METマイスタージンガー2001 (3)
3幕
序曲。3幕に序曲があるのか。さすがワーグナー。こんなことしてるから演奏時間どんどん長くなるんじゃ。あっ2幕のラストから予想してたのと調子が違う。なにこれなにこれ?
幕が開くと、何かを読みふけっているザックス。ダーヴィットは可愛い奴だな。話はやっぱり2幕の続きだ。じゃあの序曲は何?ザックスの心理?
こうやって改めて聞くとザックスパートは大分高いな。ヴォルターの見た夢を歌にすることを勧めるザックス。ルールは後から着いてくるってさ。ヴォルターの歌、これはなんか聴いたことある。耳に馴染みのいい旋律だ。
あ、ひょうきんなおじいちゃん登場(ベックメッサーです)。どったの、腰痛いの?そんなんじゃ若い嫁さんもらえないよ*1。このコモノ感の演出加減はいいなあ。癖になりそう。
微妙に腹黒いザックス。ベックメッサーを盗作者に仕立てあげてしまいます。ベックメッサーかわいそうだって。
エヴァに靴の難癖付けられるザックス。そして、おめかしして出てきた騎士様。2人だけの世界を作るエヴァとヴォルター。その間エヴァの素足をいじってるザックスの図がちょっとエロティックです。
ザックスとエヴァのこの関係はちょっといいな。"あなたが私の感情を起こさなければ、あなたのchildでいられたのに。"この作品を通してずっとchildなんだよね。ということでエヴァが少女っぽければもっといいのに。マッティラはもっとクールな現代女性的な役には合うと思うけど、こういう古風なのはどうなんだろ。声がお母さんぽいのも気になる。歌が悪いわけじゃございませんよ、聴いててあんま苦しくならないシンガーだし。
重唱のとこ・・・・モリスはオペラ歌手には珍しくホームドラマのおとっつぁん的なニュアンスが出せるなあ*2。
そういえばザックスの部屋の窓が汚れてるのがリアルなセットだった。
場面変わって、祝祭の場面。わー。モブの人数が半端無い。豪華だ。はじまる合唱がちょっと・・・・ひょっとしてこの劇場は合唱が弱い?
職人が次々に出てきて歌合戦らしい風景を繰り広げます。ダーヴィットのこの垢抜けないぼっちゃん臭さは可愛いな*3。この何をしても決まらない感じがいい。トランペットは、オケの人があの格好をしてあそこに上がるのだろうか。
マイスタージンガーの入場。マイスタージンガー達って、この街の名士なんだなあ。お手々繋いで現われるポーグナー親子。君ら年恰好似合いだから。ザックスは子供に好かれてます。ザックスとポーグナーはいつも仲良いな。
ザックスの演説、そして歌合戦がはじまりベックメッサーの出番へ。このベックメッサーの人はやっぱり上手いな。2回目に台にあがるとことか。こういうシーンを、観てる方がしんどいーって印象を与えないように演るの難しいんだよね。散々躊躇して歌い出します・・・・あーこれ、難しい役だなあ。歌詞の間違いとか分かると面白いんだろうけど、よく分からん。
ザックスの釈明から歌の真の作者ヴォルターの登場。しかしこのザックスパートはやっぱり高いね。ヴォルターの歌は見せ場ですなあ。普通にいいです。安心して聴いていられます。
ヴォルターに月桂冠を被せるところのマッティラの歌唱はよい。この役ではあんまし歌唱が目立つシーンないけど、それが勿体無いとここ聴いたとき思った。
みんな感心してメデタシメデタシとなりそうなところで一悶着。ヴォルターがマイスターは要らないと言い出して、ザックスがドイツ芸術を敬いなさいと説いて、ヴォルターが受け容れてメデタシメデタシ。2人をくっつけて寂しそうに去ったザックスにエヴァが月桂冠を被せておしまい。
ポーグナー父さんは、エヴァの父親の役目を軒並みザックスに取られて手持ち無沙汰っぽい。娘の手を取って花婿に渡す役とか、全部ザックスだもんなあ。
振り返って
なにか歌のことをあまり書いてないですが、ひとつひとつの歌がどうこうじゃなくて、舞台を流れる音楽に身を任せていたら時間が過ぎていった感じ。心地良い時間でした。オペラを観たというよりコンサートの後のような印象でした。