住民監査請求の陳述に行ってきました。
この日は京都会館第一ホールの解体差止を求める住民監査請求に行ってきました。陳述が9名、傍聴が76名と、監査請求としては参加者の多い場になったのではないかと思います。
色んな視点からの陳述があったのですが、私からは、監査請求書にある「市はこれまで検討していた京都会館の建物を保存・継承しつつ耐震補強や内部の改修にとどめる案を採るべきであった」「第1ホールの全面建て替えを行わなければならない必要性・合理性は全くない」という記述を補完する内容を陳述してきました。
陳述の場ではもっと硬い言葉で書いたけど、平易に言うと、以下の3点。
- 今回の計画の作成にあたっては、公の議論が全くなされていない。専門家や関係者による検討も行われていない。以前に行われてきた京都市自身の検討と内容の連続性が無く、内容に矛盾する点が多く、以前の検討をもって専門家や関係者による検討が行われたとは言えない。
- 計画の発表に先立って行われた市民意見の募集にあたっては、第一ホールを解体して該当地区の高さ規制を大幅に緩和するような高度の建築物に建て替えるという最重要ポイントが公表されておらず、それどころか現状の建物をそのまま使用するかのような誤読を誘う文章によって募集された。この計画は一度も市民の意見を聞いていない。
- 計画内容が、専門家や関係者が検討していれば有り得ない結論となっている。
- 以前の改修計画と比べて、50億円もの追加的な費用が発生するにも関わらず、以前の改修計画と追加的に可能となることが殆どない。失うもの*1に対して、得るものが少な過ぎる。コスト対パフォーマンスが悪過ぎる。
- 追加的に可能になることの部分を、演目・ジャンル毎の対応可能性として、以下のようにまとめた。
現状 | 改修案 過去の検討 | 建替案 今回の計画 |
||||
改修内容 | 舞台内高さ | 6〜9.5m | 18〜20m | 27m | ||
改修費用 | − | 60億円 | 110億円 | |||
演目・ジャンル 対応可能性 | クラシック音楽・合唱 | ○ | ○ | ○ | ||
ポピュラー音楽 | 標準セット | ○ | ○ | ○ | ||
大型セット | × | ○ | ○ | |||
オペラ | 国内制作 | △ | ○ | ○ | ||
来日公演 | 巡回オペラ*2 | × | ○ | ○ | ||
有名歌劇場*3 | × | × | × | |||
バレエ | 国内制作 | △ | ○ | ○ | ||
来日公演 | × | ○ | ○ | |||
芝居 | 第2ホール相当 |
その他に、京都市自身の過去の検討文書から以下の部分を改めて指摘してきました。
- 「京都会館再整備の基本的な方向性に関する意見書(平成18年、京都会館再整備検討委員会)」「京都市特定建築物の耐震診断業務 京都会館の耐震診断(平成14年度)」
コンクリートの中性化は非常に良好な値を示しており,現時点では補修することで寿命を延ばすことが可能な範囲である。(中略)計画的な保全を行うことで100年以上持たせることも不可能ではない。
- 上記意見書の結論部分
「現在の京都会館の建物を保存・継承しながら,施設水準の向上のために必要となる機能の再整備を行う【A】案(外観の保存)もしくは【B】案(一部増築)を中心として,今後詳細な再整備の構想・計画を立案していくべき」
※ 同時に、「【C】案(敷地計画自対の見直しを含む建替)として現代の利用ニーズを充足するような理想的なホールを整備」する可能性についても述べられているが、基本計画においては付加的に充足される利用ニーズが検討されておらず、この計画に基づく基本設計案においては、近年整備された諸ホールと比べてホワイエやバリアフリーが犠牲にされているなど、建替えによって利用ニーズが充足されるとは言い難いものになっている。
- 「京都会館再整備構想検討に係る機能改善可能性調査(平成19年度)」
音楽ホール専門家の目から見て、舞台内高さを多目的ホールとして標準的な18メートルとすれば、「今までできなかった演出を行うことができる」、「有名プロアーティストの興行が増え、近年減ってきている第1ホール稼働率を回復させることができる」「最近できた他の多目的ホールと比べても、充分な演出ができる」ことが述べられ、この改修案にかかる費用は60億円と見積られている。
- 「京都会館再整備基本構想素案(平成22年)」
舞台内高さ20メートルの改修案で「大型の舞台セットにも対応可能」。
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