ラ・プリマヴェーラ@兵庫芸文センター
去年のフィガロで気に入った上村智恵さんの名前を見つけたので行ってきました。前半が地元のコーラスグループの発表会で、後半に上村さんと伊藤さんのコーナーでカンツォーネ2曲とオペラのソロアリアが3曲、デュエットが1曲という構成。
実はレポをサボって書いてないんだけど、以前アルティで聴いた素人合唱団の発表会が意外に楽しめたので、その部分も楽しみにしてました。私はこういう雰囲気が根本的に好きなんだろうなあ。
第4回 ラ・プリマヴェーラ
2012年4月10日(火)
開演13時30分(開場13時)
兵庫県立芸術文化センター小ホール東灘区民センターコーラス“ラ・ロンディネ”
東灘区民センター「世界の名歌を歌う」クラス“イル・マーレ”
ヴォイストレーニングクラス西宮“イル・フィオーレ”
ヴォイストレーニングクラス兵庫“ラ・ステッラ”
ムジカヴィーヴァ「世界の名歌」クラス指揮/バリトン 伊藤正
ソプラノ 上村智恵
マンドリン 粂井謙三
ヴァイオリン 林 洋子
チェロ 竹中ゆき
ピアノ 青山洋子上村智恵&伊藤正によるイタリアンファンタジー
- 夜の声 E.クルティス 伊藤
- ジェルソミーナ ニーノ・ロータ 伊藤
- ムゼッタのワルツ”私が街を歩けば”(ラ・ボエーム) 上村
- モノローグ(アドリアーナ・ルクヴルール) 伊藤
- 私は創造の神の下僕です(アドリアーナ・ルクヴルール) 上村
- アメーリアとシモンの2重唱(シモン・ボッカネグラ) 上村・伊藤
んで、その目当ての部分ですが、普通の歌の後に聴くと、やっぱオペラ面白いなーって思うんだよねえ。普通の歌もいいけど、こうやって続けて聴いちゃうと平ったいなーって。ま、それで正しいんだけど、こうやって連続して聴いちゃうとね。聴衆(殆どは合唱団の知人でオペラの聴衆ではない)の反応も、この部分で体温が1℃上がった感じだったし。今日みたいな体験だと、例のオペラ歌真似(素人の人がよくやる「ぬっさん・どぉぉーらまぁぁあ」みたいなアレ)みたいな印象にはならないだろうね。
上村さんは、やっぱ聴きにして良かった。私、こういう歌い方の人大好き。音量や音色のコントラストが豊かで、すごくはっきりしていて、一音を入れるだけでも、いきなり入れずに、すごいピアニッシモから入れて高揚させるのね。こういうタイプの人本当好き。これぞまさにオペラって気がする。至福。なんて表現していいのか分かんないんだけど、声質も素直で若いソプラノらしくて良いと思う。でも歌唱スタイルが断然いいのだ。しかも今日は近い。400席強の小ホールで息遣いまでバッチリだから、お得な企画だった。
歌は、ムゼッタのワルツよりアドリアーナやアメーリアの方がハマっていた気がする。温まるのに時間がかかったのかな。アドリアーナは特に良かったなあ。すごく気分が盛り上がってきた。関西二期会でもうすぐ公演があるのですよね、このオペラ。残念ながら上村さんは出ないのですが、伊藤さんは出演予定で、彼のパートはこの公演から先行して一部を聴かせるという形式だった。モノローグ、歌舞伎みたいな雰囲気なのがすごく面白いと思った。これは楽しみです。
http://kansai-nikikai.com/?p=795
ところで話は最後に一般論になるんだけど、上村さんみたいなコントラストの強いスタイルの人、女声ではポロポロいるんだけど、男声ではいないのよねえ。私が思い当たるのはアナセンだけ。これは男声では、そもそもスタイルとしてこういうことはしないことになってるってことなんだろうか。とでも思いたいくらい、国際的なスター歌手(ということになっている歌手)でも、しないんだよねえ。
正直私の感性では、オペラの歌唱が「強い」とは、音を一杯に張った瞬間のことじゃなくて、ずっと一定して大きな音が出ることでもなくて、こういう種類の「コントラストの強さ」を意味するので、むしろ一定以上の大きさの音をコンスタントに出されると私の感性は「平坦で弱い」と認識するので、つまり、男声に関しては、そこがいつも不満ポイントなのである。