ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団+森麻季@みつなかホール

みつなかオペラでこのホールに行ったときにチケットを売っていたので、公演情報を全く知らなかった私は、おお!こんなんあるんか!と思ってその時点で残り僅かだったチケットを確保しておいたのですが*1、いざ会場でプログラムを見て確認したところ、ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団とは、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン)のメンバーによるアンサンブルだそうです。シュターツカペレ・ドレスデンを聞いたのは2009年の6月でしたから、実に2年半振りの音色ということになります。なんとなく名前が似ているだけかと思ってたら*2、そのものやったことに、会場で気付いて吃驚しました。私はいつもこんな感じです(<予習しろよ)。

そういうわけで2年前の記憶が蘇ってきたりするかなと思っていたのですが、そういうことは無かった。ですが、オケはとてもとても良かった。特に、あまり期待しないで臨んだ後半の四季がとても良かった。

ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団森麻季 クリスマス・コンサート
2011年12月11日(日) みつなかホール
管弦楽ドレスデン国立歌劇場室内管弦楽団
指揮:ヘルムート・ブラニ
ソプラノ:森 麻季

バッハ/グノー:アヴェ・マリア*
マスカーニ:アヴェ・マリア*
バッハ:G線上のアリア
ヘンデル:オンブラ・マイ・フ*
ヘンデル:涙の流れるままに*
パッヘルベル:カノン
久石譲Stand Alone*
NHK-TVスペシャル・ドラマ「坂の上の雲」メインテーマ曲>
アンコール プッチーニ:ジャンニ・スキッキから「わたしのおとうさん」

ヴィヴァルディ:「四季」
アンコール ライヒェナウアー:ファゴット協奏曲ト短調
より 第3楽章
岡野 貞一:ふるさと
ハイドン交響曲第45番「告別」より 第4楽章

本日は前半が声楽曲とクリスマスを意識した短い有名曲、後半が管弦楽という構成です。前半は30分くらいしかなくてあっという間に終わってしまいました。前半は・・・そうだなあ。心洗われるような綺麗な時間でした。そこは大前提で、でも、あえて言うとすれば・・・私はこのチケット森さん目当てで確保しておいたのですが、以前聴いたときの印象が以下のようなものだったんですが、

http://d.hatena.ne.jp/starboard/20110310
椿姫の森さん。写真が美人なので全く期待してなかったんですが、申し訳ありませんでした!!素晴らしかったです。パワフルなタイプではないし、一幕の技巧的な部分に全く難が無いとも言いませんが、特に二幕で見せてくれた表現は素晴らしかった。今日はもうこれに尽きるでしょう。会場のあちこちからすすり泣きが聞こえてました。このすすり泣きの音があんまりにも至るところから聞こえてきたので、私は最初個々の客のすすり泣きの音とは思わず、なんか効果音でも入れてるのかと思ったくらい会場全体がすすり泣いてました。

あのときの、二千席のホールが丸ごと泣いているのかと思うような、思わず効果音かと思って、まさか本当に個々の観客がすすり泣いてこんな音になっているのだとは思えない、そんな印象にまた出会うために行ってるのですよねえ。今日は選曲としてもそれは無理があったかもしれませんが、どうやったらまたそういう瞬間に居合わせられるのだろう。私はこの椿姫が初体験だったもので、非常にインプレッシブな歌手だという印象が強かったのですが、様々な評を見てると「線が細過ぎる」というのがしばしばあって、今日聴くまでは「一体どこが?」と思っていたりしたのですが、ついでに「また声量しか聴けない奴らは仕方無いなー」と超失礼なことも思っていたりしたのですが、たしかに、前回からは全く想像できませんでしたが、今日の体験をすると線が細いというのも分かりました(それが悪いという意味ではありません)。しかし、歌い出しのインパクトなどはなかなかすごかったです。アヴェ・マリアとかオー・ミオ・バンビーノの入りはさすが。今日惜しかったのは、自分の予習不足で、ヘンデルのアリアが(知ってる曲のようには)よく味わえなかったことでした。あと、「坂の上の雲」はテレビドラマなんですかね。会場は一度温度が上がった感じでしたが、自分は知らなくて取り残され感が・・・。


後半は四季。ヴァイオリン8、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス1、ファゴット1にチェンバロとう構成。ちなみに前半はこれからファゴットが抜けただけであります。これまでの体験では、どうしても小中学校の掃除の時間を思い出して、ついでに単調さも感じてしまっていたのですが、そんな余地のない演奏でした。まず今更ではありますが、バイオリンソロがすごくて、これこんな協奏曲のような曲だったのかと思いました。いつも協奏曲系統ではソロとその他のパートに音色や他の相違を感じてしまって、どうしても違和感があってうまく聴けなかったのですが、今日はさすがにアンサンブルの一員だけあって、音色やノリが完全に合っていて、溶け合ったり引き立ったりで、全く違和感を感じなかったです。先日のときとはまたパターンの違う聴き方を体験出来ました。そして情景が目に浮かぶこと。プログラムにあった短いソネットも助けてくれました。今まで一体何を聴いていたんだと思いました。

そしてアンコールでファゴット協奏曲。さらにホルンとクラリネット2本ずつ登場。これはサービス過剰なのか過少なのか(←いるならさっさと出せよ的な意味で)(←コンサート前半は別会場でソロ活動してたりして?)。クラリネットが旋律をとって会場が自然に声を出して「ふるさと」の合唱。なのにこれでも終わらなくて「告別」の終楽章を、もちろん一人ずつ立ち去ってしまうパフォーマンス混みでやってくれました。この告別のパフォーマンスは、意外と(?)去っても音色が維持されるのが面白かった。そのように曲が出来ているのでしょうけど。

この組合せでシンフォニーホールでもコンサートがあったのですが、500席のみつなかホールを選んだのは、やはり親密さを味わいたいから。逆にガンガン来過ぎたらどうしようと思っていたのですが、以外とシンフォニーとそんなに変わらなかったりして(それは演奏側がそういう風に意図したせいかもしれませんが)。

*1:しかしみなさんどこで公演情報を入手されているんでしょう。雑誌とかでちゃんと準備してて、大体どこで何をやってるか一通り把握されてたりするんでしょうか。私は公演行ったときにもらうチラシ頼みで、ひたすら行き当たりばったりです。

*2:だってそういうのいっぱいあるんだもん。特に地名絡みで。