イヴの煩悩

今年のクリスマス・イヴはなにか一日イジけていました。といっても、世間は楽しそうなのに俺様だけロンリー!ちくしょう!クリスマスなんて呪ってやる!・・・・そんなネットのあちこちで毎年見られる理由じゃなくて、来年の仕事のスケジュールが確定して、5月末から6月中旬まで休日返上で伊勢に山篭りしなきゃならんことが判明し、Wels(オーストリア)のワーグナー・フェスに行けないことに気付いたからでした。この時期はすごい私的には一世一代の大チャンスでして、まず平土間が12列で2階までしかない小規模な会場でアナセンのトリスタンを聴ける大チャンス!しかも6月2日と5日なので、中2日挟むだけで2回聴けるのです!さらにこの日程の前後どちらでも、DKTのホルテン演出「影の無い女」とテオリン姫の「トゥーランドット」がはしご出来るのです。まさに、この時期に行かなくていつ行く!という理想の日程だったのでした。おんぶコンビのラスト公演はどうしてもこの目で見ておきたかったし!

この前後の日程はこちら。1週間の滞在でこれだけ聴けます。誰かこれ参考にして行ってね。いい季節だし、お薦めだから。

でもねえ、時間に関しては、普段は他の社会人のみなさんに申し訳ないくらい自由度の高い生活を送っている私ですが、今回だけはそうは行かぬのです。仕事の方もなかなか無い機会に立ち会えるので、これは今後のことを考えると絶対に今回張り付いておかなきゃいけない。

でもでもでもですねー、未練がましくグチグチ考えてですね。だってアナセンだってもう還暦だし、あと何回ワーグナーのタイトルロールで彼の全幕を聴けるか、やっぱ後ろから数える段階に入ってるし*1、そん中でもジークフリートとトリスタンはやっぱ歌ってる時間も完成度も、読後感ならぬ聴後感も大きいし、なによりあんな感覚をくれる人はいない!近い人すらいない!絶対聴きたい!!!

小さい会場ってのも滅多と無いチャンスでして、だってワーグナーで小さい会場って超贅沢ですもん*2。小さな会場で、室内楽のような繊細な繊細なワーグナーを、完璧なハーモニーを聴きたい!だってあの音楽なんだから!あとは、他のキャストにぶちこわしの雑いデカ声の人がいなければいいのだが。

ああー。でもそんな条件がどうのこうのより、次いつ聴けるかって考えると、今聴いておきたい!予定されてる次は2013年のハンブルクだし、どうなるか分かんないし*3、そもそも私はドイツ的な演奏があまり好きじゃないのだ(観客も*4)。でもヤング女史がねちっこく振るならちょっと期待してもいいかな。あのワルキューレのねちっこさったら、ちょっと無かったわ。まあ誰が振るか知らんけど。そして、なんだかんだ言ってて、行くけどね。歌ってくれさえすれば。


まあぐるんぐるん考えててですね、ふと気がつくと、5月末から6月中旬てことは、あれも駄目じゃんと思い当たりました。

なんてこったい!!そして、既にチケットを確保してしまったMETドン・カルロより関西フィルジークフリートを聴けないことにがっかりしている自分がいたことに驚きました。すごい期待してたのに。サニの次くらいに期待してるジークフリートなのに。縁がないのかな・・・・。この前の第九、やっぱ無理してでも聴きに行っておけば良かったな。

まあそんなわけでMETドン・カルロのチケットは手放すことになると思うので、なんかの理由で確保しそびれちゃったとか、やっぱり名古屋も行ってみたいなんてことで、興味をお持ちの方いらしたら連絡ください。4階サイドバルコニー*5のD席です。

そして、この件であまりにもがっかりしたので、7月のマンチェスターコンサート形式のワルキューレぽちってしまったよ!彼は全幕の方が断然いいし*6、2回鑑賞のチャンスがあったり、他のお目当て演目も観れるスケジュールに比べたら全然費用対効果が悪過ぎるけど、、このまま何も予定無しでさらに半年間耐えるのも辛すぎるから即決です*7。そういうわけで2011年は7月にイギリスに出没すると思います。どうせオペラはオフシーズンだし、DKTもオフなので、苦渋の決断です。次のDKT詣では2012年春のパルシファルになりそうです。これ悪い予感がドンピシャ当たって演出がウォーナーだから気が進まないんだけど。あーでもやっぱおんぶコンビの「影の無い女」観たいなあ・・・・やっぱまさかの予定変更に備えて、チケットだけは確保しておこっかな。関西フィルもWelsもDKT影の無い女もたぶん確保しちゃうな、きっと。こうやって売り切れ公演の日の空席って出来るんだろうな。最初の頃はこんな高額のチケットを誰が無駄にするんだろうと謎だったけど、今はよく分かるわ。自分の購買行動が全部当て嵌まっちゃってるもん。

そんでイジけて何して過ごしたかって、もちろん火の気の無い暗い部屋の隅っこに膝をかかえて丸くなり、コペハンジークフリートの2幕と3幕を観ながら過ごしましたよ。2幕のミーメが本音を喋ってしまって、追い詰められて行くとこの緊迫感は、胸に迫るなあ。サスペンスだよ。3幕はもうだた泣きで*8、何も見えないのだった。

*1:私としては、最初から最後まで全く変わらぬ安定度とスタミナに毎度驚かされ、やっぱアスレチックテノールだとつくづく思うわけなんですが。

*2:チケット代が何倍になってもいいから小さい会場でやって欲しいなどとはた迷惑なことを考えている私であった。どうせ移動費と滞在費かけて行くんだから、もうちょっと積んで理想的な条件で聴きたいじゃん。

*3:私じゃなくて、アナセンのコンディションが。

*4:観客が何を求めているか、何がウケるかというポイントが自分と合わないのだ。

*5:あの会場だと実質3階。

*6:なにか本能で動くタイプの人なのでコンサート形式だと制約がある感じなのだった。演技付でも歌のフォーム全然崩れないから、コンサート形式の優位性も無いし。

*7:そもそも、そんな贅沢言ってると次に聴けるチャンス来ないかもしれないし。あー。キャリア後期のファンって切ない。

*8:ちょっと最近ここ駄目な理由があるのだった。