バースディガラコン感想
デンマーク女王バースディガラコンの+αの情報と感想などを。
Old Stageだから去年の3月に行った劇場ですね。はい。こんなんでした。映像見るに、王室バルコニーはオーケストラの真上にあるんですね。こんなん他の劇場だったら見切れ席として安売りされる場所ですが。やっぱりデンマークって変です。社交よりも鑑賞を優先する型破り王室です*1。
シェンヴァントさんが頭を撫で付けているところをはじめて見た(笑)。あの両サイドに跳ねたヘアがチャーミングなのにー。そしてリングのときと同じ微妙に紫がかったタキシードだ。御前演奏用なのかしらん?他のときはちゃんと普通の黒です。
何故一曲目の途中でみんな起立するのだろう。曲は"Elverhoj"、デンマークの作曲家クーラウによるDKT初演のオペラ「妖精の丘」です。どんなシーンなんだろう、見てみたいな。
そして詩の朗読があって、いきなりピアノ伴奏でバレエがはじまる。途中演劇もあるし、DKTの3本柱オペラ・バレエ・演劇が全てテンコ盛りのプログラムです。そういえばDKTは日本ではオペラよりもバレエが有名ですね。今度コペンハーゲンに行ったら是非バレエも鑑賞してみようと思います。オペラ以上に場違いになりそうで心配ですが。
この調子で書いていくとキリが無いので飛ばして、いよいよお目当てのワルキューレです。あら?さっきまでバレエダンサーを観ていたせいもあって、ずいぶん丸っこい人が出てきたわ。モサモサがいつもより大分マシです。昨日カットに行ったけど朝自分でセット出来なかった or いつものごとくモサモサのまま出てきたら劇場の人に捕まって強制的にセットされたけど*2出番が来る前にその辺で寝ていたか頭を掻きまくってそこだけモサモサになりましたって感じのモサモサ加減です。
コペハンワルキューレがお気に入りという女王様を意識して、オケも歌もあのときの感じを再現しようとしたように見えます。オケはもちろん、Sjobergさんも再現度高いです。アナセンが一番違うかも。それとも私がアナセンだけ聴き込み過ぎで細かいところの違いに気がつくようになっちゃってるのかな。全幕のときはすごい役に入り込んでジークムントしてる*3のが、今回は素のままのところがあるから、ジークフリートがジークムント歌ってるみたいな感じです。
ついでなんで、アナセン@全幕のジークムントすごいんですよ。だって、瞳が揺れ揺れなんだもの。見た目はちんちくりんのおっさんなので、見てはいけないものを見てしまった感がすごいです*4 *5。毎度うちで書いてるところの、彼は人を信じたいけど疑うことでしか生き残ってこれなかった悲しい人なんだって設定、アナセンのジークムントのイメージですもん。フンディングが最初は客人に対して親切なことを申し出て、ニコっとするんだけど、「ああ、でもやっぱり駄目だ(名乗れない)」と思い直して、長い躊躇いがあって、そして微妙な空気が流れて、フンディングも「なんかおかしいな」と思い始めて、「俺には名乗れないというなら(このとき「いや違うんだ」ってゼスチャーするんだけど言葉にならない)女房に教えてやってくれ」って言ってこの後の流れが決まるのとかね、すごい説得力があります。またこの部分の音楽の読み込みがすごいんですよ。というか音楽を読んで場面を解釈するからぴったりになるんでしょうね。歌は The Hero!って感じで、アナセンのくせに格好良く決め過ぎだしね。なんせ孤独なヒーローだからさ。でも時々決めきれなくて枯れ声と舌足らずが混じるのが可愛い(←典型的なアバタもエクボ)。
あ、長い寄り道をしてしまった。そういうわけでこのガラコンで何が収穫だったかというと、素に近づくとやっぱりジークフリートだなあってことが確認出来たことでしょうか。全幕のときとは目付きが全然違う。ジークフリートを演じているときともまた違うんですけどね。あ、最大の収穫はsoraさんが可愛いって言ってくれたことです。うふふ。
あとは。元々楽々と声を出している感じはしない人なのだけど、気になる人にはこれが気になるかもしれませんね。いいとこで声が裏返っちゃいましたね。声そのものもドライ味が増してきてるかな。これは20年くらいかけてゆっくり進行してて、よく年とると重くなるって言うけど、全然そっち方向にはいかなかったですね。
こんな感じなんですが、きっとDKT紹介映像としてもコンパクトな中にテンコ盛りでいい感じだと思うので、是非お時間がある方はご覧になってください。プログラムは以下のような感じです。ワルキューレの後のロミジュリとかでもいわゆる微笑ではなくニコニコ笑ってるんで、これって偶然じゃなくて、デンマークがこうなのかなーと思ったりしました。
- Kuhlau: Elverhoj, 1828 - ouverture デンマークオペラ
- PROLOG, 2010 詩の朗読(劇?)
- DANCE WITH ME, 2010 バレエ
- R. Strauss: ARIADNE IN NAXOS, 1912-16 - Zerbinettas aria オペラ
- この間にフルートソロと朗読
- Tchaikovsky: Swan Lake, 1996 - pas de deux バレエ
- Wagner: VALKYRIEN, 1870 - Wintersturme オペラ
- Prokofiev: Romeo and Juliet, 1971 - pas de deux バレエ
- 休憩*6
- Tchaikovsky: Eugene Onegin, 1879 - Polonaise オペラ
- Ulysses VON ITHACIA, 1723 - excerpt 劇
- Wagner: Tannhauser, 1845 - guests took at Wartburg オペラ
- Bizet: CARMEN, 1875 - Micaela aria オペラ
- NAPOLI, 1842 - extract of 3 Act バレエ
映像は2本に分かれてます。ここをクリックして、開いたウインドウの右側のメニューから以下の文字列を探してください。Windows Media Playerが必要です*7。