オペラを減らして、リートに注力します(2)

この日の続きです。今日もほぼ全訳しようかと思ったんですが、なんだか放心してしまって力が入らないので止めときます。その代わり自分語りしていいですか。まずはインタビューの後半から、いくつかの質問をピックアップして紹介します。ロシア語を英語に機械翻訳かけたものを元に、妄想力総動員で日本語化した文章ですから、その点はご了解くださいね。


昨日うまく日本語化出来なかったクエスチョンの再チャレンジから。

学生時代は反抗家だったって読みましたよ。まだその傾向が残っていますか?これは反抗のはじまり?
その通り。まだ残ってるけど、そんな分かりやすく見せたりはしません。私は従順なティーンエイジャーではなかった。社会主義の時代に青春を送ったし、ビッグブラザーのロシアがいて、いつも反抗してた。ロシアという国に対してではなく、共産主義者に対してね。音楽の世界に移っても、ずっと何か言いたかったし・・・・(ちょっとここは難しい。以下超訳になります。)退屈な存在にならないようにしてた。なにか他のものになりたかった。いや、違うものになることが目的じゃなくて、出来上がった世界の中でぬくぬくとしてるものを引きずり出してやりたかったんだ。
この世界はお好きですか?たぶん、違いますね・・・?
難しい質問です。基本的には大好きです。もちろん受け入れ難いこともたくさんあります。この世の全てが好きになれるわけではありませんが、嫌いなことばかりでもありません。私は自分のキャラクターと能力で出来る範囲で世の中をより良くしようとしてきました。壁の中で頭を振るようなものかもしれませんが、試みてきました。私の歌で、人々をハッピーにしたい。すぐには無理でも、徐々に。音楽で、人々を日常のルーティンから解放したい。

(以下全訳は止めてダイジェストです)

  • ラムスタインの音楽について。反抗家スピリットの一環。ロックと現代音楽について。ラムスタインの詩の世界はゲーテに通じる。ただそこには時代の隔たりがあるだけ。
  • DGとの契約について。: 専属だったが、今はそうではない。専属アーティストはかごの鳥みたいなもの。
  • パーペがヴォータンを歌うリングサイクルについて。スカラ座で春にラインの黄金、秋にワルキューレをやる。ミラノの次にはベルリンで公演がある。リングサイクルはいつ完成するかという質問には答えていない。
あなたは既に有名で、世界中のファンから愛と尊敬を集めていて、さらに満たされない野望があるのですか?
最後まで満たされることはありません。舞台を終えて引き上げるときでも、もっとよりよくするために出来ることはなかったか考えます。これは自分自身に対して。他人からは、うまくやったと見えるかもしれない。でも自分自身が今日は最高だったと思い始めたら、そこで終わりだ。だから公演の後は考える、もっと出来ることはなかったかって。
それでも、オペラから去ろうと思っているのですか?
そうじゃない、オペラの世界だけに生きることを止めるだけ。20年後に、あのときの決断は正しかったと言われるようなものを見つけるよ。

蛇足の自分語り

本当に蛇足ですから、読まなくていいですよ。

これ切なくなりますよねえ。パーペの表情も。これ出たときはネット断ちしてたので知らなくて、来日公演でNaoさんから教えてもらったんだけど、そのときはさっぱりピンと来なくて、頓珍漢なこと言ってました。帰ってきてチェックしたら、また心臓わし掴みですよ。この人の言うことは、たまたま自分の考えてたことを先取りして言われてたと思うことがあって、すごく吃驚するんだけど。まあ、多くの人にそう思わせることが出来るからスターなのだろうけど。

これ読んで一番に思ったのはですねえ。ああパーペも人生を逆算したんだなーって。無限の時間があって何でも出来ると思ってたステージから、残された人生の中で何が出来るかって考えたらこうなったんでしょう。

あと共産主義の話とか。私は西側の極東の国にいて、内側からそれを見たわけじゃないけど、それでも多感な頃に壁の崩壊とかソ連の解体とかをリアルタイムで見て大人になって。それまであった絶対的なものが、とてつもなく巨大な存在が(だって国家より大きい体制ですよ!)、到底変えられないと思っていた存在が、そんなものでも変わるんだと目の当たりにして育った世代なわけです。だから今でも何でも出来ると思ってる節がある。夢想家なんです。

でも共産主義の最後に、内側で何があったのかは知りたいな。どうやって変わったんだろう、ということを長いこと思ってた。あんまり本も無いんですよね。ちょうど今、共産主義の崩壊のときに現役だった方々が亡くなってるタイミングですから、なんか出るなら今というか、実際関係者の一方が亡くなったからという理由で明かされていなかった事実が出てきてますもん。

ああでも、パーペが文化人みたいになったら、ちょっと笑えるな。悪人顔だし。

こうなっちゃうと、彼のオペラは貴重品になっちゃって、チョイ役とかあり得なくて、大きな舞台の大きな役しか演らなくなるんだろうなあ。その分リサイタルをやってくれるかしら。活動の場自体は広がりそうだから*1、私的には楽しみなところもあります。純オペラファンのみなさんには申し訳ないと思いつつ。

これ読んで無性にパペボリスが聴きたくなりました。なんでボリスなんだろう。だって他のどんなキャラクターよりもボリスなんですもん。聴いちゃったら余計切なくなりましたよ。きゅーって。

歴史に興味があるなら、ボリス考察シリーズでも英訳して送りつけようかな。って送りつけようにも手段がないじゃん!またリサイタル行って突撃するのか?これは6月のリーダーアーベント行って、そのままボリス3回観ろってことか?今後の舞台が限られるなら、彼のボリス観るチャンスも限られるから、意外と現実味のあるプランだな・・・・

最後に。なにか「トニオ・クレーゲル」が読みたくなったよ!なぜトニオ。ちょっとamazonでポチってくる。

*1:例えば映画とかね。