シャイな女の子と男の子の「愛の妙薬」

びわ湖ホール声楽アンサンブル・ドリームキャスト愛の妙薬が観れるとあって行って参りました。3月のびわ湖ホールのときから話をチラホラと耳にしてはいたのですが、栗原さん(ソプラノ)と二塚さん(テノール)は今年2月に結婚されたそうで、本日はそのお披露目コンサートでした。

最初にシューマンのデュエット曲があって、次にピアノ伴奏によるセミステージ形式の愛の妙薬(抜粋版)。来週の日曜に東京で同じ公演があるのでネタバレしない範囲で印象を書きます。

私の音楽の趣味は「明るく投げやり」で「のほほんクレイジー」という「一体全体、どないせいっちゅーねん!」と突っ込まれそうな好みなのですが、このセンに則って、二塚さんやっぱ好きだ。まだまだ真っ直ぐなので、もっとヘンに成長してください。あなたなら出来る。

栗原さんは、前回魔笛で聴いたときは「ちょっとだけよ」だったので、今回はたっぷり堪能出来ました。可憐で、ちょっとほんわかした優しさの入る歌唱が好き。高音になっても聴いててキツくならないところがポイント高し。

愛妙のゲストキャストも豪華で、ドゥカマーラの迎さんはダミ声キャラのパパゲーノの印象で若い人だと思ってたら普通に大人の男性だった。芸の幅が広いな。今日は正統派バリトンだった。ベルコーレの萩原さんも良かった。ジャンネッタの田中さんも。こんだけ揃っていて安心して聴けて穴のない公演はいいです。作り過ぎない等身大の若者らしさそのものって演出も良かった。会場くすくす笑いっ放しの公演だった。


さて今日一番印象に残ったところは、一幕のラスト、なんかあったらピアノの陰に隠れたりしてたネモリーノが、妙薬で気が大きくなって、そんなネモリーノのことがアディーナが気になり出して・・・というところ。お二人の距離感ゆえか、それともこういう趣旨の会の演出だったからか、これはアディーナ、最初からネモリーノのことが気になって仕方無かったのでしょう。そして気が大きくなって堂々とし出したネモリーノと、彼が気になって仕方が無い、でも素直になれなくてつい素っ気無く振舞ってしまうアディーナ、二人のやりとりはとても微笑ましく、この日常を繰り返して行ったら、何の事件もなくとも遠からず二人は結ばれるでしょう、メデタシメデタシ、という雰囲気に。・・・二幕要らないじゃん!

もちろん二幕は楽しかったんだけど、個人的にはここ観れただけで良かったなあと思ったシーンでした。また栗原さんのキャラが、頭が良くて清潔感のある女の子って感じで*1、お年頃で興味はあるんだけど恥ずかしくて素直になれないだけなんだけど、そんなところが周囲から見たら高嶺の花って誤解が成立してそうです。面当てでベルコーレにくっつくときも微妙に距離感があるような。そういう女の子。

なんだか、自信を持って堂々と振舞えばそれだけで高嶺の花のあの子も振り向いてくれるよって、まるで非モテ男子への教訓かいって展開を見せた舞台でしたが、そんなオペラが観たい人は、是非来週の東京公演に足をお運びください。

栗原未和&二塚直紀 ジョイントコンサート
2012/05/26(土) びわ湖ホール 小ホール
出演: ソプラノ:栗原未和  テノール:二塚直紀  
バリトン:萩原次己  バリトン:迎肇聡
メゾソプラノ:田中千佳子  ピアノ:佐藤明子  
シューマン:ソプラノとテノールのための2重唱 op.34
ドニゼッティ:オペラ『愛の妙薬』より抜粋  構成・演出:岩田達宗

栗原未和&二塚直紀 ジョイントコンサート in 東京
2012/06/03(日) 虎ノ門JTアートホールアフィニス (東京都)
3000円(全席自由)
http://eplus.jp/sys/T1U89P0101P006001P0050001P002072896P0030001P0006

*1:トリスタンとイゾルデの本を持ってれば誰でもそうなるわけではない。