DKTらしさ

DKTのビデオコーナーRSS配信して全チェックしてて、blogにはたまに自分のアンテナに引っ掛かった分だけ紹介してるだけなんですが、通して見てると気づくことがあります。それは、裏方好きねーということであります。もちろん私も好きですからウェルカムなんですけど。


タイホイザーのビデオでも、マスカレードのビデオでも、必ずセットのデザイナーが出てくるし、大道具小道具や衣装製作の現場の人も必ず出てきます。こう書くと珍しくもなんともない話に聞こえるかもしれませんが、なんというか、この部分が占める割合が、余所のプロモーション用ビデオ構成の相場と比べて、明らかに大きいんですよ。

逆に、出演歌手をとりあげる比重は少ないかもしれません。定番の形式は、メインの一人か二人の歌手をカメラの前に連れてきて、その人がずっと作品について語っているというもので、出演歌手を一通り映像付きで紹介する的な(余所ではよく見る)ありがちな構成があんまりないです。ゲストのスター歌手を特集するというこれまたありがちな形式は一度も見たことがありません。全然来てないわけじゃないらしいんですけどね*1


演出に対する関心も高いです。全体に、オペラを演劇的に観る傾向が強いんですかね。デンマークオペラ*2を聴いててもそれは分かります。大体喜劇でドタバタで、ノホホンとした小品的なアリアがあって、アンサンブルが面白くて、歌を聴いてやろうというよりは劇を楽しむ雰囲気が強くて、軽くて後味がいい作品が私の思う典型的なデンマークオペラです。

変な演出が好かれる傾向も強いかもしれません。でもドイツの演出みたいな暗さはないです。舞台は明るくて綺麗です。DKTらしい変さのエピソードとして、このローエングリンの話を。これはローエングリンだけが大人で、エルザと他の登場人物はみな子供で、事件は教室で起きているという演出なんですが、最初ドイツ各所で上演されて、余所の歌劇場ではイマイチで、DKTに辿りついてヒットしたらしいです。写真は「大人の世界から来た騎士」であるローエングリンが子供の世界の住人であるエルザに「キス以上のものを求めようとする」場面です。マニアックですね。こういうのを面白がる神経ってのはマニアックです(←人のことは言えませんが*3)。
参考:http://confidentialattachees.wordpress.com/2007/01/17/lohengrin-in-copenhagen/

http://multimedia.ekstrabladet.dk/eb/archive/00374/Kasper_Bech_Holten_374104m.jpg
演出に対する関心が強ければ演出家もクローズアップされがちで、ホルテンはDKTアイドルです。パンフや舞台写真の扱いが、ホルテンブロマイドかよっとツッコみたくなること多々あり。この間のタンホイザーにこっそり追加写真があったのでワクワクしながらクリックしたら、増えてたのはホルテン隠し撮り写真だった日にはどうリアクションしたらいいんですか。君らおかしいから。どう考えてもおかしいから。またホルテンというのは期待を外さずやってくれる人なんだよねー(右の画像参照)。


というようなことを一番最近公開になったMy Fair Ladyのビデオを見ながら考えました。http://video.kglteater.dk/photo/565435

*1:この間のリングのサイクル公演のときはドミンゴが来て一夜だけジークムントを演ったらしいし、今シーズンはネトプレコが来てるらしいです。ちなみにこのドミンゴ来丁は、コペハンリングの映像を見たドミンゴからの申し入れで実現したそうですが、いい人やなドミンゴ。大御所なのにフットワーク軽くていいものに貪欲で。時代的に思い入れが無くて、昔からのオペラファンのドミンゴ熱につい取り残されがちな私から見ても、なんでこの人が好かれるかよく分かるエピソードだ。

*2:デンマーク語で、デンマーク出身・在住の作曲家によって書かれたオペラ

*3:だって、よりによって舞台で一番子供っぽく見える幼児体型のアナセンが、他の大人の歌手が演じる設定上の子供達に混じって「唯一の大人」を演るというねじれ現象を想像してドキドキしましたからね!