神々の黄昏@上海

ケルンオペラ上海公演のラストナイトです。本日は2階左ブロック最前列にて鑑賞です。しかしここは手すりが完全に視界を邪魔していて、舞台手前で演技が行われるときは手すりの下から、後方であれば手すりの上から鑑賞するという変則状態です。3階の後方にいるときは最前列でも身を乗り出している人がいて謎だったのですが、何故そうなるのか実によく分かりました。

さて、オケはどんどん良くなってきたと思います。こちらの耳が馴染んできたか、3階との比較でよく感じた可能性もありますが。ここの演奏は派手にドンガラやってるときより、すごく繊細な消え入るような場面でこそ良いと感じました。音量が大きい場面では箱の響きの不足で効果的に聴こえないが、そうでない場面であれば堪能出来るってことかもしれません。普段あまり注意して聴かない場面転換の間奏部分がはっと綺麗に聴こえて来るんです。ライン紀行とか葬送とかの有名パートはそうでもないんですが*1、そうでないところの綺麗さは書き残しておきたいと思います。

プロローグ

幕が開くと、舞台はこれまでにも度々登場したヴォータン家の居間です。テーブルの上には椅子やらなにやらの家財道具が高く積み上げられていて、ノルン達はエルダと同じ掃除婦姿で家具にかけたロープを持って歌います。おそらくヴォータン一家の没落を表しているのでしょう。ノルンはみな良かったと思います。ノルンのパートって誰がどれだか確実ではないんですが、一人すごくいい人が混じっていました。たぶん2番目のノルンかな。

さて続いてブリュンヒルデの岩屋ですが、これはワルキューレ3幕、ジークフリート3幕と同様のセットで、戦士達の遺品もそのまま、そこに2人が抱き合ってゴロゴロと転がりながら手前にやってきます。服装もそのままで「ジークフリート3幕から今までずっとサカってたんかい君達!」と思わず突っ込んでしまいます。少しは掃除しようよ、だってそこ、隣に頭蓋骨とか転がってるんだよ、その設定だと。ゴロゴロが止まったところでふと男性の方を見ると・・・・いやーん、なんで一昨日の若ハゲジークムントがいるの?冷酷なまでにカツラを使わないこのプロダクション、しかもライアンの剃り込みが深く進行している側を客席に向けた体勢で寝ていて、先日のジークムントそのままなんです。服も同系統だし。しかもこの人、歌の方も全く変える気ナッシングです。少しはキャラ分けして欲しいのですが、そもそも読み上げの人に言うだけ無駄です。でも歌以外はライアンのせいじゃなくて演出の責任ですから。そもそもこのプロダクション、4日連続でやる関係でジークムントと黄昏ジークフリートを同じ人が歌うのが慣例化しているのですから、どっちも素というのはナシだと思うんですけどねえ。

ブリュンヒルデのキャサリン・フォスターは私はとても好きな系統なのですが、第一印象で書いたように癖がない感じで、あまり張り上げたりもしない、訥々と歌い上げるブリュンヒルデです。実は録音で一番好きなブリュンヒルデってジェーン・イーグレンなのですが、知っている人の中では一番彼女に近い路線じゃないかと思いました。この2人のシーンはフォスターのお陰で気分よく聴けました。彼女は2014年*2に来日してブリュンヒルデを歌うとのことですから、是非聴きに行こうと思います*3

1幕

セットはワルキューレ2幕と共通のヴォータン家の居間ですが、今はギービッヒ家の持ち物となったのでしょうか*4。グンターは軍服姿で、同じく軍服姿のギービッヒ一族多数が赤字に白一文字の旗を持って取り巻いています。ハーゲンは一人スーツ姿で、これまたクルト・リドルの素であるところのスカートハゲ・スタイルです。グートルーネはピンクのドレスを着て、舞台端っこで一人遊び中です。

(続きは後で書く予定)

*1:これらについては色々聴いてこっちの耳が贅沢になっているのかもしれません。

*2:だったかな?たぶん。とりあえず近い将来。

*3:願わくばテノールがあの辺じゃありませんように。

*4:もしくは、単にセットの使いまわしで「金持ちの居間」を表しているだけ?にしては細部までそっくりです