくり研究会 運営委員)
    • 吉村篤一(京都会館を大切にする会 代表)
    • (以上16名 アイウエオ順 2012. 1. 13現在)

回答送付先(以下略)

本文 http://www.jca.apc.org/jikkuri/docs/120113_KyotoKaikan_OpenLetter.pdf

頂いた回答は、市長選告示(22日)直前の20日にプレス発表する予定です。

ついでに余談。選挙対策事務所が、門川候補の事務所は留守番が一人いるだけで、がらんとしていて、全く選挙らしくない様子。本人とは言わずとも選対の責任者の顔を見て手渡ししたいと思って持参したのですが、正直郵送するのと全く変わらんかった。

中村候補の方は、私がいるちょっとの間にも次々に人の出入りがあって、いかにもイメージ通りの選対事務所って感じ。たまたま本人の出入りがあったので、直接お願いすることが出来ました。