京都市民の答えは、YESでもNOでもなく「どうでもいい」だった

非常に書きにくいことですが、書かないとどうにも落ち着かないので、あと1回だけ選挙ネタを書きます。もう終わったから、政治活動ではなく純粋に書きたいから書いてるだけってことが分かって頂けるでしょう*1

投票率36.77%。前回から1.05ポイント減。これが2012年の京都市長選挙の投票率でした。

現職が再選したので、私が京都会館関連で訴えてきたことに関しては、民意はこちらには無かったという結果であり、己の力の無さ、手法の拙さを反省しています*2

しかし、今の日本の状況で、前回よりも投票率が下がり、戦後4番目に低い投票率ですよ。軽く人間不信になっても仕方ない状況じゃないですか。

今の日本の状況と投票率が何が関係あんのって方もいらっしゃるかもしれませんので、分かってる人には不快でしょうがあえて解説しますが、投票率が低いから、政治への関心が低いから、あんなに政治が好き放題出来て、結果に責任をとらない体制が維持されちゃうんです。それをずっと継続した結果、積もり積もってどんなことになったかは、2011年にみなさんご覧になった通りです。


今回の京都市長選挙特有の問題もありました。

まず立候補者が2名しかいませんでした。そして、候補者の一方が、選挙戦を盛り上げないという戦略に出ました。実際にやったことは、以下の通りです。

  • オール与党で候補者を一人しか出さない。与党票を一人に集中させる。
  • 対立候補の公約を後出しで真似をする。名前も紛らわしくして違いが分からないようにする。「脱原発」vs「脱原発依存」。「公契約条例」vs「公契約基本条例」*3
  • 訴えることを絞らない。争点を作らない。
  • じゃあ何を公約にしてたのかというと、上記の後出し真似項目と、支持団体の要望まる写し。やたら量は多い*4
  • 公開討論会には出ない。どうしても断れない討論会でも力を入れない。準備しない。TV中継の討論会ですら全く準備せず、政治家の議会の答弁レベル*5
  • その代わり何をやってたのかというと、連日のパーティ、表敬訪問、支持者廻り。
  • 街頭とかも殆ど立たない。一般市民の目線からは殆ど選挙戦に登場しない*6
  • 選対事務所は、ともかくこの時期だけは愛想を良くするものだが、浮動票を完全に捨てているらしく、最初から下っ端を追い返すヤクザの対応。一例をこのブログにも書きました。

投票率が低いと全体の中の固定票(政党支持者や利権層)の割合が高くなるので、浮動票を獲得する自信がないときは、選挙戦を盛り上げず、選挙への関心を低くして、投票率を低くする戦略が有効になってしまいます。

メディアが殆どこれに乗ってしまったのですよね。似たような公約が並び、争点がないなどの見出しが各紙に並びました。

今回の選挙までの間に、前回選挙活動の中で公費で選挙宣伝本を印刷・配布したことがバレて住民訴訟の審理中ですが、この中で色んな不正が明らかになっています。選挙の重要な情報であり、現職市長のこんな事態は、事実が明らかになるたびに報道されてもおかしくないと思うのですが、どこも取り上げません。また、在職中に敗訴確定した不正もありますが、これも言及されません。そもそも敗訴が出たときにも、そのときに小さな記事が出るだけで市民には全く印象がないでしょう。具体的に何をしたわけでもない失言だけで大騒ぎのうえ辞任に追い込まれる政治家がいることと比べると、この報道状況は、あまりにも異様ではないでしょうか。

まあでも、不正の告発なんてものは、してると、してる方に問題がある・ややこしい・関わらないでおこうと思われるのが世の常ですから、当ブログもこんなことを扱うようになって随分読者が減ったことでしょう。だから「やったもん勝ち」になっちゃうんですけどね。

今回はこんな状況なんで報道もさぞやりにくかったと思いますが、「門川優位」の見出しの記事に、賑わっている街宣の画が撮れなかったので、対立候補の写真をモザイクを入れて使うという記事も出て、こんな電話をした人も。一体何がどうなっているんだか*7


利権者の方ばかり見て、全く市民を馬鹿にした選挙だったし、それを通してしまった市民にも責任があると思います。この状況って、すこしは人間不信になってもいいと思うんですよ。

社会には建前ってあると思うのですが、今まではいくらなんでも選挙中には建前で動くポーズってあったと思うのですが、311以後、それさえ止めてしまって露骨になってきたと思います。日本人が想定外に従順だと判明したからそれでOKだと思われてしまったのか(実際、この選挙結果はその証明になってしまいました)、ちょっとくらい建前を見せても票にならないくらい見限られた自覚があって効果のある層しか相手にしないことにしたのか。社会制度も、益々人々を分断する方向に向かっているし、こんな中で、何をしたらいいんでしょうね。

京都市長選挙の投票率の推移(出展
http://www.city.kyoto.jp/senkyo/senkyoFriends_html/senkyo/img/touhyouritsu_img03.gif

平成24年京都市長選挙 投票結果 http://www.city.kyoto.jp/senkyo/24_sityo/tositri01.html

*1:でも、そこまで政治を忌避しなければいけない今の日本の状況そのものに異議がある。本当は、忌避すべきなのは政治にかこつけた別のものであった筈なのが、疑わしきは近寄らずで、

*2:そもそも影響を与えられるほどのことをしてると思ってたのかと突っ込みは、甘んじて受けます。

*3:脱原発依存は、国の姿勢に従いますというだけだし、公契約の方は、内容が本人にも説明出来ないうえに、当選後は、早速「出来ないことはやりません」宣言。

*4:支持団体の要望まる写しは、当選後の会見でさっそく経済同友会が「うちの要望は全て入れて頂いたので、言うことありません」とコメントしていた。そういうことは思っても言っちゃダメだろうと思ったが、最早誰も気にしていない。そもそも公開討論会で馬脚を現しても誰も気にしない。

*5:政治家のそんな姿は見慣れていると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、議会答弁レベルのあれを、選挙中にやる奴はいません。

*6:与党カーが走っていたが、その上では与党議員が自分のアピールをしていた。

*7:いや、他意は無くて結果的にそうなっただけなんでしょうけど。私が言いたいのは新聞社の陰謀論ではなくて、門川の街宣が賑わっている画が撮れなかったので変なことになったということだけですので、念のため。