新国ジークフリート(1)

初新国体験してきました。鑑賞レポ行きます。

その前に、実は今回の鑑賞には裏テーマがあって、上海リングの座席戦略見極めです*1。いろいろ聴くところによると目当てが声量のある人ではない*2らしいので上階は避けた方がいいのかなーと思ってて、とすると1階か2階なんですが、これまでの経験から1階の音はそんなに好きじゃないことも分かっていて、音だけなら最上階がよいんですがそうもいかないならやっぱし2階かな、でも勢いこんでチケット揃えて外れだったら悲しいから、出来れば2階の音を確認しておきたいというスケベ心があったのでした。ふう。前置きが長い。

そゆわけで、今回の席は当日買った2階センターです。2列目ですが当日の残席なので仕方無いでしょう。でもこの2列目というのは視覚的には幸いでして、開演前に1列目を試してみたところ、私の座高では手すりが視界の邪魔になるのでした*3

公演日 2010年2月23日(最終日)
演目 「ニーべルングの指環」第2日ジークフリート
指揮 ダン・エッティンガー
演出 キース・ウォーナー
ジークフリート クリスティアン・フランツ
ミーメ ヴォルフガング・シュミット
さすらい人 ユッカ・ラジライネン
アルベリヒ ユルゲン・リン
ファフナー 妻屋秀和
エルダ シモーネ・シュレーダー
ブリュンヒルデ イレーネ・テオリン
森の小鳥 安井陽子
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団

んで、最初に演奏ですが、うーん、入れなかったです。Z軸的にも入れない種類の演奏でした。特に1幕と2幕はワーグナーを聴いてる感じがしなかった。3幕の休止時間を多用しているところはほうと思ったけど、そのくらいかな。感情に踏み込んでくる感じがしなくて、舞台上の人物の感情に寄り添っている感じもしなくて、分離しちゃってるというか、うまい効果音の範囲内というか、最初から最後まで距離があったなー。これは、ある特定の方向性を求めちゃってる人の好みにフィットしなかったというだけなので、こういう演奏が好きな方はお気を悪くされませんよう。

それにしても、ううーん。初生ワーグナーが。なんだか最近「実際の音楽会へはでかけないオーディオ愛好家」への道を確実に辿りつつある気がします。いかんいかん。よくない傾向だ。でもきっと大丈夫。私にはミーハーな動機があるから!ああいうオーディオ愛好家にはならないもん。

以下時系列に書いていきます。

Act1

まず舞台が、これは・・・サイバーポップとでもいうのか、歪んだフレームの中にフレンチポップな小道具達が作り上げる空間に蛍光色の照明ばーん、視線の上の方にはTVモニターや家電製品が並んでいます。こういうコンセプトの雑貨屋さんやカフェ、いかにもありそうです。舞台写真からイメージするとシンプルで現代的なセットなのかと思いきや、蛍光色のインパクトが強くSFチックです。これから出てくるノートゥングや指輪などの道具達もみんなこの路線で統一されています。

さてミーメとジークフリートですが、何故かとっても似ている?背格好も体格も一緒なら、二人ともオーバーオールで、違うのは首から上の毛の量だけです。これじゃ親子じゃないですか。ボーカル的にもよく似ていて、特にフランツ・ジークフリートがミーメをやる人のようながちゃがちゃ声で、あちゃーと思ってしまいました*4。演奏は入れないし、声は似てるし、ついでに視覚的にも似ているし。シュミット・ミーメはせっせと背を丸めて小人役を演じているのですが、なんせこの人、元々の素材がごつくて体格も立派なので、どうもマッチョに見えて仕方無いのです。声は去年ドレスデンのボリスのシュイスキーで聴いた印象によるとかなり綺麗な筈なので、この声はミーメとしてかなり作ってるのだと思うのですが。

そしてヴォータンの出てくる問答のシーン。どうも私はリングのヴォータン全般がヴォーカル的にしっくり来ていなくて、色んな音源を聴いても単調に感じがちなのですが、今回もその例にもれず。

視覚的にはTVモニターに問答で試される側が大写しになったり、この次のジークフリートの3分間クッキング、シーンに合わせて着替えるミーメなど、変化に富んでいてその都度目を楽しませてくれるのですが、まあそれ以上のこともなく冷静なまま一幕が終わってしまいました。あちゃー。

Act2の前に音響の話

早くもここで本日の収穫がないと焦った私。せめて音響比較でもしておこうと、幕間で合流したさる方のご好意で、2幕の間だけ座席交換をしてもらうことになり、4階センターに移動しました。視覚的にも充分だし、4階の方が段差があって私のようなちびっ子には有難いことを発見しました。これでチケットが当日まで残っててくれれば言うことないのに。

そして演奏がはじまって分かるのは、2階はずいぶんオケが立って聴こえていたのだなーということでした。あくまで比較の問題なんですが、2階は音が硬く個々の音が剥き出しで聴こえる感じで、比較すると4階は優しい音でほどよい具合にブレンドされます。何より意外だったのは、オケが大人しくなったおかげでヴォーカルがずっと聴きやすいのです。以前東京文化会館の4階と2階、1階比較で、声量が充分ある人はどこで聴いてもOKだが、声量が比較的ない人は4階では聴こえにくいと学習していたので、この結果は意外でした。たまたま今回全員声量がある歌手が揃っていたのか、ホールが小さいせいか(新国は1800、東京文化は2300)、曲の違いか、理由はともかく、これで私にとっては2階の優位性は全く無くなってしまいました。元々声量があまりない人をストレス無く聴きたいけど音響的に平土間は避けたいという動機でしたから、2階の音が気に入らないなら平土間と一緒です。おっと!1週して結局平土間派に戻ってきてしまいました。小さいホールなら最上階も有望です。

(2) (3)へと続きます。

*1:って、チケット販売方法がそんな狙えるようなもんなのか知りませんが、オンライン販売だと決算前の座席表示すらないので。どっかのエージェントに代理購入頼むつもりで、中国だし金さえ余分に積めばなんとかなるかなーと思ってて、とりあえず言うだけ言ってみようと思ってます。

*2:めちゃくちゃある方ではないだけで決して無い方ではない。

*3:これは私が特別ちびっ子だからでして、大抵の人は問題ないと思います。

*4:そしてここでいつもの反省が。「アナセンごめん!いつも君のことをドライとか枯れ声とか言っててごめん!この人に比べれば君の声は全然たっぷりしているよ!」しかし私は何回この反省をすれば済むのでしょう。