発声のエッセイ

ちょっと前のエントリでとりあげた"Die schöne Magelone"つながりで知った声楽家川村英二氏のサイトの発声のくだりが興味深かったので紹介します。

http://www.ne.jp/asahi/bariton/eishi-kawamura/essai.html
発声について考える(10)

自分の耳の中でよく鳴っている声というものは、決して“良い声”ではない。声帯や咽喉に重圧をかけ、力んで歌っている時は、声は自分の耳の中でのみひびいているのである。その声は、歌い手から離れて聴く者のほうへ飛んで来ない。自分では頼りない、これで声が鳴っているのかなと不安に陥るときのほうが、かえって声は飛んでいるのである。

うーんと考え込んでしまいました。シリーズ中に「入学時が最高!段々下手になって卒業」という言葉が何度も出てきます。興味のある方はシリーズを通して読まれると面白いのでは。とりあえず紹介のみ。

紹介のみにしとこうと思いつつ、つい余計な一言を。シリーズ中に何度か重いレパートリーを早いうちからやって声を駄目にしてしまう問題が出てくるのだが、こういうことを考えると、客の方も、史上最年少○○(←ロール名)とかデビューが早いとか、そういうのを持ち上げるのは考えもんだなあと思いました。特に日本人は早熟を有難がる傾向があるので、気をつけておかないといけませんね。声楽と器楽は違いますからね。

同じページから

同じ人の声でフォルマントの付いている正常な歌声の場合とフォルマントを取り除いたときの歌声をスピーカーで流し、一定の雑音を流したのです。するとフォルマントのある歌は雑音に邪魔されずに響いてくるのですが、フォルマントを取り除いた歌は雑音に飲み込まれて何も響いてこないのです。

フォルマントという概念を知りました。wikipedia:フォルマント