カルメン@関西歌劇団

まあまあ楽しめたけど、ってとこかな。

舞台に大きめの壁セットを置いて割と狭めに使っていて、そこに大人数の合唱が入って入り乱れるものだから視覚的には迫力満点。このセットはどこかで見たと思ったら「ねじの回転」で見ていたのでした。3幕で窓の形が変わって「おお!」と思ったり。

合唱はとにかく元気があって迫力があるが、ソリストの歌唱に合いの手のように入るところなど大き過ぎてソリストの声が相対的に小さく聴こえてしまう効果も。

演奏は、金管の扱いがドンガラガッシャン風なのに不満が。今回はよく演奏されるカルメンのカット版だそうで、しかもそのカット部分は作曲家が興行主らの意向を受けて追加した本来不要と考えていた部分であり、これが本来のカルメンという趣旨らしい。実は私は全く違和感を感じなかった。


カルメンの西原さんは声質や押し出しなどは合っていてよいのだが、ハバネラやセギディーリャ(セリビアの酒場リリスパスティアで・・・)などで、もっとグルーブして欲しいなあと思うところが。ホセの清水さんはびわ湖ホールのアンサンブルで度々聴いてる人。多々工夫の跡が伺えるもののこれからの人という感じだが、花の歌では感心した。こういった名アリアは、古今東西の名歌手の録音に簡単にアクセス出来る昨今どうしても要求レベルが上ってしまうのだが、その分名人芸風に凝ったものに触れがちで、それを、すごく素直に直球に歌っていて、ああ、ここはそうだよなあ、と思った。音も2箇所くらいしか外さなかったし*1。ここの花びらを落とす演出はリアルで良かった。岩田さんの演出はこの手の卑近なリアルさが好きだ。

カエラの三輪さんはミカエラとしては声質・芸風ともに強すぎるんじゃないかと思った。エスカミーリョが外見・存在感ともになんだか可愛い感じだった。5部丈ズボンとか履いて出てくるし。カルメンの仲間の男2人のどっちかの声量が出過ぎで、あれは誰かが調整して抑えた方が良くはなかったろうか。

幕間の場面転換時のフラメンコは、オーケストラを聴きにきた客相手にタップを10分以上聴かせるのはちと厳しいのではないかと。場面転換に真っ暗にしておくよりよいだろうということかもしれないが、酒場のシーンがはじまってからの分はちょっとやり過ぎのような。

ま、でも楽しめました。

関西歌劇団第94回定期公演「カルメン
2012年6月17日(日)14:00開演
会場:あましんアルカイックホール
指揮/井村誠貴 演出/岩田達宗
カルメン/西原綾子
ドン・ホセ/清水徹太郎
エスカミーリョ/西村圭市
カエラ/三輪千賀
フラスキータ/大?獲??
メルセデス小川典子
ダンカイロ/東平聞
レメンダード/小林峻
スニガ/山川大樹

*1:これ結構レア。もっともっと外れる人が多い。