初芝居体験/På den anden side@DKT

http://www.kglteater.dk/site/Alle_forestillinger/Skuespil_10_11/Paa_den_anden_side.aspx
På den anden side (On the other hand)
09. dec. 2010 am.11:00〜

これ、すごい面白かったです!またも新たな魅力に目覚めてしまった!子供向けのお芝居で、服を着た不思議なウサギを追って異次元に迷い込んだ女の子が*1、ぬいぐるみの熊に導かれて不思議な体験をするというものですが、スタイルはコンテンポラリー・ダンスのような、身体表現をめいっぱい使ったものでした。デン語ですが、言葉が分かるともっといいとは思いますが、分からなくても充分楽しめました!オススメです!

ストーリーから想像するに色鮮やかなセットと衣装でファンタジーの世界を作り出す風を予想しそうですが、殆どセットらしいセットはなく、黒い劇場の内装がそのままで、そこにこれまた黒いスーツを素肌の上に着込んだおっさん、もとい、お兄様達が面を付けて動物達を表現するというスタイルです。ビデオを見ると、どんな感じか分かるかと思います。正直、子供向けにそれはどうなんだろうと思う真っ黒けの前衛スタイルですが、実際見ていると、身体表現が面白くて全然飽きませんでした。子供達もずっと夢中で見ているのが伝わってきました。

導入部は、劇場のロビーで待っていると、衣装を着たウサギ*2が床と言わず壁と言わず、あらゆるところを蹴り上げながら走りこんで来て、それを追いかける女の子、さらにその後には楽団が続いていて、ハーメルンの笛吹き男よろしく子供達を先導して会場に連れ込むという仕掛けです。実は、チケット売り場でこのことを伝えてくれた係の人が、あまりにも見事な大きなゼスチャーで「ロビーに居て、その後みんなに着いて行って」とやるので、それがあまりにも見事だったので言葉が耳に入らずポカーンとしてしまった出来事がありました。いま思えば、あの人も役者の一人で、劇場スタッフも兼任してるからあんなにゼスチャーが決まっていたのでしょう。貴重な経験をしました。

とにかくこれは、そのシンプルな黒い舞台装置の中で、身体表現だけでここまで惹きつけることが出来るんだという点に驚かされました。コンセプトは不思議の国のアリス(の世界の珍妙さ、トリップ感)だと思うのですが、次々と少し歪んだ世界が繰り広げられていく展開を、もちろんそのままストーリーをなぞるのではなくオリジナルなストーリーとして、ただしそのトリップ感というか雰囲気は見事に再現していて、全く参りました!期待をはるかに超えてました!いやー、素晴らしい!こういうの日本でも観れないんですか?なんかこういうジャンルがあるんですかね?日本の芝居のイメージとは全然違うんですけど。舞踊に近い?

またぬいぐるみの熊の動き(黒子の黒スーツ男が演じる)がかわいらしくてねえ。あれが動くとしたらああだよなって動きを、本当にそのまま、完全にやってるんですよ*3。女の子役の女優さんも完全に10歳くらいの小さな女の子でした。本当にそう見えるから面白い。一方、大柄(過ぎる)歌姫が絶世の美女を演じる某世界は・・・・(以下自粛)。

とにかくコンテンポラリーと分かりやすさとトリップ感の同居に、すっかり参りました。期待を遥かに超えてました。この分かりやすさ、やっぱDKTの血統ですね。難解にするよりよっぽど難しいんですよね、こういう風にするには。というわけで、またも新たな楽しみを見つけてしまった、初DKT芝居経験でした。

*1:言うまでもなく不思議の国のアリスのパロディ。

*2:これまた素肌の上に派手な上着を羽織っていて、ときおりマッチョな体を披露してくれる。

*3:このぬいぐるみ、劇場で売ったら終わった後飛ぶように売れるだろうなと思いましたが、売ってなかったです。