アバド魔笛2005 (Disc2)
Disc1の感想はこちら。
Performer: Rene Pape, Dorothea Roschmann, Erika Miklosa, Christoph Strehl, Hanno Muller-Brachmann Orchestra: Mahler Chamber Orchestra, Arnold Schoenberg Chor Conductor: Claudio Abbado Composer: Wolfgang Amadeus Mozart Audio CD (June 13, 2006) |
- 3人の侍女が登場して、タミーノとパパゲーノと5重唱。しゃべってるやん、て毎回思う。
- モノスタトスのアリア。普通だ。普通ってのは、悪役っぽくないよねってことだけど。
- 夜の女王の長い語り。
- 夜の女王の有名なアリアは、高音とそれ以外の音のギャップが気になる。コロラトゥーラで思いっきり引っ張った後ぱっと放すように戻すじゃないですか。あそこがすごくギャップがある。人間離れした高音の後に、普通の声が一音だけ入る、みたいな。そのパターンが何度も繰り返される。ここってそういうもんだったっけ。
- この聖なる殿堂に。これも感想を言いにくい曲だな。堂々としてます。朗々としてます。安定してます。ご立派です。ザラストロってそういう人なんだよね、たぶん。少なくとも、この演出では。他人事モードであることこそが正解なのだろう。人間離れしていることが正解なのだろう。でもイシスとオリシスはともかく、こっちはもうちょっと感情を入れるもんだと思ってた。そのうち他の音源もこの観点で聴き比べしてみたい。
- パパゲーノは芸達者だな。婆ちゃんパパゲーナは可愛いな。
- パミーナの嘆き。音楽はじまった瞬間にいきなり激しく揺さぶられる。やっぱり私はここ強く反応するんだ。とりあえず再現性はあることが分かった。聴いてて苦しいし次回からは飛ばしてしまいそうって、そういう方向の揺さぶられ方だけど、とにかく激しく反応する。
- タミーノ・パミーナ・ザラストロの3重唱は好きだし後半一番のお楽しみなんだけど。あーでもこのパートはブラナー版の方が好きかも。ちょっとソリスト一人一人が立ち過ぎちゃってるかなあ。馴染んだらこれも良くなって来るだろうか。つーかここだけの話、タミーノが駄目じゃない?意味不明な声の張り上げとかさ。
- 恋人か女房がいれば。さらっと流れていくかな。この人のパパゲーノは台詞部分が芝居っけたっぷりなのに歌がさらっとしてるかも。安定してるから安心して聴けるけど。舞台姿があったらまた違うだろうか。
- この後の婆ちゃんパパゲーナはやっぱり可愛い。
- 3人の童子とパミーナのシーンもちょっと音楽的にしんどいな。モーツァルトはやっぱ天才だな。なんでこんな罠が仕掛けられるんだ。ところでここで痛くなるのは鳩尾じゃなくてもっと上の方だな。鎖骨の下辺り。これ痛くなりながら書いてるんですよ、これでも一応。
- 鎧を着た男の重唱だっけ?しかし魔笛って、なんていうか、場面展開がコロコロと変わって、唐突っつーか位置付けが謎の場面が多いなあ。音楽だけでも。台本に矛盾があるとかそういうのとはまた別に。ジンクピュールってそういうもんなの?大衆向けだから分かりやすくないと駄目じゃないの?このシーンは歌ってる内容&音楽の雰囲気とこの後の展開が真逆で、「死をも恐れぬ男の・・・」とやった直後にパミーナが登場して一緒に火の試練を受けるんだよね。なんだそれはって思うんだけど。なんだろ、パミーナ登場時の意外性を高めるためにあるのかこの重唱は。訳分からん。「パミーナは3人の童子に導かれてタミーノの元に向かいます。一方その頃タミーノは・・・」ってシーンだよねこれ。タミーノの孤独を描いてパミーナの登場効果を高めるなら、ここに来るのはタミーノのアリアになるところだと思うんだけど、なんだろうこれ。
- 火の試練。水の試練。あっけな。もっと時間をとらないとまともな説得力のある演出って出来なくないか。でもこの音楽にブラナー映画のあのアイデアを持ってきたのは、音楽的に合ってると思う。いやブラナーに毒されたかもしれない。
- みんな大好きパパパの二重唱。この演奏ではさらっとしてるかな。
- フィナーレ。現代的な感覚からは少々違和感があるが、登場人物が全登場して全員分の結末が描かれますという古典お決まりのパターン。演奏はオーソッドクスで手堅いと思います。
- そうだ、アバドの作る音楽という観点からは何も書いていませんでした。○です。主張せず寄り添う、でもしっかりクオリティはある感じでいいと思います。個別の音も気に入りました。そういう意味では安心して聴ける一枚、もとい二枚組です。
一通り通して聴いた感想としては、つーか魔笛を音楽だけで通して聴いた初体験の感想としては、これをやる前は魔笛は台本は不可解だけど音楽は分かりやすくて素晴らしいから人気があるのだろうと思っていたけど、音楽だけでも結構謎だなーという印象に変わりました。