マンチェスターのワルキューレ1幕@録音ver.

昨日深夜にBBCで放送されたマンチェスターワルキューレを無限リピートしてますが、これがよくってよくって、ついつい締まりのない顔になりっ放しの本日でした。やっぱり好き。アナセン大好きー。まとわりついてスリスリして「大好き!大好き!」っていっぱい言いたい。

この一幕は本当によくって、歌手3人ともよいし、私の好きな方向に、つまり言葉を非常に大切に丁寧に、全てのシーンをちゃんと理解して表現しているのを感じられるし、しばらく夢中になって聴いてしまいそう。

こうやって聴くと、ライブの印象と違うことも多くて、結構発見がありました。朗読劇みたいと感じたライブ体験でしたが、そんだけ空気感が、普通の演奏会との隔たりを感じさせる何かがあったのですが、こうやって録音で聴くと、あの特別さよりは普通の演奏会寄りになっちゃうかなあ。その部分はライブに足を運んだ者しか受け取れないものなんですよね。いまさらながら、行って良かったー。録音を聴いてるのもいいし、思い出して、やっぱり行って良かったってニヤニヤするのもいいし、いいこと尽くし。幸せ。


録音を聴いて改めて感じたことをいくつか。これまでのアナセンのジークムントは、(彼のロールの中では)若いヒーローっぽさを出した、なんというか熱血ヒーローなので、その勢いが優先された表現をとる瞬間が多かったのですが、今回はそれと比較すると落ち着いたキャラになってます。その分ジークムントの抱える哀しさの側面はより強調して届く感じかも。ああでも、やっぱりアナセンの少年マンガの世界みたいな役作り好きだなあ。嫌な方向に生々しくないので、安心して聴けるし。

ジークリンデのハワードは、録音になると、ライブの印象よりもしっかりした声に感じますね。ライブでは、もっと軽くてソフトで、小鳥がさえずるような印象が本当に強かったです。このジークリンデは小鳥だ!って思いましたもん。こうやって聴き返しても気になるところがないくらい正確なのはいいなあ。フンディングのベイリーも正確ですよね。録音になると、あの憎々しさがあり余る感じが薄まって平均化してしまった気がしますが、この正確さは、やっぱり頭脳派フンディング(笑)。幕の全部がこういう面子で固められた音源は貴重。オペラって、正確さが気になって繰り返し聴けない音源が多いんだもの*1


今夜は2幕と3幕の放送があります。そういえば、マンチェスターの2夜め*2のレポをまだ書いていませんでした。録音を聴いちゃうとライブと違う印象になっちゃうので、幸いBBCは放送から1週間聴けますから、レポを先に書いてから2夜めの放送を聴こうと思います。

この一幕の放送も1週間聴けますから、よろしかったらどうぞ。以下のURLを開いて"Listen now"とあるところをクリックするとはじまります。最初の16分半くらいは解説で、音楽はその後からはじまります。
http://www.bbc.co.uk/programmes/b014qsqw

ライブのレポも併せてどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/starboard/20110715

*1:余談ですが、現役で聴けるものって、正確さの点で不満が溜まりません?この点ヒストリカル音源として有名なものは、方向性が合う合わないは別として、正確さでは一定以上のものが確実に残ってるもんだと思う今日この頃。

*2:この公演では、ワルキューレを2夜に分けて、1夜めに1幕が、2夜めに2幕と3幕が演奏されたのです。