メンデルスゾーン・アンティゴネ
この度の円高で買い物しまくり、積聴作品の山を築きつつあるstarboardです。ついでに来年6月のドレスデンのボリスのチケットもポチりまくったyo!我ながら何やってんだ。ああ円高が憎い(本末転倒です)。
というわけで、せっせと在庫を消化しないといけません。聴いたからにはレポらないと先に行けません。そゆわけで、Antigoneレポ、行ってみよう。
しかし、この間からなんでこんなマイナーなものばっかりレポしてるんかといいますと、私の作品の集め方の問題でして、あるジャンルをコレクションしようと思い立ったら、まずリスト作って、その時点の入手困難品揃えて、そこで満足してしまって、ついついメジャー作品を後回しにしてしまう癖があるんです。その後は入手困難の気配があるまで購入に動かないという腰重っぷり。本当に何やってんだ。
では聴いてみましょう。この作品は男声合唱とバスの掛け合いで構成されていまして、そこに役者(歌手ではない)の台詞が入るという構成です。劇付随音楽というジャンル自体をつい先日知った私ですが、そのきっかけとなったプロコフィエフのボリス・ゴドゥノフのせいでこのジャンルには期待大です。
まず合唱がいい!ああハーモニー。中くらいの高さ、高くもなく低くもなく、目線の高さくらいのところを、これまた大河でもなく小川でもない普通の都市を流れる中くらいの河が、目立つ緩急も無く普通のテンポで流れていきます。音量もあんまり大小せず一定のところを保っていて、極端過ぎるくらいにレンジを上げ下げする先日のパッパーノ・ヴェルレクとは正反対の個性です*1。なにもかも中途半端みたいな、微妙な表現をしてしまいましたが、褒めてます!!この音楽*2においては、緊張感や感情の高まりを表す役目は器楽パートに割り当てられていて、合唱パートはそれとは距離を保って流れているのです。なんとも不思議だけど心地良い個性です。
バスパートも合唱と同様で、あまり劇的にはならず、劇の進行とは距離を置いて構成されています。合唱が背景を作っているとしたら、バスパートの役割はよく抑制されたナレーターです。その前で台詞とオケがドラマを構成しているのです。
そしてパーペはとってもパーペらしいパーペです。いつもそうじゃねえかというツッコミが可能ですが、いつも以上に「らしい」です。「これがドイツ語だぜ!」って感じでパーペ節炸裂です。「らしい」というより「原点」?1991年の録音ということで彼のキャリアの初期の作品ですが、同時期のライブ音源よりもリラックスして落ち着いて歌っている印象です。
Naxosライブラリで視聴可能です。http://ml.naxos.jp/album/C49581
ちなみに私が購入したのは後でリリースされたメンデルスゾーン劇付随音楽集4枚組です。4枚のうち2枚がパーペ参加作品で、もう一枚のコロノスのオイディプスは単品入手困難品なので、コンプリートしたい人はこの4枚組を買おう。でもブックレットは素っ気ないよ。単品の方ですが、日本のamazonでは中古が高騰してますが、海外サイトでは普通に買えます*3。
メンデルスゾーン作曲 劇付随音楽「アンティゴネ」作品55 ステファン・ソルテス(指揮) テレーゼ・ヘーマー(アンティゴネ) クラウス・ピオンテク(クレオン) ヴォルフガング・ウンターツァウハー(見張りの男・召使) グンター・ショース(コロスの長) ルネ・パーペ(バス) ベルリン放送合唱団、カール・マリア・フォン・ヴェーバー男声合唱団 ベルリン放送交響楽団 録音:1991 リリース:1995 (2007に4枚組として再リリース) |
さていつもだったらこれだけで終わるところですが、あまりにもブックレットが素っ気ないので(簡単なあらすじと作家解説くらい)参考文献を求めて遁走し始めたら、その結果が面白かったので、次に続きます。