アンティゴネの参考文献を求めて

続きです。まず原作です。ギリシア悲劇の三大詩人のひとりソポクレスの手による『オイディプス』三部作の最後を飾る作品です。オイディプスは生まれたときにいつか親を殺すだろうと予告されたために実の両親と離れて育てられ、成長して知らずに父親を殺し、有名なスフィンクス退治を経て王となり、これまた知らずに母親と交わり子を成し、この子の一人がアンティゴネなわけですが、後にこのことを知って母親は自害し、オイディプスは自身の両目をつぶし盲人となって彷徨うという、救いようのないストーリーです。

三作目のアンティゴネは彼の死後に遺された子供達のお話です。男子2名は互いに戦って相討ちで命を落とし、うち片方がときの王権に反逆する立場であったために王によって埋葬を禁じられ、アンティゴネは禁を破って埋葬を行おうとして死刑を宣告されます。これを嘆いた彼女の婚約者で王の息子が彼女と一緒に死に、それを聞いてショックを受けた王の妻も死に、王は大層嘆くという、これまた殺しまくりのストーリーです。

古い作品ですからネットで邦訳の全文公開をされてる方がいらっしゃいまして、コーラスの内容がなんとなく分かるようになっています。有難や有難や。
http://www.geocities.jp/hgonzaemon/antigone.html


さらに有難いことに、フルスコアがIMSLP(International Music Score Library Project)で公開されていました。私はこれではじめてこのプロジェクトを知りました。いやあ、いい時代になったもんですね。これでバスパートの歌詞の意味を調べたり、あの音は何の音だろうってときに調べることが出来ます。アンティゴネのスコアはこちらです。


これ調べて、すこし驚きました。音楽の印象が、とてもそんな重苦しい話をしているように思わなかったのです。あー合唱心地いいーで流してしまっていて。ラストなど重苦しくなる部分もありますが、どんなドラマにもあるそういう場面くらいの認識でおりました。これ知って聴くと、やっぱり違うんですよね。ただし、知って聴き直して、ストーリーの割にはさらっとした、昔話を語るような距離感の劇なのだろうなーとは思いました。