カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師@びわ湖ホール

2010年07月25日(日)
びわ湖ホール オペラへの招待
マスカーニ作曲 歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』
レオンカヴァッロ作曲 歌劇『道化師』
指 揮:北原幸男
演 出・お話:中村敬一
管弦楽:京都フィルハーモニー室内合奏団
出 演:びわ湖ホール声楽アンサンブル

事前に2回くらい音源を聞き流したくらいで演目については殆ど知らずに行ったのですが、結構楽しめました。ただ、カヴァレリアの方は、テーマが私にはよく分かりません。「だからなんなの?」的な。相変わらずソプラノ感度が低いせいで、サントッツァに入り込めないせいかもしれません。これ、一年以上この状態で停滞したままで、なかなか改善しませんね。

800席の中ホールだったのですが、声楽はやっぱこのくらいで聴きたいなーと思いました。反対にオケは届き過ぎるような。2階の一列目に座ったのですが、聴こえ方は上階正面よりも2階サイドに近い印象でした。オケピットからの距離がいつも聴いているホールのサイド席に近い(サイズ的に)せいでしょうか。

今日はちょっと、座席の選択を失敗しちゃったかもしれません。音的にももうちょっと離れたいって感じでしたし*1、手すりの位置が視界の邪魔なんです。たぶん平均的日本人の体型であれば丁度オケピットと舞台の境界の絶妙な配置に収まるように設計されているのであろう手すりの高さが、私にとっては舞台前方の絶妙に邪魔な位置に来るんです。ちびっ子はこれだから・・・・次回はじめての会場をとるときは上階の最前列は避けよう。この中ホールは特に、はじめて見たときにはあっけにとられたくらい列間の段差が大きいので安心して後列を選べます。

さて演奏は、音がなんだかうるさかった。というか音色そのものがなんだか心地良くなかった。これは個々の奏者の問題な気がします。割と静かなシーンでは気にならないのですが、ドラマ進行が盛り上がって音が強まるシーンでしんどいという方向に作用してしまいました。幕間の周辺のお喋りからも同じような感想が漏れ聴こえてきたので、私の座席の周辺が特に悪条件だったのかもしれませんが、そういう傾向はあったんでしょう。

一方、たいへんよろしかったのが合唱です。ここのアンサンブルは是非また聴きたいと思いました。ソリストも、オール日本人キャストですが、入門企画ということであまり期待せず臨んだせいもあるかもしれませんが、思っていたよりずっと良かったです。気合を入れて海外から招聘している国際的知名度のあるキャストには不満を持つのに(←他会場の話)、何故かこういう場面では不満が出ない不思議な構造になっております、私の評価というやつは。これは本日の公演に限らない一般論ですが、日本人歌手は極端な癖や個性があまりないからですかね?突出した人もいないけど、逆に、第一声目から気に入らなくて、歌えば歌うほど頭痛みたいな人もいないですよね?(←一体何と比べてるんだ)

今日のは入門企画ということでチケット代が3千円だったんですよ。だからてっきりコンサート形式だと思い込んでいたら、普通に衣装セットのある公演でした。これまた入門企画ということで捻ったことを何もしないごくオーソドックスな演出で、セットもごく簡素で、しかも同じ村での出来事という設定らしく2演目共通のものです。しかしこの2演目共通という設定が、特に後半の道化師において、この村での時間の流れみたいなものを意識させて効果的だと感じました。こういうのはいいですね。あと劇中劇は可愛らしく作り事じみててよかったです。

逆に演出上気になったところといえば、カヴァレアの方の最初の合唱で村人の動きを止めているところ。これ歌がリズムに乗っているのに人が静止画みたいなのはチグハグです。いやよくあることなのかもしれないけど。


感想は大体こんなもんなんですが、途中である妄想が出て止まらなくなってしまい、以後たいへん面白く鑑賞しました。せむしのトニオ役を見て「これDKTならビリエルさんがやるよな」とつい考えてしまって*2、またトニオ役の人の歌唱スタイルが若干ぐるんぐるん気味なところが似ていたこともあり、以後トニオが歌うとビリエルさんの声で再生されるという事態が。そしたら怪しいワールド炸裂ですよ!話がねじり曲がりまくりです。参りました。いやー、DKTの影響力おそろし過ぎです。

*1:京都コンサートホールのデッドな音響に慣れているせいかもしれません。

*2:レパートリーに入ってるか知りませんが。本当に入っていてもおかしくないところがおそろしい。