逆転ジークフリート

ところでジークフリートってのは、先日書いた通り社会性の無い子供が本質だと思うんだが、これを今の時代やるならアレだなと思うコンセプトがある。まあ誰でも一度は考えるようなありがちなネタだが。

この話ってのは、殺人(殺ドラゴン?)マシーンとして育てられた子の物語なのね。彼の人生は何もかも決まっていて、ドラゴンと戦わせてリングを横からかすめとろうという養父やら、これまた彼にリング奪回を期待する祖父やら、彼による目覚めを待つために自ら火を纏って眠る叔母やら、いろんなもので雁字搦めなんですよ。お友達の小鳥だって、彼の運命をそういうレールの上に乗せるための存在のひとつでしかない。みんなが彼を待ち構えている。

こうきたら、最近のジャパニーズ・サブカルチャー的にはアレでしょう。平凡で気弱な男の子が巻き込まれ型ヒーローになるってパターン。こういうやつね。


ジークフリートは平凡な高校2年生。スポーツも成績も友達付き合いもぱっとしない、クラスの中でも存在感がない、気弱で争い事からは真っ先に逃げ出す、そんなどこにでもいる今時の男の子だ。しかし彼には秘密があった。実は彼はこの世界を治める大神の血を引いており、世界の危機を救う英雄たる運命だというのだ。家に帰ると血の気の多いマッチョ設定の養父ミーメ*1が磨いだ武器を並べて待ち構えており、今日こそドラゴンの巣に行こうと言い出す毎日だ。なんだかんだ言ってミーメの焚付けを逃れていたジークフリートだが、ある日帰るとさすらい人と名乗る老人がミーメの首を持って待ち構えており、24時間以内にドラゴンの血でミーメの首をくっ付けないとミーメはこのまま死んでしまうと言う。胴体と離れていてもマッチョなミーメの首が「育ててやった俺を見捨てるのか」とすごい剣幕で言うので、本質的に断れない性格のジークフリートは嫌々ながらドラゴンの巣に向かうことにする。

目的地に着いたジークフリートがおそるおそるドラゴンに血を一滴くれるように頼んでみるものの、ドラゴンが突進してくるので避けようとしたら弾みで偶然殺してしまい、ドラゴンが死ぬと正体は何故か彼の担任の先生で、先生を殺してしまったと焦るジークフリートがパニックに陥っていると、ミーメが現れて「よくやった、これでお前も英雄だ」と言い出して、またなんか無理強いしようとして(←段々細かいネタを考えるのが面倒になってきた)揉み合っているうちにこれまた偶然殺してしまって*2、犯罪者だどうしようどうしようと頭を抱えてパニックに陥っていると、そこを偶然目撃していたクラスメートの小鳥よしお@彼と同様に存在感のない同級生が現れて、安全な場所を知っていると言うので、彼と一緒に火が燃えていて誰も追って来れないという山の上を目指して逃避行を始める。中略。色々あっていよいよ安全な場所に辿りついたジークフリートだが、何故かそこで寝ていた女の人が起き出してしまい、彼女を起こしに来たと誤解され、彼女は勝手に「なんという恥辱!」とか言い出して散々罵倒した挙句に勝手に納得して迫ってくるので、いよいよそうなってみるとやっぱり断れないジークフリートであった(完)。


あっ!ノートゥングを出すのを忘れてた。仕方無い。ジークフリートは理系設定にしといて、ノートゥングはメカものにでもするか。

途中でヒーローとして目覚めさせようかと思ったが、元ネタがあまりにも逆転設定に向き過ぎていたので、最後までそのままで突っ走ってしまった。こりゃあまりにも漫画っぽいが、ジークフリートのドラゴン殺しとミーメ殺しがそのつもりじゃなくて揉み合っているうちに偶然てパターンだけなら、いかにも既に誰かやってそうだが、どなたかそんな演出をご存知ありませんか。

*1:微妙にこの間のシュミット・ミーメの影響が。

*2:さっきからこのパターンばかりであるが、実は本人に自覚がないだけでジークフリートはとっても強いのである。そこは大神の血が云々というご都合設定なのである。とってもイマドキのサブカルっぽいでしょ。