篠ざき+京響@びわ湖ホール2012

聴きに行ってきました。色々発見があったけど後で。

と書いて大分放置してしまいました。明日の定期の前に慌てて書いてみます。

今日は、地元滋賀出身でヨーロッパで活動している指揮者、篠ざき氏を年に一度は地元でフルオケで聴こう会ということで、地元の地銀が主催する会です。こういうときって普通のコンサートと何が違うって、ホールに入るとスタッフが背広のおじさんばかりなのと(普段はホールのお姉さんなのでギャップがある)、客層が、ファミリーが多い。でも、こういう場に居合わせると、地元に大事にされてていいなーと思います。京都ってそういうのないんだよね。良くても悪くても冷やかな街だから。ある程度大きいから、世界的に活躍する出身者とかがいても、そんなの珍しくないでしょ?それが何か?って感じ。

まず思ったことは、今日は大編成の上にピアノまであるのに、舞台に余裕がある。いつも京都コンサートホールだと、大編成作品で丁度舞台いっぱいジャストサイズ!って印象なのでに、ここからさらに余裕があるとは、やっぱりオペラハウスの舞台って大きいのねーと、当たり前のことを実感したのでした。

陣取ったのは3階サイドの一番舞台寄り。3月の経験の後だったら4階を選んだのでしょうが、その前に購入済だったので3階でした。しかし今日思ったのは、上階のサイド席らしく高解像度が楽しめるのに、音に包まれる心地良い感覚が両立してるということでした。これはかなりいい感じ。同時期に聴いて比較したら4階の音の方がって思うのかもしれませんが、これはこれでいいです。今日はオケがピットじゃなくてステージにあるので、オペラでは近過ぎると感じた距離がいい塩梅に離れたのかもしれません。

あと、この会場では、管がうるさくならず、しかし前に出て聴こえる。これはとても良い特性だと思った。

今回私が足を運んだのは、去年の演奏がとても良かったから。それに、なかなかバランス良く聴けなくて四苦八苦していた交響曲でのソロとオケのバランスを納得させてくれた初の体験だったから、その謎を解明しようと思って来た。

で、今年はピアノ協奏曲だったのでひょっとして難しいかなーと覚悟してたんだけど、やっぱり難しかった。自分に限った話ですが、ピアノの弦が減衰する音に違和感があって、感覚がそっちにとられちゃって、ついピアノを大きく、しかも異質な音として聴いちゃうんですよ。私には駄目だー。そのうち直るのだろうか?これ。そういう悪条件の中ですが、今日の感触では、いつも協奏曲で苦労するのは、指揮者が作るバランスというよりは、ソリストの音色によるのかなーと思いました。別に今日の演奏が駄目だってことじゃなく(そもそもピアノに対しては私は言及する資格無い)、オケの側に協奏曲がしっくり来る秘密を探したけど見つからなかったので、しっくり来る/来ないはまた別の問題かと思ったのでした。なんつか、ソロ楽器がガンガン弾くのが駄目なんだよね。しかし相場からおそろしく外れたものを勝手に求めている自覚は自分としてもある。

話が前後しますが、1曲目の武満「ハウ・スロー・ザ・ウィンド」はすごく良かった。武満って天才!これすごい。この短い時間に、次々と移り変わる世界に、とんでもない世界に連れて行かれる。そうとしか言えない。

で、2曲目は四苦八苦しながら過ぎて、メインの幻想交響曲。いやー。なんちゅうか。なんでこんなもの作るんでしょうねえ。芸術家って分かんないね。こういうものを他人に開陳して明日も生きて行くってのは私には出来ない。なんかこう、それを作った人の自意識について考えてしまうような、そういう作品だった。もっとこう、格好付けて終わりたく(まとめたく?)ならないのかな。悪趣味とナイーブが、ちょっと気恥ずかしくなるような、そういう感じだったなあ。

演奏としては、こういうことをつい考えてしまうところに持って行ってくれたので、とても良い演奏だったと思います。今日はあまりひとつひとつの音に耳が向くってことはなかったんだけど、ホルンセクションが、いつもソロはいいんだけど、セクションとしてはどうなんだろうと思う感じがちょっとだけあって*1、今日はそれが全くなくて、すっかり安心して聴けたことです。これは金管に対して会場の音響が良かったことも大きいのかもしれません。逆に考えると、いつもの京都コンサートホールはオケには酷なのかも。でも京響はあの会場にすごく鍛えられたと思うので、これからも頑張ってください。

4月15(日)2:30pm びわ湖ホール・大ホール
篠ざき靖男プロデュース・オーケストラ・シリーズ第2弾
ベルリオーズの「幻想」
武満徹:How slow the wind
ショパン:ピアノ協奏曲第1番
ベルリオーズ幻想交響曲
篠ざき 靖男(指揮)
インゴルフ・ヴンダー(ピアノ)

*1:ちょっとだけね・・・ちょっとじゃないときにはこんなこと思わないから・・・"素人にも「あとここが」って指摘出来るのならそれは完成に近い"の法則ですよ。