マッチョな人、1人コーラス

カラヤンのヴェルレク(1967)を聴き直して改めて思ったのですが、ギャウロフの声、すごいですねえ。歌唱としてももちろんすごいんだろうと思うんですが、なんだか声自体がすごすぎて、唖然として、歌としての側面が置いてきぼりになってしまいます。

なんというか、1人コーラス状態。声の成分がめちゃくちゃ多い?広い?なんだかこう、本体の他に影法師みたいな成分がいっぱいくっついてて、本体が動くとビラビラっとズルズルっと引き連れて動いてるみたいな。重そう。重いっつーか・・・・粘性を感じる。みんなが空気中を動いてるときに1人だけ水中を動いてるみたい。私の中でギャウロフは、大リーグボール養成ギブスを付けた星飛雄馬ばりのマッチョキャラになってしまいました。

実はちょっと前にgalahadさんから倍音という概念を教えてもらって、それ以来、それまであまり意識していなかった音の成分に注意してみたりしてます。なんでこういう印象になるのかという私の勝手な想像によると、大抵の声は基音の上の(周波数が高い)成分は(振幅が)順調に減ったシャープな波形*1になってるのですが、ギャウロフの場合は基音の上辺りの領域が膨らんだ波形になってるんじゃないかとイメージしてます。勝手に脳内フーリエ変換!実にトンデモです。

こういうの、響きが豊かとか、リッチな声というものは何だろうということを考えるヒントになるのかもしれません。つーか、いかにも誰か既にやってそうですが、知ってたら教えてください。

*1:周波数vs振幅のグラフを書いたときにシャープという意味です。