京都会館の改築、取りやめも含めて再検討すべき/京都弁護士会

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「岡崎地域活性化ビジョンの実現に向けた都市計画制限等の見直し素案」に対する意見書(2011年10月21日)

京都弁護士会  会長 小川達雄


意 見 の 趣 旨

 当会は、平成23年7月26日付「岡崎地域活性化ビジョンの実現に向けた都市計画制限等の見直し素案」(以下「素案」という。)に対し、以下のとおり意見を述べる。

1 岡崎地域の将来像を考えるにあたっては、岡崎地域の近代化遺産や、優れた都市景観・環境を保全し、既にある集積する文化・交流・集客施設を維持することを十分に考慮した方向で、検討がなされるべきである。
2 京都会館の改築、特にオペラ開催のために舞台機能を強化するのか否かについては、取りやめも含めて再検討すべきである。
3 京都会館の改築・高さ制限の緩和については、これまでに蓄積された様々な調査や検討の結果、および「京都会館再整備の方向性に関する意見書」における【A】案・【B】案、「京都会館再整備基本計画」における【改修案A】・【改修案B】を市民にわかりやすく再提示し、それらについての市民の意見を聴取した上で、「施設機能の充実に必要な高さの必要最小限の範囲」について再検討し、決定すべきである。
4 京都会館の建物の価値の承継において、以下の点に留意すべきである。
(1) 京都会館の建物の価値を改めて検証し、公表されたい。その際には、熊本県立美術館をはじめとする前川國男設計の建物に現実に比較調査を実施されたい。
(2) その上で、すくなくとも以下の4つの建物の特徴は、京都会館の「建物の価値」として、後世に引き継ぐべきである。
? 周囲に樹木を敢えて植栽し、それとの高さの調和を意識して設計された建物の外観
? 東山と連続するように設計されたドーム型の屋根形状
? 巨大な空間構成のホールホワイエ
? 建物内部と外部を連続的に見せる広大なガラス張りの仕切壁
5 素案の対象地域において、建物の高さの制限を緩和するに当たっては、地区計画によるのではなく、「京都都市計画(京都国際文化観光都市建設計画)高度地区の計画書の規定による特例許可の手続に関する条例」で定める「特例許可制度」によるべきである。
6 主に平安神宮および岡崎通を隔てた東側地区について、用途地域を、第二種中高層住居専用地域から第二種住居地域とする変更は、なすべきではない。
7 「岡崎地域活性化ビジョン」の実現に向けた都市計画案を作成するにあたっては、都市計画の原案や関連する情報について具体的に情報開示や論点整理がなされるよう、また、情報開示や論点整理がなされたうえで住民の意見を十分に汲み取ることができるよう、公聴会が開催されるべきである。
8 「素案に関する市民意見募集の結果について」に対しては、市民の意見について十分な検討をしているかについて疑問を抱かざるを得ず、特に、具体的な反対意見については、十分な検討がなされているとは言い難い。
さらに、賛成意見についても、賛成とされているものをすべて本素案全体に賛成であるかのように扱っているが、その扱いも妥当とは言えない。
市民からの意見については、より有意義な扱いがなされるべきであり、より詳細な検討がなされるべきであって、その詳細な検討結果が公表されるべきである。

以下略、全文は http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu/pages_kobetu.cfm?id=601