デンマークを知るための68章

デンマークを知るための68章
村井 誠人 (著)
明石書店 (2009/6/30)

デンマーク在住・関係のある30人の著者によるデンマークの歴史と文化と現在を扱った本。普段だったら書名だけでスルーしそうな体裁ですが、図書館で偶然見かけて手にとって、前文の以下の箇所を目にして「こ、これは私が読まずして誰が読む」と思って即効借りました。

本書では、・・・・デンマーク語のカナ転記法に新しい画期的な表記法が示されることになりました。・・・・慣例的に使われてきた歴史上の人物などの表記で、すでに日本語の表記において確立されているもの・・・・はそのまま、・・・・パラドックス的現象ということになりますが、現代人でAndersenなる人物が登場する際、本書ではこの人物を「アナセン(正確にはアナスンでしょうが)」とカナ表記し、実際、33章ではアナセン(Andersen)氏が詩人アンデルセン(H. C. Andersen)を論じることになります。

で、まだ拾い読み状態なのですが、予想していたよりもかなり面白いです。まず地理の話からはじまるのですが、何故か直近の氷河期の氷床の動きなんていうマニアックな話がはじまり、氷床の模式図や形成年代を反映した地形図が登場するという。一体何の本を読んでいるんだと。

コペハンリングヲタ的にも発見があり、ジークフリートの設定とされた1968年の意味が「68年の世代(オーテ・オ・トレサネ)」と呼ばれる分水嶺的な時代を反映しており、人権、自由、男女間の平等、地方分権、先住民の権利、弱者の権利といった話題に触れるときには必ず言及される年代であるとのこと。他にも興味深い話題が出てくるので、一通り読んだら抜粋しながら紹介しようと思います。