京響定期9月レポ/シベリウススペシャル!!

すごかったー。行って良かったー。幸せー。最近音楽生活が充実していて幸せ過ぎて、後でどっかでしっぺ返しが来ないか心配なくらいです。

京都市交響楽団 第539回定期演奏会
2010年9月4日(土)2:30pm
京都コンサートホール・大ホール
尾高 忠明(指揮)
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
シベリウス組曲ペレアスとメリザンド」 op.46
シベリウス交響詩「4つの伝説」op.22

不届きなことに、こんな素晴らしい演奏があるのに私は10分ほど遅刻して、第1曲目を聞き逃してしまいました。「ペレアスとメリザンド」の1幕1場はホワイエで、2場からはホールに入って1階後方にて立って鑑賞しました。中に入って生音に触れた時点で、今日はかなり期待出来るかもという予感がビシビシ来ました。

ここで音響の話。遅刻したために1階の後方かぶり席という絶対自分では選ばない場所で聴き、休憩後にいつものP席に移動するという音響比較的に貴重な経験が出来ました。1階後方での音の印象は、これwagnerianchanさんが好きそうだなーというものでした。以下コメント欄から。全くこの通りの音なんです。

http://d.hatena.ne.jp/starboard/20100804#c1281451835
あまり個々の楽器の音としては聴こえないで、一つの音のふくらみのように聴こえます。表現が適切かどうかわかりませんが、オケ全体としては「キンキンしない」「溶けあって一つの別の楽器になった」かのような音です。ただ、弦楽器なんかは「それぞれ微妙にずれていて」「森が風にざわめいているような」音に感じます。

いつもP席で聴いててその音がインプットされているので、それと比較すると弦の存在感がずっとずっと大きく感じられます。「ペレアスとメリザンド」では編成自体が、弦はほぼフル編成なのに管は各1本ずつといったものになっているのでそのせいもあるんですが、編成のことを割り引いても、この差は大きなものでした。逆に、いつもみんなが聴いてるのはこの状態なのかー、いつもP席で聴いててそれを基準にしちゃうのも困ったものだなーと思いました。それでも、P席の音は止められないんですけどね。

さて録音なんかではよくあることですが、あまりはっきりくっきりしていないタイプの演奏で、チープな再生環境で聴いてよい印象を持って、期待して高解像度の再生方法に切り換えると粗が目立ってがっかりするということは実によくあることでして*1、もちろん今日の印象から充分期待は出来るのですが、それでも「あそこで聴いていた方が良かった」という結果になるのではないかという一抹の不安も抱えつつ、P席に移動して3曲目の交響詩です。

さて高解像度で生々しい音が聴けるのでお気に入りのP席ですが、今日の演奏はどう聴こえるかしら、やっぱりいつもよりはまとまって、ひとつの音のように聴こえるのかしらと待ち構えていたら・・・・ここで聴いたらいつもの音でした。

この後はよく覚えていないのですが、というのは自分が演奏にすごく引き込まれていた証拠なのですが*2、素晴らしかった。いい音だった。おっちゃんのような疾風怒濤の熱血少年マンガで釘付けって感じはないけど*3、もっと落ち着いた、演奏中に思わず目を瞑って天を仰いでしまうような感覚。実際、演奏時間の1/3くらいはその状態だったんじゃないかな。

さて楽曲についてですが・・・・あんなに感動したのに、よく覚えてません(笑)。フレーズのひとつも出てこない。でも自分の中が何かで一杯になって、なにか別の印象で上書きされたくない気持ち。幸せだー。また聴きたい。終演後のみなさんの反応も、そんな感じでしたね。ブラヴォーが飛び交ってました。いつもそうじゃないか地方の客なんてチョロイもんだって思われるかもしれないけど、それはいいときしか書いてないからでして、いつもじゃないんですよ。

この日はオールシベリウスでしたが、実はシベリウス京響の代表的なレパートリーだそうで*4、そう言われてみれば今年だけでも結構聴いていますね。言葉で表現するのが難しい感じですが、さらさらと、涼やか、でもしっかり積み上げる、そんな言葉が思い浮かびます。次は北欧繋がりでニールセンやってくれないかな*5

この日の演奏はNHK-FMで放送されるそうです。聞き逃しちゃった1曲目も聴けます。やった!

放送日時:10/17(日)19:20〜21:00
番組名:NHK-FM「FMシンフォニー・コンサート」


ああでも、幸せだ。地元のオケがいいって、本当にいいなあ。
 

*1:だからネトラジ音源なんかはPCで聴いて、期待出来そうな音源だけちゃんとしたシステムにかけることにしてます。その方が幸せな時間を過ごせるので。

*2:集中出来ないときほど細かいことをよく覚えていたりします。コンサート行って細々としたことを書いてる奴は本当に味わえているのか疑惑が私の中にはあります(笑)。まあ他人のことはさておき、少なくとも私が具体的なことを細々書いてるときは、あまりしっかり味わえていないときです。本当に感動したときは、後でそれが蘇ってきて創造性を刺激するという形で来ます。

*3:クラシック音楽の表現としてそれもどうかと思う表現である。どうも私はメインカルチャーサブカル言語で表現するのが好きなようだ。たぶん照れがあるせいだろう。

*4:そうプログラムに書いてあった。

*5:と書きつつ、ニールセンをちゃんと演ると日本の聴衆からは「ふざけるな」「なんだこりゃ」と言われ、受け入れられるように演ると「なんちゃって」になるような気がする(←どんなニールセン観を持ってるんだ)。