ラインの黄金@コペンハーゲン・リング

ローゲ


いま見終わりました。ジークフリート先に見たい誘惑にかられつつ、やっぱ順番に見てみようとDVDをセットしたが最後、一瞬も気がそれることなく観終わってしまいました。カスパー・ベック・ホルテンやっぱすげー。すげーわ、あんた。おんぶだけど。

ちょっと高揚しちゃって、軽く上書き禁止状態です。なんか今回は集中力がすごくて、脳内垂れ流しとかやってる場合じゃありませんでした*1

観終わって思うのは、うーん、テレビドラマみたい。全然オペラを観てる気がしないの。いや褒めてます。なんていうか、オペラって、このアリア長いなとか、ここのやりとりかったるいなとか、あるじゃないですか。ないですか?私だけ?あれが全然無くて、もっと軽い万人向けのコンテンツを見てるみたいなテンポで見れるの。でも見た後はしっかり充実感があります。あと読み替えなんだけど一度も無理が無い。よくドラマを考えてあるんだろうなあ。

発売からそんな経ってないDVDなのであっさりしか書きませんが、物語はジークフリートに裏切られたブリュンヒルデが書庫を漁って過去の記録を見つけるプロローグからはじまります。時代は遡って50年前。この50年前という充分現代的だが微妙に古めかしい時代設定が一昔前のファミリードラマを見ている気分にさせる理由かもしれません。

ACT1はキャバレーのホステス3人組にバカにされる客のアルベリヒ@頬に醜い傷付き男。ズボンを降ろされワクテカしてるところ股間に水をかけられちゃったりします。ひどい・・・・

その3人組が誉めそやすラインの黄金、なんと水槽に入って優雅に泳ぐスッポンポン!の若い男性です。いやこの辺北欧だなあって思いますよね。つい先週も思いがけないところで同じもん見せられたんですよ。あっちはフィンランドだったけど。全く油断ならないな。

馬鹿にされて発奮したアルベリヒ、ラインの黄金を殺しちゃいます。血の色に染まる水槽。高く掲げられた心臓。ギャー。

ACT2は工事現場の前の仮小屋で暮らすヴォータン一家。アメリカン・ファミリードラマの様相です。家族関係もアメリカンぽいんですよね。みんな仲が良くていつもハグしてるような。ヴォータンはゼネコンおやじか実業家といったところ。クラシカルなブラウンの3つ揃い着てカッコ可愛いです。この方、太り方が絶妙なんですよ。福々しいけど見苦しくない範囲で丸々としていて深いエメラルドグリーンの大きなお目々、ある種の方々の好みにピンポイントでハマるんじゃないかと思いました。この人だけ写真が無いので*2ちと長く記述してしまいました。お目々といえば、地元デンマーク中心のキャストなせいか、全然美しくない設定の方も含めて、アップになると意外と*3美しいです。目の色が薄いので表情豊かに見えるからじゃないかと思いました。

工事現場の仕事を終えたファーゾルトファーフナーコンビがやってきます。対比が見事です。ローゲはハゲにすだれ頭の悪徳弁護士?ちんぴら探偵?で胡散臭さ全開です。常にメモをとりカメラを使い、煙草をプカプカすかし*4、いわくありげな目線で眺めてます。ブリュンヒルデが見つけたメモはこのローゲが作成した模様です。全体にこんな感じでとってもコミック調です。

アルベリヒ&ミーメの家はマッドサイエンティストハウスで、隠れ頭巾は金属製のいかにもマッドサイエンティストが作った発明風です。ここで捕らえられたアルベリヒ、最後には黄金をはめたままの腕をヴォータンに切断されてしまいます。ギャー。

巨人兄弟がフライアを連れて現れます。ファーゾルトが作業用のオーバーオールのまま、しわくちゃの白シャツ+蝶ネクタイの一張羅でおめかししてるのがツボに嵌りました。純朴そうでいいよなあ。エルダは毛皮を纏ったド迫力オバサンです。

ヴァルハラ城の入場のところは落成式で各自歌うというアレンジ、なかなかよく出来てます。最後にグダグダ言うローゲをヴォータンが槍で殴って、胸ポケットから手帳を奪って、ついでにラインの乙女の訴えを再生してたtelemographなる再生機もぶっこわして、ヴォータンファミリーみんなで現場クレーンに乗って上昇しながら、客席に手を振りつつさようなら(笑)。


実はこれが初リングなわけで、どこまでが普通の演出の範囲でどこから独自色なのか分かってません。ヴォータンが乱暴だった。これ単独だと後味としてどうなんすかね。みんなその先を知ってるからいいのかな。

音楽的には、ファーゾルトのMilling氏の歌唱は際立ってます。その他のみなさんも充分役目は果してると思います。突出した人はいないけど平均点が高い感じ。けど、これまでにパーペで聴いたことのあるヴォータンのアリアとかは、やっぱり物足りなく思っちゃいますね。フレーズの処理の仕方とか、ドイツ語のディクションに不満が。あの人を基準にするのはする方が悪いんですけども。指揮は、んー、ドラマに夢中だったから気にならなかったけど、ドラマを邪魔しないって感じで、あまり主張しないかな。このプロダクションには合ってると思います。

歌唱がどうこうよりローゲのKristensen氏の存在感にノックアウトされてしまった。いくらなんでもそれはないだろってすだれ頭なのに、妙に心に残る。そういうわけで本日の一枚はローゲでした*5

ラインの黄金の一幕のビデオがこちらで見れます。が、長くて重いのでダウンロード推奨です。写真一覧はこちら

Wagner: Das Reingold
The Copenhagen Ring
Royal Danish Opera

Conductor: Michael Schonwandt
Director: Kasper Bech Holten
Set and costume designers: Steffen Aarfing and Marie ?Dali
Lighting designer: Jesper Kongshaug
Dramaturge: Henrik Engelbrecht

Wotan: Johan Reuter
Donner: Hans Lawaetz
Froh: Johnny van Hal
Loge: Michael Kristensen
Fasolt: Stephen Milling
Fafner: Christian Christiansen
Alberich: Sten Byriel
Mime: Bengt-Ola Morgny
Fricka: Randi Stene
Freia: Anne Margrethe Dahl
Erda: Susanne Resmark
Woglinde: Djina Mai-Mai
Wellgunde: Ylva Kihlberg
Flosshilde: Hanne Fischer
Royal Danish Orchestra

*1:いつもはメモ取りながら鑑賞してます。

*2:収録の日だけの代役だった模様。

*3:失礼!

*4:お前は一日に何本吸うんだ。

*5:こんなんばっかにハマってるから、好きな映画とか聞かれたときに答えられなくなるんです。